皮革とブランド 変化するファッション倫理 (岩波新書 1975)
- 岩波書店 (2023年5月23日発売)
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感想 : 26件
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Amazon.co.jp ・本 (206ページ) / ISBN・EAN: 9784004319757
作品紹介・あらすじ
流行の最先端をゆく高級バッグから一点モノの財布まで、革製品はファッションを彩る必需品だ。しかし、皮革文化には常に、自然破壊、動物愛護、大量廃棄といった倫理的な問題がつきまとっていた。その来歴と現在から、人々の欲望を満たすためにあらゆるものをブランディングしていく消費文化の本質を描き出す。
みんなの感想まとめ
皮革製品の背後には、私たちが普段考えないような深い倫理的問題が存在しています。著者は、世界各地の皮革職人の実態を調査し、動物の屠殺から皮のなめしまでの過程を描写しています。この過程には高度な技術が必要...
感想・レビュー・書評
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ファッショングッズとしての皮革は、毎日のように目にする。
が、それがどうやって私たちの手元に届くのか。
恥ずかしながら、この歳になるまで、全く考えたことがなかった。
筆者は世界各地の皮を作る職人を調査してきた研究者。
動物の屠殺から、皮をはぎ、肉や毛を落とし、タンニンなどを用いてなめす。
皮なめし職人は高度な技術を持ちながらも、重労働の上、においや汚れが忌避され、かつてはコミュニティの周縁に追いやられることが多かったという。
この話は、日本国内でのこととしては聞いたことがある。
が、イベリア半島やモロッコのユダヤ系の人々や、客家なども同じような歴史を持っていたということは、本書で初めて知った。
本書は、筆者のこれまでの研究の成果を取り込んで、さまざまな方向から皮革づくりをめぐる問題を取り上げていく。
読み方が雑だったのだろうが、話があちこちに飛んでしまい、追いかけるのが結構大変だったというのが正直な感想だ。
問題の広がりは理解できたが、問題間の有機的なつながりまでは十分理解できなかった。
それから、ファッション業界が、あるいは消費者が倫理性を今ほど重視するようになったのはなぜなのか。
現象としてそのようなことが起きているのはわかるが、実際どの範囲で、どこまでひろがっているのか。
こういった疑問もまた、出てくる。
読んでいて俄然面白くなってきたのは、第五章「日本の皮革はブランディングできるか」。
日本の皮革加工の現状についてのことだ。
ヨーロッパでは、(うまくやれた)職人たちは地位を向上させる。
が、対照的に日本ではうまくいかなかったようだ。
世界に誇れる品質の皮革を作れる技術がありながら、それをうまくブランド化できず、買いたたかれてしまったというのだ。
技術は一度絶えてしまうと、復活させるのが難しい。
その意味では、ブランディングをして、持続可能な範囲で製品づくりを継続することと同時に、技術を記録・保存する努力も必要なのかもしれない。 -
革なめしを生業にしていた人、昔は大変だったんだなぁ。
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皮製品は「なめす」工程が難しい。
ここの作業内容次第で品質が左右されるからだ。その作業内容から専門職が求められるとともに、特定の層の人々が担ってきた。動物を捕獲し皮をなめす工程に厳格なルールを持ち込んだのが西欧の企業。彼らは自分に都合の良いルールを作ることに長けている(これが腹立たしい)。そしてルールに合わない制作方法を採用している他地域の製品を攻撃することになる。こうしてブランドが確立していく訳だけど、バーキンの件を知ると、彼らの図々しさというかしぶとさがよく分かる。恥ずかしくないんだろうなぁ。 -
やっぱり、革製品は、価値があるとおもうのですが。
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3章、4章、終章が特に興味深かった。
その土地に行かなければ手に入らない地産地消のブランド、およびそのためのブランディングという構想が今後どういうふうに展開されていくか気になる。 -
革の歴史 革はそのために動物を殺しているわけではなく食べ物の副産物なので有効に使うべきだと思う
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☆書棚に皮革かけてホコリ対策→カッコいいと思わなくなった・60×200だと結構高くなるハズ・購入要検討・浅草橋の問屋街・日暮里の繊維街
☆R061007Mon日暮里繊維街NAGATO帆布95×3m購入・合皮の大型布は惹かれず(安っぽい大型布をずっとみているのがイヤ)
ルイ・ヴィトン、グッチ、エルメス、ディオール 4大ブランド
有名ブランドは自社の商品を集めた美術館→ストーリー性を訴える。
皮革製品→ブランドにとって稼ぎ頭・服のように色サイズを取り揃えなくて良い・ワンサイズ・汎用性・男女兼用・服より長持ちするから見せびらかしに良い。
イタリアの皮革産業→中国の安い革に対抗・EUの厳しい環境基準をクリア・フランスほど高額ではない→1990年代に世界を席巻・インターネットによるグローバル化
ブランディング→自分と他人の牛の違いのための焼きごて印
何を幸福と感じるかが人によって異なるように、贅沢さは人によって大きく異なる。
ブランドに求められるのは、贅沢さより信頼 時代の倫理を意識するしなければブランドを維持できない。
革鞣し→多くの文化の中で卑しい仕事、穢れ 移民・流れ者→不名誉な仕事
ユダヤ教の経典タルムード肉屋(新鮮な肉)は立派な仕事だが、屍を扱う鞣しは卑しい仕事
キリストの聖使徒ペトロ 革鞣し人のシモン(便利な海岸近くに住んでいた)使徒をもてなせる経済的余裕
ロンドンのシティーにあるレザーセラーズカンパニー会館→シティーの大規模な土地を持つ大地主
プラスティックがなかった時代のレザー 工作機械用の強靭なベルト、軍靴・ブーツ、背嚢はいのう
中世から近世 ギルドの組織力→権益を守り蓄えた経済力→団結力を示すファッションは制服(livery lív(ə)ri)
リヴァリーカンパニー→ギルドは職業学校として読み書きと社会規範を教えた・ギルドの試験に合格してお墨付きをもらえれば、英国だけでなく欧州大陸でも働ける・証明書を発行するのがギルド
☆英国の使徒制度のことか?バックグラウンド知識があれば理解が一層容易になる!
