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Amazon.co.jp ・本 (246ページ) / ISBN・EAN: 9784004320098
作品紹介・あらすじ
暗黙のうちに男性主体で語られてきた歴史は、女性史研究の長年の歩みと「ジェンダー」概念がもたらした認識転換によって、根本的に見直されている。史学史を振り返りつつ、家族・身体・政治・福祉・労働・戦争・植民地といったフィールドで女性史とジェンダー史が歴史の見方をいかに刷新してきたかを論じる、総合的入門書。
みんなの感想まとめ
歴史の中で見過ごされがちな女性の視点を掘り下げ、ジェンダーの概念を通じて新たな理解を促す本書は、女性史とジェンダー史の重要性を再認識させてくれます。特に、労働や戦争、福祉における女性の役割に焦点を当て...
感想・レビュー・書評
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どちらかと言うと《「フェミニズム」寄りのジェンダー論》と思い手に取った。しかし違った。《ジェンダー史》という存在と意味を改めて考えさせられるキッカケになったと思う。
『正邪の判断はこの中には無い』
この本は自律している。何かに加担することなく冷静に方法論を考え、可能な調査結果を分析とその信頼性をも加味して思考を進めていく。少し“定性的“な感じもしたが、致し方ないのだろう。
主にドイツのジェンダー史を見ながら、日本のジェンダー史を辿って行く。
引き込まれたのは
第7章 身体
第9章 労働
第10章 植民地・戦争・レイシズム
ここいら辺りを読むと『ジェンダー史』というのはその時々の社会が作り出すもの。固定化されて現在にそのまま至るものも多いけれど。
二項対立的な性差へ考え方は、男女問わず、どちらの側からも築かれたのだということが分かる。
男性の都合の良いように作られた。というイメージが強かったが、一概にそうとは言えないようだ。
自分にとっては目から鱗な部分の多い本でした。 -
ジェンダー史の基本について学べるだけでなく、戦争、福祉、労働とジェンダーについても学べる。
「日本での第二次世界大戦中の女性事務職の急激な拡大は、戦後、女性に「特別な配慮を要する存在」というあらたな意味を与えることによって、「花嫁修業としてのOL」、「判断事務=男性」「作業事務=女性」という事務職の性別職務分離を準備した。」(214p)
この部分とか、性役割の形成と戦争についての説明がうまくなされていると思った。
強いていうなら、日本とヨーロッパ以外の国のジェンダー史についても知りたかった。 -
ジェンダーとはなんだろう。
本書は女性史について10個のポイントを挙げて解説する。
自分自身がイメージしていたものが歴史的に見るとある種思い込みであったことに気づかせてくれた。
例えば、一言で「フェミニズム」といっても母性主義に則ったもの(日本では平塚らいてうなどが代表)であったり、
ウーマンリブに否定的であったりと、決して一枚岩ではないことは興味深い。
また、かつて私が学んだ歴史教科書においては、女性が入っていようがいまいが、人々は一緒くたに「個人」「民衆」との記載であった。その上で女性参政権は〇〇年、などの注釈だったと記憶している。
しかし現在の歴史総合ではジェンダー配慮記載になっているとのことで、改めて勉強をしたいと感じた次第である。
意外だったのは第9講の「労働」である。
女性の労働というと、『女工哀史』に代表されるような受身的存在の犠牲者、という印象が強かった。
(「ああ飛騨が見える、飛騨が見える」と言って亡くなった女工のイメージあるいはインパクトが強い)
しかし実際は時間管理改善など抵抗の側面もあり、必ずしも可哀想で搾取されてばかりだったわけではないようだ。
とはいえ、繊維工業では、男性が親方、職人としてアイデンティティを保っていたのに対し、女性は普及品の作成、良き嫁としてのあくまで一技能という位置付けに置かれていたことは変わらぬ現実としてあることも忘れてはならない。
第10講は本書の中で最も興味深い。
端的にいえば女性は必ずしも戦争中の被害者としての側面のみにあらずということ。
著者の専門とするドイツ社会、第二次大戦中は自ら戦争に協力をしていた女性たちの存在も指摘する(当然日本でもだ)。
男性独裁だけではない負の側面もまた見つめる必要があるだろう。
