暴力とポピュリズムのアメリカ史 ミリシアがもたらす分断 (岩波新書 新赤版 2005)
- 岩波書店 (2024年1月23日発売)
本棚登録 : 219人
感想 : 26件
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (234ページ) / ISBN・EAN: 9784004320050
作品紹介・あらすじ
二〇二一年初の米国連邦議会襲撃事件。憲法修正第二条を盾に武装した人民(ミリシア)と対峙する連邦キャピトル警察・州軍(ミリシア)が繰り広げる異様な光景が意味するものは何か。人民主権理念に基づいた国づくりを支え、時に反乱の母体となったミリシアから見た、暴力文化とポピュリズムをめぐる異色のアメリカ通史。
みんなの感想まとめ
アメリカの暴力文化とポピュリズムの歴史を深く掘り下げた作品で、特に憲法修正第2条に関連するミリシアの変容を、植民地時代から現代にかけて分析しています。著者は、州軍としてのミリシアと、現在のポピュリズム...
感想・レビュー・書評
-
冒頭で著者は、ミリシアという語につき、州兵と、2021年に連邦議会を襲撃したような民間の極右(に限らないが)暴力的団体の両義を解説する。両者は全くの別物ではないかとまず思ったがさにあらず、後者の背景には前者にも連なる、植民地期以来の「ミリシア文化」があるとの視点だろう。
植民地期以来の共和制と市民兵の伝統。対英戦に臨む18世紀後半に「大陸軍」が作られ、その後連邦レベルの正規軍となるも平時の規模は最低限で、まだミリシアの存在感は大きかった。
一方でミリシア自体も変容し、19世紀前半には志願兵の組織へ。更に南北戦争では、黒人を中心に差別されてきた人々もミリシアに入隊。同戦争後には連邦政府の権限拡大の中で、ミリシアは「州軍」と名を変える。正規軍と州軍(兵)が現在のような形になったのはやっと20世紀の大戦でのことだ。
そもそも知識がなかったので興味深く読んだ。ただ、『州兵の成立史』ならともかく、この書名とはズレがあり、内容を広げすぎでぼやけてしまったように感じる。 -
憲法修正第2条に規定されているミリシアの変容を建国前の植民地期から現在に至るまで分析したもの。
憲法修正第2条は「よく規律されたミリシアは,自由な国家の安全にとって重要であるので,人民が武器を保有し携帯する権利を侵してはならない。」というもの。アメリカの人民による統治を示したものといえる。
ミリシアには州軍としてのミリシアと現在のポピュリズムを担う民間団体としてのミリシアがある。両者は全くの別物であるが,本書は前者に特に焦点を当てていた。
植民地自体の自らのコミュニティを守る自警団的な組織であったものが,数々の戦争を経るなかで最終的には連邦政府の予備軍としての位置づけになった。
連邦補助金を得るには,連邦統一の基準に従う必要がある点についてはアメリカ的な分権システムだなと思った。
ポピュリズムの運動に関して連邦政府が州政府に介入するかどうかのなかで,レーガン以降の共和党政権は介入しないが,民主党政権になったときにポピュリズム団体としては備える必要がある。そうした流れのなかに,2つ目のポピュリズムを担う民間団体としてのミリシアが位置付けられていて,なるほどと思った。
自らの信じる自由(同じ考えを持つコミュニティ)を守る民間団体のミリシアは植民地時代の当初のミリシアに近いのであろうか。
政治からの自由を実現する手段としてミリシアがあり、自由を侵害する政府に対しては暴力もじさない。アメリカ独特の自由観、統治の考え方だと思った。
それを保障するのが憲法修正第2条ということだろう。
また当初は人民がミリシアを組織して武装することを保障するものであったが,保守派によって市民の銃を持つ権利を保障する条項として解釈されるようになった。
アメリカ的な自由が模索されてきたなかでの到達点。連邦議会襲撃や銃犯罪といった課題があるという認識だが,これらをアメリカがどう乗り越えて自由を追求していくのかみていきたい。 -
この本を読むとアメリカは全く民主主義の国ではないし、今なお差別が蔓延している国なのだとわかる。国際協調を訴えていたウィルソンも民主党の党利党略から抜け出せていないし、奴隷解放に取り組んでいたのが共和党だったというのもなんというか現状とチグハグすぎて混乱する。
-