国際的な産業化の波→独占的な販売権(価格、納期も自分たちの基準で決定)を持つギルドは国家にとって邪魔
→国際的な取引、製品が大量生産
ナポレオン100万足単位の軍隊用ブーツ(フランス国内では格安での供給にそっぽを向く職人・料理人になる者続出)→英国のノーサンプトンに大量発注→分業制→熟練職員は不要になり労働者を1か所に集める→工場で生産性アップ☆今での英国靴クロケット&ジョーンズで有名なノーサンプトン
英国軍にもフランス軍にも提供☆今と価値観が異なる?貴族の戦争?
イベリア半島のユダヤ人 スペインのコルドバ(ユダヤ系、イスラム系職人) ヤギの革・多彩な色→コードバン(アメリカのホーウィン社のコードバンが有名☆HORWEEN・1905年シカゴ・ロゴのデザインがあまり好きじゃない!)
皮鞣し→ユダヤ人を呼び寄せて、現地に工場を作り成功した者 アメリカのTimberland(ティンバーランド・材木、角材、板材の意)
ユダヤ系アジア人 客家(ハッカ)華僑集団
パリ→ファッションの中心、フランス政府のファッション産業育成政策・メゾンはパリに開店しなければならないが、オーナーはフランス人である必要はない。(国富の増大を第一に考えた)
戦後、ニューヨーク、ロンドン、ミラノ イタリアのサンタクローチェ(革の街)
1970年代 女装する男性ドラグクイーンDrug Queen フレディー・マーキュリー(バンド名クイーン)
黒革→ワイルドな自然、動物の生、自然のシンボル
黒革と鋲→ゲイとしてのアイデンティティ 黒革のシンボリズムは、倒錯したセクシャリティのシンボルへ☆にしおかすみこのSMファッション
贅沢さ、みせびらかし、挑発的な無軌道さ…貧乏ルック
エリート主義、戦後の若者が作った対抗文化☆ルーズソックス、ガングロ、ヤマンバ…社会へのメッセージ性がないものは消えて当然
手が届く贅沢さ わざわざイタリアて織った生地… 職人性☆鳥獣被害対策として殺処分した動物の革活用できないか?
エルメスの店舗前でクロコダイルを殺してバックを作っていると口にするPETA 2015年☆滴り落ちる血のデザイン
アンチ毛皮、ヴィーガン→フェミニズム、政治闘争とごっちゃになり、毛皮が格好の標的 毛皮を買ってもらえない女性→賛同する人いる
日本古来→動物の皮をお守り
1986年リンクスが発表した高級毛皮メーカーに衝撃を与えるキャンペーン
平安時代、渤海からクロテンの毛皮
2010年バングラディッシュ縫製工場火災・トイレさえ行けない・外から鍵
ケリーバッグ(従来のパーティーバックより少し大きめ・当時のエルメスで最大)
ジェーン・バーキン→さらに大きめのバック、牛革・子牛・クロコダイル→クロコダイルの残酷な殺し方で抗議殺到→バーキンをすっかり有名にした。
兵庫県たつの市の鞣し工場 白革 植物の渋、タンニン、自然界にあるクロム、動物の脳漿(脳の脂肪・3年寝かして酵素の働き・強烈な匂い・日本では1970年代以降終焉)
酵素の働き(犬、ハトの糞を用いることもある)
ミョウバン→革の強度が弱いのでブックカバー、羊皮紙
英語では鞣すにタンニング、レザリング、トイング(☆文化圏で単語として多くある例・コメ・シャリ・玄米…)
ジャパンブランド 兜、鎧、刀のつば→外国の収集家 日本国内では買い叩かれている・靴まつり…
鞣しに使われる三価クロム人体の必須栄養素である穀物、豆、キノコ類が原料
ピックスキン→墨田区
ミドリ安全→当初、自動車工場で働く人向け安全靴を製造→車の内装座席用のカバーで世界3位
自動車メーカーは合成皮革に変更「動物愛護、環境保護」→正直なところ、コストの問題・消費者も区別つかず
かつて海外でOLがバッグを買い、批評家「本物を知らないで上流ぶっている哀れな輩」→有名ブランドによる塩化ビニール製バック→本物の金持ちにも好評
革の良し悪しは直に触れてみなくては分からない。インターネットで完結するわけではない。
ゲニウス・ロキ(場所の精霊) 目に見えないが場所を特徴づける雰囲気や土地の特性 -
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高級ブランドの代名詞といえば革製品であった。本物の皮を使い、丈夫で長持ち、なおかつファッション性があるというのがブランドの始まりであった。
もちろんこの裏には、世界中で忌み嫌われた皮なめし職人たちがいたわけではあるが、欧米では皮商人などいくつか階層を挟んで、世に出ることができた。
一方、日本でも同様に忌み嫌われていた皮田部落の革製品については、彼らのブランド化に消極的なこともあり、いまだに日の目をみていない。
サステナビリティの荒波によって、いまや革製品自体が嫌われるようになり、安価な合皮や化学繊維、また植物由来の革製品が代替されているが、元を辿ればたいていの革製品は人間が食した肉の残骸であり、その活用はエコである。
やや誤った方向に進みつつあるアンチ革製品の流れだが、真にサステナブルな世界は人間が食肉を大いに減らして初めて達成される。 -
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