一方で、戦争中の性暴力はプロパガンダでもある。
この国は女を守れない国、弱い国であるというアピールができるからだ。
今なお続く紛争を思い、女性や子供のために何かできないかといつも考えている。
社会を考える上で、男対女ではなく、フラットに見つめることは大切な要素だ。
それぞれの言葉を丁寧に読み解くこと、結論ありきで研究をしないこと、その難しさと必要性を感じる本であった。 -
興味を覚えて入手し、ゆっくり読了した1冊である。
「10講」と銘打っている。10の篇、或いは章でなる1冊だ。大学の講義か何かのように、「講」と名付けられた篇に関する話しを1時間半程度でするような感じの内容だと思う。読み進め易い綴り方になっていると思う。
「歴史」というのは、様々な記録を紐解いて、それを整理して語られ、伝えられるというモノである。そうやって語られ、伝えられる内容は、自ずと“主流”とでも呼ばれるような人達に関わる内容が多くを占めるようになるであろう。が、各々の時代に、その“主流”ということにもならない多くの人々の存在が在り、その活動等が確実に在った筈だ。
その“主流”ということにもならない多くの人々の存在の代表的なモノかもしれないのが「女性」である。「歴史の中の女性」または「女性達の歴史」というような、語られるべきこと、伝えられるべきことも多く在る筈だ。本書はそこに眼差しを注いでいる。「女性史」とでも呼ぶような事柄に纏わる研究の経過、そして「女性史」ということで整理された内容のあらましということに関して、主にドイツの歴史に纏わる研究を手掛けて来た著者が綴ったのが本書である。
女性に纏わる「少し古いイメージ」というような事柄が、実は相対的に新しい時代に造られたようなイメージであるということに、本書の内容を通じて気付かされた。そして、「古くから…」ということの多くがそのようなモノで、「現在時点で如何か?」と色々なことを、積極的に真摯に考えるべきなのかもしれないというようなことも、本書を読んでいて思った。
「歴史」とは、何事かを覚えるというより、モノを考える材料に触れて考えてみるという存在なのだと思う。本書はそんなことを思い出させてくれる。 -
桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
https://indus.andrew.ac.jp/opac/volume/1331754 -
★★★ 読めてよかった
この本では、主に元来の「男性の視点のみ」から語られてきた歴史を批判して登場した女性史の成立・女性の権利の歴史などを追っていくものだ。例えばルネサンスは従来の歴史では芸術の復興などとポジティブな見方をされているが、女性の視点から、特に富裕層の女性からすると、恋愛・結婚の自由を取り上げられた、『不幸な』歴史だった。
意外性はあり、また現代のジェンダー観は近代以降に急速に作られたものだったという指摘は大変興味深い。しかし一方で、女性史は女性視点での資料があまり残っていないために推論で語られやすいという特徴も見受けられた。この点を解消できなければ筆者の、女性史はもっと重視されるべきという主張には賛同できないと思った。 -
女子栄養大学図書館OPAC▼https://opac.eiyo.ac.jp/detail?bbid=2000070184
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読んでいる途中だけど、第4章の記述の中で、歴史を考える上で、「正史」という見解はもはや成り立たず、ジェンダー史もある見方としての歴史の一つなのだ、という指摘は心に留めておく必要があると思った。
ジェンダー史だけでなく、障害者の観点から捉えた歴史とか、民族や移民の観点からとらえた歴史とか、多様な歴史の見方があるということを改めて気付かされる。
これまでの歴史の叙述から埋もれてしまった歴史を掘り起こし人々の歴史認識をズラすことに貢献してくれるのが、上記の新たな歴史学なのだろう。
だけど、できれば依拠した出典の明記の仕方がもう少しわかりやすいほうがいいなと思った。例えば、「〜〜(〇〇 2024)。」とか「〇〇(2024)によると、〜〜。」みたいな感じで。 -
新書ということもあって平易で簡潔に書かれていて読みやすい。内容は女性史やジェンダー史の勃興から歴史叙述との関係、家族史や身体史や労働史、他には近代家族論、社会構築論、ポスコロなんかが扱われている。ほとんどの章で日本やアジアのことについての記述が含まれていて、読んでいて沸いた「日本やその他の地域ではどうなんだろう」といったような疑問にはある程度は応答してくれていて快適だった。
