政治と宗教 統一教会問題と危機に直面する公共空間 (岩波新書 新赤版 1957)

  • 岩波書店 (2023年1月24日発売)
3.30
  • (3)
  • (4)
  • (10)
  • (2)
  • (1)
本棚登録 : 215
感想 : 19
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (242ページ) / ISBN・EAN: 9784004319573

作品紹介・あらすじ

元首相銃殺事件と「国葬」が呼び起こした「政治と宗教」の問題をめぐっての緊急出版。統一教会と政治家の協力関係の歴史、右派的主張をもつ宗教勢力の影響力増大、創価学会の変遷と自公連立政権の誕生、フランスのライシテとカルト規制、アメリカの政治と宗教右派など、公共空間が直面している現在の危機を多角的に考察する。

みんなの感想まとめ

政治と宗教の関係を多角的に考察した本作は、元首相銃殺事件と「国葬」を背景に、統一教会や創価学会といった宗教団体の政治との絡みを詳細に描いています。特に、自民党と統一教会の関係や、創価学会・公明党の歴史...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 東2法経図・6F開架:B1/4-3/1957/K

  • これを教科書に指定していた大学の講義での期末試験において、「政教分離」に関する小論文を作成するように命ぜられました。

  • 統一教会に関する本ということで読んでみた。
    統一教会と1990年代から今に至るまでの政治のかかわりについては、なんとなく推測が多いような感じがした。全体的に統一教会のどういったところが問題なのかに関しては読者との共通理解が出来上がった上での話になっている感じがしたので、どうして政治と宗教(特に統一教会)結びつくと危険なのかが伝わり切ってないような。
    公明党と創価学会に関する章もある。以前に創価学会と公明党に関する本を読んだことはあったが、この本ではその歴史がダイジェスト版で理解できてよい。
    フランスとアメリカの宗教と政治のスタンスについても問題点を提示しながら解説があり非常に興味深かった。とりわけフランスのライシテは革新的であるけれども変にバッファのある解釈がいい点でもありリスクもあるというようなところがなるほどと思わされた。
    日本の現状だけでなく、他国の状況も踏まえて政治と宗教を理解する一助となる一冊。

  • 2022年7月8日の安倍元首相の銃撃事件直後、宗教学者島薗進が編者となり思想史学者中野昌弘などと
    統一教会問題を考えたものである。
    教団の発祥から活動の実態、政治家との繋がり、元首相の銃撃にいたる背景などを掘り下げている。
    これは自分が生活していた社会で実際に起こっていたことである。

    犯人山上徹也の母は教団の信者となり1億以上の資金を注ぎ込み家庭崩壊を招いていた。
    統一教会の被害相談は2015年までの28年間で23800件、1177億円発生している。
    霊感商法は1970年代の中頃から始まり警察の摘発は2007年以降のことである。教団は訴えられても信者の勝手な行動として資金を集め続け、それを韓国本部に送っていた。1983-84年には教祖文鮮明のもとに月100億円も送った。統一教会がこれほど大がかりに長期間加害活動を続けられたのは何故か。

    マスコミが殆ど記事を取り扱わないなか、1986年秋から『朝日ジャーナル』が霊感商法追放キャンペーンを展開した、編集長は筑紫哲也であった。
    ‘87.5赤報隊事件で朝日新聞記者2名が殺傷され、
    直後「とういつきょううかいのわるくちいうやつはみなごろしだ」の脅迫状が筑紫宛に届く。差出人は統一教会で同一銃弾の薬莢2個が同封されていた。
    『文芸春秋』(‘84.9)で統一教会の内部告発記事掲載の一週間前、出稿者副島嘉和が全身を刺され瀕死の重症を負う。『週間文春』に経緯の記事を持ち込むが採用されず、大手マスコミは当該事件関連の記事は殆ど掲載することはなかった。
    「統一教会の攻撃対象となるような報道をしたくないという気持ちが当時のマスコミに生じた可能性がある。マスコミ関係者を恐れさせるような何かを統一教会が持っていた」と島薗はいう。

    1984.11岸信介元首相が米国ロナルド・レーガン大統領に統一教会教祖文鮮明(脱税容疑で収監中)擁護の熱意溢れる手紙を送付する。
    「大手メディアの沈黙、その背後に岸が大きな影響力をもつ政権与党の意思が働いていないだろうかと疑念をもつのは自然だろう」ともいう。
    「銃撃事件で殺害された人物ないしその人物を頂点に据える構造から発する権力こそが 調べさせない・伝えさせない タブーを形成してきた」と中野はいう。