ポピュリズムというタイトルから日本の某政党みたいなのを想像していたけど内容は副題にある通りミリシアがもたらした分断なので完全にミリシア史でした。ミリシアとは職業軍人ではなく民間の有志団体みたいな感じで日本にはない組織(だよね?)だから全然最初は理解が追いつかなかったんだけど常に戦争してた時代の名残が今もこうやって脈々と残ってて、そしてミリシアと政治がどのような関係であったかの変化も書かれていてかなり危うい関係なんだなって思った。知らないことばっか。
-
●ミリシア。2種類存在し、アメリカの州軍、もう一つは右翼過激派。
●2021.1.6アメリカ連邦議会講義堂に数千人の暴徒が集まり、ペンス副大統領への絞首台をつくりはじめた。
●トランプの側近、ロジャーストーン。選挙に勝つためには手段を選ばない。実刑判決も受けている。
●フェイクニュース。FOXは2020年大統領選で、それが嘘と知りながら、投票で不正があったと報道していた。マードックが裁判の自白で、白日の下にさらされる。
●政府の暴力を許容する国民意識。極右ミリシア構成員の少なくとも4人に1人が、軍務経験者であった。このような暴力文化は、右左関係ない。
●1992から始まった民間ミリシアの創設運動は、1995に起きたオクラホマでの連邦政府ビル爆破事件から減少に転じた。危険団体と言う認識が広がった。
●アメリカでも、ドイツと同じように過激団体を取り締まれないのであろうか? -
ときとして日本人には理解しがたいこともある米国の過激な政治のうねり、アメリカン・デモクラシーの根幹に迫る一冊です。
<こんな方にオススメ>
(1)2024年アメリカ大統領選挙に興味がある
(2)米国の歴史に興味がある
(3)アメリカの銃社会を理解したい
<概要>
アメリカにおける現在のいわゆる”州軍”(本書における”ミリシア”)の発生とその変遷を通じて米国政治史を総括している印象です。
全体で五章構成になっています。大きく言いますと3つに分かれると思われます。序章(はじめに)と第1章では2021年に起きた米国連邦議会襲撃事件を契機とした米国政治の現在のポピュリズムと結びつく暴力性についての見解が述べられています。
第2章から第5章までは、そのような米国政治の暴力性の起原・根源ともなったミリシア(民兵)と米国の軍政の歴史的変遷が米国の係った戦争(独立戦争から世界大戦など)とともに現代までを時系列的に解説されています。
最後に終章(おわりに)でふたたび、現在の米国内における混乱や分断を助長しかねない米国政治の人民武装理念(その根本となる合衆国憲法修正第2条)についての評価がまとめられています。
そのほかの詳細はブログ「note」内に記事を掲載しております。よかったら併せてご覧ください。
https://note.com/rekishi_info/n/nd6b9612e8000
(2024/08/12 上町嵩広) -
ミリシアの歴史的流れはわかるものの、民間ミリシアや民間軍事会社へについては説明が薄い。「暴力とポピュリズム」というタイトルもミリシアに限定しており誤解を招く。
-
女子栄養大学図書館OPAC▼https://opac.eiyo.ac.jp/detail?bbid=2000070025
-
アメリカで銃による大量殺人が起こるたびに、銃規制の話題になるが、全米ライフル協会の反対などで頓挫するか骨抜きにされてきた。
政府への反逆を保障していると言われる憲法修正第2条があり、銃保持の自由が認められていると言われているが、その歴史的経緯が示されている。建国からの理念としては尊重すべき部分はあるが、民主主義が機能している現代では弊害の方が大きい。 -
人民主権理念に基づいた国づくりを支え、時に反乱の母体となったミリシアとは何か。
-
【配架場所、貸出状況はこちらから確認できます】
https://libipu.iwate-pu.ac.jp/opac/volume/571907 -
【本学OPACへのリンク☟】
https://opac123.tsuda.ac.jp/opac/volume/710463 -
東2法経図・6F開架:B1/4-3/2005/K
-
配架場所・貸出状況はこちらからご確認ください。
https://www.cku.ac.jp/CARIN/CARINOPACLINK.HTM?AL=01426345 -
-
【請求記号:253 ナ】
著者プロフィール
中野博文の作品

<書評>『暴力とポピュリズムのアメリカ史 ミリシアがもたらす分断』中野博文 著:東...
<書評>『暴力とポピュリズムのアメリカ史 ミリシアがもたらす分断』中野博文 著:東京新聞 TOKYO Web
https://www.tokyo-np.co.jp/article/316788?rct=shohyo