ジェンダー史は全く知らんので記述の確度は分からないけど、姫岡さんは全くの門外漢のぼくでも知ってるような方なので信頼できるとは思う -
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出版社(岩波書店)
https://www.iwanami.co.jp/book/b639924.html
内容、目次、試し読み
米田佐代子による書評(WAN「おんなの本屋」)
https://wan.or.jp/article/show/11156 -
(後で書きます。参考文献リストあり)
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静岡市女性会館図書コーナーの書誌詳細はこちら↓
https://lib-finder.net/aicel21/book_detail_auth?authcode=7seQvi54SeXsuxh8aEhV%2FQ%3D%3D -
近代家族、アナール派とかとか懐かしい。あと吉見義明すごい。
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長かった~。でも久しぶりに「勉強の本だ!」と思った。歴史学の文法。
女性の地位向上、と一口にいっても時代によってその論理は異なるのだ。
中世以前は近代的家族観とは全く違った意味合いだったんだね。子宮は男性器の裏返しってウケる。そういうこともすべて、科学者がひとつひとつ解明していったことなのだ。 -
ジェンダー初学者としては、目からウロコの内容だった。特に、第5講「家族を歴史化する」、第6講「近代社会の編成基盤としてのジェンダー」は、視点の変更を迫られるものだった。
以下の点は、本書で特に衝撃的に受け止めた点として概略をメモしておく。
・ルソー、エミール、服従は女性の自然の状態、夫に従いつつましく家庭を守る妻の像を描いた。
・カント、人間の理性による自由な決定が不可能として身分制を批判、それができる成熟状態に達せられるのは男性だけで、女性は一人前でない「未成熟状態」の存在と考えた。これは「自然の性差」であると考えられた。それを後押ししたのは、17世紀の科学革命の台頭だった。近代科学、解剖学による身体的な差異に意味を付与。
・フランス革命。女性も参加。1792年の共和制の樹立後、女性の選挙権、政治参加を否定。その能力に欠けるという理由。
フランス革命は、男性の公領域、女性は私領域という公私二元的ジェンダー秩序を基盤として近代市民社会が形成されていく、その出発点ともなった。
・ドイツ、フィヒテ。夫婦関係における男女の愛の形の本質的な相違をベースに、妻の愛が夫に献身するもそであるのに対して、夫の愛は妻の献身に自然の寛大さで応えるものだとし、これにより夫婦の人格的一体化が成り立つと考えた。 -
歴史はどのように女性を語ってきたのか。歴史を語り直すきっかけとなった女性参政権運動やリブ運動などを踏まえながら、歴史の再発見について書かれていた。特に面白かったのはナチ時代のドイツではユダヤ人だけではなく障害者や同性愛者などの虐殺実行犯には多くの女性が関わっていたということ。考えれば当たり前のこと何のなぜだか今まで疑問にも思ったことがなかった。こうして今まで語られなかった女性というものが語られているのは大変興味深く自分の思い込みも明らかにできた。
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とても勉強になった。「歴史学に根本的転換をもたらした」というジェンダー史についての概説本。ただ、けっこう難しいと感じた。その難しさは、この本の文体ではなく、僕が「古い歴史学」に囚われていることに起因している気がする。言い換えれば、それほど「古い歴史学」の桎梏は根深く、強固なのだろう。
歴史における女性をゲットー化せず、ジェンダー史の視点を歴史学に組み込んでいくこと。最終的には「ジェンダー史」自体が独立の分野ではなく、歴史学の方法論のひとつとして定着することが理想なのかなと思う。
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