占領期カラー写真を読む オキュパイド・ジャパンの色 (岩波新書 新赤版 1964)
- 岩波書店 (2023年2月24日発売)
本棚登録 : 170人
感想 : 19件
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (254ページ) / ISBN・EAN: 9784004319641
作品紹介・あらすじ
七〇年以上前、占領下の日本において、アメリカ人によって無数のカラー写真が撮影され、いま、それらが続々と世に出てきている。「敗者」を撮ったそれらには、当時の人々、日常、風景が、驚くほどあざやかな色とともに焼き付けられている。目を奪われてはならない。そこから何が分かるのか? 資料として活用するには?
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
【請求記号:210.7 サ】
-
タイトルと帯だけ見て終戦直後に撮影されたカラー写真の写真集的な本かと思ったのですがそうではなく、終戦直後に撮影された写真を多数見ることで何を撮影し、何を撮影しなかったのかを研究する本でした。文字情報でないアーカイブの研究ってこうやってやるのかと、研究手法の勉強になります。
それにしてもアメリカは終戦直後の時点でカラー写真フィルムが(日本に来る軍人という若干上流聡とはいえ)大衆に手が届くところまで安くしていたのですね。こんなところにも国力の差を感じてしまいました。 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/787277 -
単なるカラー写真の掲載だけでなく、当時の撮影者の視点や写真技術、収集の苦労なども合わせ解説。
まず、紙焼きではなくスライドからデジタル化したという写真の画質の良さに驚く。当時のスライド写真は、将校を中心にある程度余裕のある階級の趣味だったとのことだが、それでもプロカメラマンによる公式やグラビア用ではない雰囲気が分かる写真が多い。
子供を含む一般の日本人が被写体の写真では、現在、我々が過去の貧しかった日本を面白がるような、先進国の観光客が発展途上国で向ける視線のような、多少の居心地の悪さも感じる。
また、著者が指摘するとおり、貧民街や闇市、売春宿など写されなかったものや、白人とアフリカ人の軍人間の分断に思いを馳せると、被写体たる日本・日本人だけでない、当時の進駐軍自体の状況も想像できる。 -
東2法経図・6F開架:B1/4-3/1964/K
-
売り出し中!
-
210.76||Sa
-
p.2023/3/28
-
登録番号:0142022、請求記号:210.76/Sa85
-
本書では、占領期の日本にやってきたアメリカ人が撮影したカラー写真を読み解いていく。カラー写真も多数掲載されている。
アメリカ人が撮影した写真は、仕事であれ、プライベートであれ、占領期の日本にとって都合の悪い事実、空襲被害、原爆被害などの空白を埋めることが可能となる。また現在、インターネット公開されているものやネットオークションに出品されているものも出てきており、空白を埋める写真の入手・発掘がしやすくなっている。写真からは歴史的な観点はもちろん、人々の関係性、生活、また写っていないものから様々なことを読み解くことが可能と示されている。
本来は、撮影されたカラー写真はアメリカ国内で見られるだけで、写っている日本人は見ることができなかった。筆者はカラー写真の撮影された地域、年代を明らかにして公開することは、被写体となった人々の視線や場所を回復する試み、と示している。また地域、年代の調査のためには、複数人での同定作業が有効である。
「戦後京都の「色」はアメリカにあった!」の図録も見てみたい。 -
-
本書の題名にも在る「オキュパイド・ジャパン」というのは1945年から1952年の「占領下に在った日本」を意味する。そして本書だが、その「占領下に在った日本」の様子を詳しく論じているという程のことではない。本書は「“史料”としての写真」、「“写真文化”の歴史」、「写真の継承」というような諸要素が合わさった事柄を述べていると思う。
現在、1945年から1952年の「占領下に在った日本」で撮影されたカラー写真が色々と伝えられている。
伝えられている写真には様々な性質のモノが在る。伝えられる写真を撮った人の属性、目的等が色々と在る。大雑把に言えば、公務で撮った可能性が高い画も在れば、個人的な画も交る。
そしてその伝えられている“カラー写真”とは「スライド」である。多くがコダック社のリバーサルフィルムで撮影され、コダック社へモノを送ってスライド化するのである。
多分「写真を撮る営為」と「モノとしての写真」というようなことでは、時代が変われば色々と変わるのだと思う。「スライドの“カラー写真”」という時代には、「撮影者等の“語り”が加わって投影され、家族や友人や知人等が集まって観る」という営みの存在感が大きかった。殊に個人的な画はそういう傾向が強かった。
公的な機関に「資料」または「史料」として伝わるモノに多く見受けられる、公務で撮った画に関しても、「スライドの“カラー写真”」は「公務の報告に際し、説明の“語り”が入って、報告会参集者に投影して見せる」という利用のされ方だったようだ。
そういう“語り”の前提が在って、モノクロ写真を貼り付けた写真帖(アルバム)のようにコメントが或る程度詳しく残る場合が生じているのでもないのが「スライドの“カラー写真”」の特徴ともなるようだ。
その他、本書には占領軍関係者等による「写真を撮る営為」に関する事や、史料としての扱い方、今後の展開や期待等の豊富な話題が盛り込まれている。
「写真を撮る営為」と「モノとしての写真」というようなことについては、1940年代という程に遡らなくても、この20年間以内位で随分と変わっているというように観る。「写真を撮るカメラを…」とでも言えば首を傾げる人達、「写真とはスマートフォンに画像を記録すること」とでも思っている人達が相当に多いことであろう。用紙にプリントする以上に、デジタルデータとして保管される写真が圧倒的に多い様子にもなっているであろう。こういうのは然程古くからのことでもないと思う。
そういう変遷が在るからこそ、「“史料”としての写真」、「“写真文化”の歴史」、「写真の継承」というような事柄に想いを巡らせることに大きな意義が在ると思う。本書では、デジタル技術による画像処理の恩恵も少なからず受け、貴重な画を少し多めに紹介しているのだが、それらが素晴らしく少し驚く。正しく「オキュパイド・ジャパンの色」である。
色々な要素が合わさって興味深く読み進められる一冊であると思う。御薦めしたい。 -
日本がアメリカを始めとする連合国軍に占領されていた期間にアメリカ人によて撮影されたカラー写真について書かれた本(2023/02/21発行、1254E)
本書、日本占領期に撮影されたカラー写真について書かれているのでは無く、本の半分ぐらいは占領期の白黒写真について頁が占められています。
全頁、日本占領期に撮影されたカラー写真の解説とは思っていませんでしたが、期待していた程、占領期のカラー写真や解説がされていなかったのは残念な内容でした。
それなりに貴重な本だとは思いますが、占領期カラー写真を読むと云うには、著者がチョイスしたカラー写真がモノ足りなく感じたことも有り、今一つと云った処です。
著者プロフィール
佐藤洋一の作品