    1947年のトルーマン・ドクトリンでアメリカは日本を反共の防波堤とするべく共産主義との戦いにファシストも利用した。岸信介や笹川良一や児玉誉ニ夫等の戦犯を釈放する。朝鮮戦争を挟み韓国では反北朝鮮の文鮮明が新興宗教をはじめて事件を繰り返し、政権に癒着する。両者が1967年本栖湖会議で直接結びつき笹川を名誉会長に国際勝共連合を設立する。
    福田赳夫・中曽根康弘など多くの自民党議員との間で選挙を応援し秘書を派遣し、政策や広告塔効果で返すもたれ合い関係が出来上がる。2021.9天宙平和連合のイベントに安倍元首相がビデオメッセージを送り銃撃事件の直接の契機になる。

    この本とは別だが、統一教会問題に関して社会学者の仲正昌樹(金沢大学教授)の存在が印象的であった。彼はメディアに身を晒し、学生時代から11年間の勝共連合活動の体験と内側から見た実態を赤裸々に語った。世間がいうほど確立した組織ではなく組織ごとにばらばらで教祖や上からの指示にその都度各人で対応していたことや左翼党派から攻撃された話、合同結婚式を契機に離脱したこと等率直に告白している。被害者を意識して、問題集団に属していた過去を総括する姿勢に誠実さを感じた。

    太平洋戦争や朝鮮戦争でうまく立ち回った日韓の軍属、とりわけ韓国の詐欺犯罪者の狂気と私欲に日本の政治家が協力し、救いを求める弱者から平和な生活と財産を組織的に収奪し続けた忌わしい事件である。
    島薗進は公共空間という言葉をよく使うが、日本の公共空間が一部の人間の野望と政治の堕落で壟断されていたことが明らかになった。政治がそんな集団の影響を受けていたことも驚きである。



  • 統一教会関連のトピックを丹念に詳細にまとめた好著だと思う.自民党と統一教会の関係に関してはこれまで読んできた内容と特に異なることはなかったが、創価学会・公明党の歴史や立場の解説は圃場に面白かった.時に参考になったのはフランスの状況を記載している第4章だ.良心の自由と礼拝の自由と保障するライシテの原則を堅持している国で、反セクト法がどのような過程で成立し、どのように運用されているかが述べられている.セクトのとりあえずの定義として「何らかの正統の観念が存在する多かれ少なかれ集権的な社会において、異端的な社会的行動によって公共の秩序や個人の生存を脅かすと問題視されうる組織」を挙げているが、法案自体にセクトの定義はない由.政教分離体制を考慮した措置だとの解説があったが、フランスの空気の一部に触れた感じがした.簡単に統一教会を褒め上げる文言を送る自民党の輩にぜひ読んでもらいたい本だと感じた.

  • 【請求記号:316 シ】

  • 憲法フォーラムで購入800円

  • 大学4教授陣の寄稿集。
    大学の退屈なテキストそのものの文章で頭に入らなかった。講義と一緒に読まないと内容が入ってこないだろう。

    序章…公共空間における宗教の位置/島薗進
    一章…統一教会による被害とそれを産んだ要因/島薗進
    二章…統一教会と政府・自民党の癒着/中野昌宏
    三章…自公連立政権と創価学会/中野毅
    四章…フランスのライシテとセクト規制/伊達聖伸
    五章…アメリカー政教分離国家と宗教的市民/佐藤清子
    終章…統一教会問題と公共空間の危機/島薗進

  •  いかにも緊急出版という感じで、統一教会、創価学会、仏のライシテと反セクト、米の状況、と多方面を取り上げるが、その分、本としてはまとまりがないように感じる。
     統一教会、神社本庁、日本会議の自民右派との癒着、また公明党の連立政権入りの代償には批判的で、「公共空間の危機」と評する一方で、平和運動や社会運動への宗教集団の関与は肯定的なのが岩波らしいと言うか。
     ただいずれにせよ、公共空間から宗教を完全に排除することは困難なのだろう。仏ですらもカトリックと共鳴する右派の政治運動が存在する。逆にライシテがイスラームを中心とした宗教的マイノリティに抑圧的となり得ることも指摘されている。

  • 165.9||Sh

全14件中 1 - 14件を表示

著者プロフィール

(しまぞの・すすむ)宗教学者。東京大学名誉教授。大正大学客員教授。龍谷大学客員教授。上智大学グリーフケア研究所元所長。

「2024年 『経済安保が社会を壊す』 で使われていた紹介文から引用しています。」

島薗進の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×