マルクス・アウレリウス 『自省録』のローマ帝国 (岩波新書 新赤版 1954)
- 岩波書店 (2022年12月22日発売)
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感想 : 35件
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Amazon.co.jp ・本 (220ページ) / ISBN・EAN: 9784004319542
作品紹介・あらすじ
マルクス・アウレリウスの生涯は、「哲人皇帝」にふさわしいものであったのか。終わらない疫病と戦争というローマ帝国の実態のなかに浮かび上がるのは、心労を重ねながらも、皇帝の職務をひたむきに遂行しようとする人間の姿であった。歴史学の手法と観点から、『自省録』の時代背景を明らかにすることで、賢帝の実像に迫る。
みんなの感想まとめ
哲人皇帝として知られるマルクス・アウレリウスの生涯と彼が生きたローマ帝国の社会背景が、豊富な文献を通じて描かれています。著作は単なる歴史的記録ではなく、彼の哲学や個人の生き様が色濃く反映されており、読...
感想・レビュー・書評
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いわゆるローマ帝国の五賢帝の最後の皇帝で、「哲人皇帝」と称されるマルクス•アウレリウスの生涯と、彼が生きた時代のローマ帝国の社会、文化を重ねて記した著作。
単に皇帝その人を記すだけでなく、当時の時代背景や人々の考え方なども、豊富な文献と知見から示されており、とても理解しやすかったです。
次々と起こる厳しい状況の中、皇帝としての務めを果たされたマルクス•アウレリウスの姿に感銘しました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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20231005類書「自省録」読了
哲学者目線の研究とローマ帝国の考察から、『自省録』の時代背景を明らかにしていく内容
著者は西洋古代史専攻
※名前を幾度も変えたためマルクスと呼ぶ
詳細に書かれていて難しく感じた
生きた時代は紀元2世紀
日本でいうと弥生時代後半
母語はラテン語だがギリシア語で書かれた
12巻に分けられ、場所の明記がある2か所以外、いつ、どこで、どのような順序で書かれたのかほとんどわからない
影響を受けた人:エピクテトス
《要約》
○自省録はマルクスの言葉の力
哲学の体系よりも、マルクス個人の生き様から生み出されたもの
○皇帝らが哲学者を弾圧した訳
・ストア派を奉じた元老院議員が、ストア派の心情に従って行ったかのように見える過激な政治や迫害をしていた
・説教のもつ精神性に罪が着せられた
結果的に哲学者が反政府的、反社会的存在のレッテルを張られて追放処分された
○哲人皇帝と言われたゆえん
・ドイツの学会でローマ五賢帝プラトンの「哲人王」の理想が実現したものと解したため
・ローマ人のイデオロギーは「父祖の威風」であったため、マルクスにとって統治において従うべきは先帝アントニウス
そのアントニウス帝は、特にギリシア哲学を奉じてはいなかった
・マルクス以降暴政の皇帝が続き、哲学を学んでいたユリアヌス帝(在位361~363)は、マルクスの皇帝の実績よりも、哲学をしていたことに重視し目標にした
○その他
マルクスは少食で食事は夕食のみ、日中はテーエアカという薬以外口にしなかった
テーエアカとは毒蛇にきく解毒剤
マルクスが飲んでいたテーエアカは、覚醒剤成分が調合されていたため、長年にわたる投与は許容度を超えてしまっていた -
自省録は有名だし、ローマの歴史の本もあまたある。互いにこういうアプローチの本はなかなかなかった。とてもよい。構成がわかりやすく、彼の思想を育んだ背景を理解できた。時代が彼を欲していたのであり、彼もそれに最大限応えようとした。
運命を引き受けつつストア派として生きながら、政治のど真ん中の皇帝を務めてきたマルクス・アウレリウスの人間味が伝わってきて、とても読み応えがあった。 -
自省録について知りたい人にはお勧めしません。どちらかと言うとマルクス・アウレリウスの生きた時代の歴史書といった感じです。
各章の裏書にちょろっと自省録の一節が書かれてあり、それを味わう感じでした。 -
マルクス・アウレリウスは苦悩の人であった。五賢帝の最後を飾るストア哲学の「哲人王」として紹介されることが時たまある。しかし本書はその見方に待ったをかける。ストア哲学に基づいて政治を行っていた哲人皇帝として受け留めるとすれば、それは事実にもとるのではないかと問いかけるのである。ストア哲学の精華として、確かに『自省録』は人の心を打ち、魂を揺さぶるような言葉に満ちている。そこにある誠実さに胸を打たれる人も多いであろう。しかしマルクスがストア哲学者としてのみ現実に対処したと思い、そこに血の通ったマルクスの姿を見出せないとすれば事の順序が逆である。むしろ自らの周りで起きる不測の出来事に処し、自らを奮い立たせるために書かれたものもあったであろう。断章の連なりである『自省録』は決して自らの名を残そうとしなかった一人の悩める人による、自らのための覚書である。本書はその覚書を歴史研究の積み重ねによって読み解き、『自省録』の新たな側面を照らし出す一冊である。
