キリストと性 西洋美術の想像力と多様性 (岩波新書 新赤版 1992)

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  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004319924

作品紹介・あらすじ

今日、キリスト教は性に対して厳格、保守的であるといわれる。しかしキリスト教の長い歴史にあって、キリストは性をめぐって、じつにさまざまな姿で語られ、描かれてきた。ときに「クィア」と形容される性的嗜好を先取りし、ときにジェンダーをめぐっても攪乱されていく。人々の豊かな想像力が育んだ西洋美術の実相に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • キリスト教の深層を見た思いだ。
    何と豊かな土壌から産まれ、育まれたことだろう。
    今は痩せ細っているにしても、元はこれほど旺盛なエネルギーに満ちていたのだ。それは宗教だけに限らず、性を消費してしまっている現代人の貧しさを見るようでもある。

    性と土俗性を忘れてはいけない。

  • 西洋美術に表出するクィアな解釈のキリスト、
    その多様性を実例に触れながら探っていく

    民衆の信仰意識はほんとに多面的

  •  一人のクリスチャンとして、また一塊のキリスト教美術好きとして興味深く読んだ。

     キリスト教が元来持つ(と私は考える)クィアな性質は、いきなり真正面から聖書を読んだり、正統派のキリスト教名画を眺めても分かりづらい。むしろクィアとは正反対と捉えられかねない部分が多く、実際に排他的な捉え方をしたせいで多くの人々を傷付けてしまった歴史もある。
     しかし、あえてメインストリームではない方角(=正統派ではない、ひょっとしたら異端みすらあるキリスト教美術)から眺めると、イエスさまが示すオープンマインドな愛、境遇や条件に左右されない真の平和が比較的はっきり見えることもあるのだと、本書を通じて学んだ。

     とくに磔刑図/像の異性装について触れるセクションが面白かった。

     変わった内容ではあるから、それなりのコンテクストを把握していないと読みづらい or 色々誤解しちゃうかも。私自身ずっと調べ物をしながら読んだから、薄い新書なのに読了まで随分時間がかかってしまった。他レビューにもあった通り中〜上級者向けだと思う。
     キリスト教美術やジェンダー・セクシュアリティの問題に一定の興味がある人にはぜひお勧めしたい。

  • キリスト教に関する人物や有名な場面をベースに、イエス、ヨハネ、ユダ、マグダラのマリアなどの絵画からジェンダーを超えた論考が楽しめるユニークな本だ.ユダは本当に裏切り者なのかとの設問で展開する部分が楽しめた.キリストを女性として扱った絵画がこんなに沢山あるのに驚いた.父、子、聖霊をまとめて三位一体と称するが、それにマリアを加えた四位一体という構想もあった由.想像力を最高に発揮した当時の画家たちの作品は、庶民の意向を反映したものと言えようが、それにしても発想が素晴らしいと感じた.

  • キリスト教美術から見る性的表現を、さまざまな角度から分析する。

  • 【配架場所、貸出状況はこちらから確認できます】
    https://libipu.iwate-pu.ac.jp/opac/volume/569185

  • 東2法経図・6F開架:B1/4-3/1992/K

  • 【請求記号:702 オ】

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著者プロフィール

1954年、広島県に生まれる。2020年、京都大学大学院人間・環境学研究科教授を退職。現在は、京都大学名誉教授、京都精華大学特任教授。専攻は、西洋美術史。
 著書に、『キリストと性』(岩波新書、2023)、『反戦と西洋美術』(ちくま新書、2023)、『ネオレアリズモ──イタリアの戦後と映画』(みすず書房、2022)、『フロイトのイタリア──旅・芸術・精神分析』(人文書院、2008、読売文学賞)、『モランディとその時代』(人文書院、2003、吉田秀和賞)など多数、
 訳書に、ジョルジョ・アガンベン『創造とアナーキー──資本主義宗教の時代における作品』(共訳、月曜社、2022)、同『王国と楽園』(共訳、平凡社、2021)など多数がある。

「2024年 『アートの潜勢力』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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