『自省録』は様々な人との思い出を記した献辞から始まる。そこに記された人、あるいは記されなかった人、そしてその言及の仕方から、それらの人々から何を学んだのか、印象に残る言葉の数々は単に訳注だけからでは窺い知れない。その交流を歴史的文脈を明らかにしていくことから本書は始まる。前半の三章はそうしたマルクスを取り巻く政治状況を丹念に追い、その過程でローマ帝国史がマルクス・アウレリウスという一人の人物を中心に立体的に描き出される。後半の三章はマルクス自身が皇帝になってからどのような内政的苦悩に見舞われて政務に当たっていたか、そして遠征に明け暮れた人生の後半にどのような決断を日々迫られていたのかを実に鮮やかに描き出す。そこに読者は眠れぬ夜を過ごすマルクスの姿や、耐え難い試練を潜り抜けながら日々を送った悩める人の姿を見出すであろう。むしろ個々の出来事に誠実に向き合うことを積み重ね続けたマルクスその人の誠実さにこそ目を向けてほしいと本書は訴えているかのようである。
本書はマルクス・アウレリウスという、危機にあるローマ帝国で五賢帝最後の皇帝として自らの職務に誠実に向き合った一人の人物を通して、ローマ帝国史そのものを立体的に描き出す本である。中でもキリスト教迫害に関する記述は興味深く、当時帝国自体が抱えていた危機と照らし合わせて事の消息を確かめなければならないことを改めて実感した。パンデミックと戦争の時代にあって、私たちはどのように現実に向き合うべきか、マルクス・アウレリウスは今なお多くを語っているように思う。 -
自省録の書かれた時代背景と実際のマルクス帝の生についての解説
貴顕に生まれながらも心休まる隙のない生を理解してまた自省録を読むのも良さそう -
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哲学、歴史それぞれに解釈されてきたマルクスアウレリウス(圧倒的に哲学者からではあるが)、について歴史的背景を紐解きながら、どのような政治を行ったかを歴史家による解説。
結論としては、育ての父であるアントニヌス帝の元老院を立て、皇帝としての職務を全うするという方針をつらぬいたとして、ストア派としての哲人皇帝という見方とは違う点を強調している。歴史については客観的事実が述べられており、破綻はないとはいえ、自省録には政治の話はほとんどなく、どのようにマルクス帝が考えていたのはいまいちつかみにくい。 -
自省録を3度読み返し
さらに理解を深めたいと思い読んだが
人の名前が出過ぎて時たま、ん?誰のこと?
とはなったがマルクスがどんな時代背景で
書いていたのかを知れ、
さらに自省録の理解が深まった
人名が出てくるところは軽く読み
他の場所は深く読むという
読み方をおすすめする。 -
マルクス・アウレリウスの生涯と哲学がよくわかった
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当時の時代背景や世相と哲人皇帝の思いがどう重なるかをわかり易く解説。改めて、自省録を読みたくなる。
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自省録が有名なマルクスアウレリウスとは何者なのか興味を持って読む。
当時のローマの時代背景や周辺環境、人の繋がりについて詳細に書かれており、マルクスがどのように育ち、何に苦悩したかがわかる。
かなり詳しく研究してまとめられていて、ローマ史の本としても学ぶことは多い。
自省録がどのような思いで書かれたのかもよくわかり、また読みたくなった。
しっかりとした本でありながら読みやすく、タイトルと中身も符合した良い本です。
ローマの風呂は汚く水道も整備が足りず、川に汚物垂れ流してたのは結構衝撃。 -
【請求記号:131 ア】
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哲人皇帝と呼ばれるが、哲学者というわけではない。先帝を模範として統治に臨んだ皇帝。
戦争や疫病がなければ彼にはやりたいことがもっとあったのではとも思う。 -
マルクス・アウレリウスの生涯を、著作の「自省録」とともに俯瞰した一冊です。
マルクス自身は哲学者であった訳だが、その政治は色んなしがらみにより現実に即した従来からの政治の延長上にあったということがよくわかりました。 -
反乱に相次ぐ異民族の侵入、終わらない疫病の流行。過酷で困難な時代に帝位につき、のちに哲人皇帝と呼ばれたマルクス・アウレリウス帝の生涯を、その著作である『自省録』とともに眺める。
彼が統治した当時のローマは死と戦争に満ちあふれていた。そうした中でストア哲学と先帝アントニヌスの教えを倣いとし、ひたすら実直に帝国の諸問題に対処して皇帝の責務を果たす人物像が見えてくるような内容だった。彼は世に言われるような哲人皇帝ではなかったかもしれないが、哲学は確かに彼の生きる支えとなったのだろうと思う。遠い時代の皇帝を生きた人間として捉えられるような一冊で、引き込まれる。 -
陛下の思想というよりは、その生きた時代の話。ローマは残忍な国家でしたよ、とのこと。風呂も実はたいへん不潔だったようだ。
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