ひらがなの世界 文字が生む美意識 (岩波新書 新赤版 2017)

  • 岩波書店 (2024年5月21日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (248ページ) / ISBN・EAN: 9784004320173

作品紹介・あらすじ

たとえば紀貫之によると伝えられている「高野切」は、書を学ぶ人の手本となる書である。この名品には書き間違いがあるといわれ続けてきたが、しかしそれは本当に誤字脱字なのか。著者は実作者の目をもって書と対話し、ひらがなという大河の最初の一滴にさかのぼる。「つながる」という本質に注目しながら、美の宇宙を読み解くこころみ

みんなの感想まとめ

言葉の本質や日本語の成り立ちを深く探求する内容が魅力の一冊です。ひらがなの生い立ちや、漢字、ひらがな、カタカナの三種の文字がどのように日本語を形成しているのかを丁寧に解説しています。特に、ひらがなが持...

感想・レビュー・書評

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  • ひらがなの生い立ちは、漢字の意味を完全に払拭するために漢字ではない文字のにならなくてはならない。その強い指向が高まって、やがて、漢字を使った仮字=万葉仮名(漢字)は女手(ひらがな)へと一大変身をとげることになった。
    女手=ひらがなと、知っただけでも、この本を手にした価値はありますな。

    そして、日本語を書記するために、漢字、ひらがな、カタカナの三種の文字があるのではなく、三種の文字とともにある言葉が日本語をつくっている。
    「漫画」「まんが」「マンガ」も、「桜」「さくら」「サクラ」もこの言葉の持つ意味合いは微妙に違う。

    それと、色紙なんぞに書く時には、敢えて字を抜く、脱字とはどういうことかと言えば、これは隠字、字を隠し伏せる伏字だと。まさにミステリーの紐解きのようで、昔の人はいろんな処に愉しみを見出してたんですな。

    短歌作りの際、ひらがなが好きなごまめ、どこか女っぽいところがあるのか、逆に大切にしたいですな。

  • これはすごい新書です。びっくりしました。恐る恐るでしたが読んでよかったです。ひらがなってずっと文字のひとつだと思っていましたが文字と絵画のあわいにある表現手法であることを知りました。日本人のメンタリティを象徴する芸術だと思いました。書にも和歌にも距離感のあった自分がなぜこの岩波新書を手にしたか?実は上野の森美術館でやっていた展覧会「石川九楊大全【状況篇】」の最終日に駆け込んで来ました。「言葉は雨のように降り注いだ」というサブタイトルになんか感じるものがあったのです。墨地で叫んでいるような初期の作品や河東碧梧桐らの俳句を文字で墨絵のように描いている作品や9•11や3•11から生まれた作品にも心動きましたが、ご本人が学芸員を引き連れて解説しながら閲覧しているのに遭遇、その姿が単純にカッコいい、と思ったのです。どんな文章書くのだろう?と手にしたのが出版間もないこの新書だったのです。これは展覧会と違ったインパクトがありました。先ず最初は、日本語という言葉があるから文字があるのではなく、漢字、ひらがな、カタカナという三種類の文字に対応する言葉が一体となって日本語があるという指摘にやられました。その中でひらがなが掛字、隠字、併字、重字、畳字、顕字…様々な技巧をともなって言葉以上の感情を伝える表現であることに、驚いてしまいました。もちろん、流麗な草書を読み込める訳でもなく、新書ではあり得ないような写真図版と、丁寧な印刷文字での再現というサポートがあってやっと、なんかわかる気がするというレベルですが…。さらに上野の国立美術館でやっている「神護寺展」で空海の真筆を見て、文字の力をちょっとすごいと思う夏休み展覧会シリーズでした。

  • 文字とは何か、アートとは何か、書とは何か、今までなんとなく持っていた先入観をひっくり返してくれた素晴らしい本。
    すみれを菫でなく万葉仮名で表したのは、東アジアという壮大なスケールに拡散させず日本列島に咲くあのすみれという風情を伝えたかったから。
    万葉集の舒明天皇の国見の歌がカモメに加萬目を当てて意味が含まれていたように、万葉仮名が漢字をつかっているが故に表音文字になりきらなかった、つまり漢字の意味が浸透して字自体が意味を持ってしまう。そこで女手が生まれた。
    寸松庵色紙、秋萩帖、高野切などを題材に、誤字や脱字とされているものが言葉の本質に根ざして生まれたもので、現代の我々こそ言葉の表現がいかなるものかを見失っているのではと指摘する。連結した表現するや掛字、併字だったり、霧で隠されることを暗示した隠字、伏字、重字、畳字、顕字といった技巧。不自然な筆触から白菊が秋風に吹かれているように表現されているもの、上の句と下の句の空間に月の光を表したものなど。
    東アジアでは書が文化の中心で絵画はその亜種とされていた。彼岸意識と此岸意識。葦手が絵文字と関わるかも。春はあけぼのは原文に読点などはなく、オリジナルは失われていて現存している写は切れ目なく続いていて清少納言の意図はわからない。一字一字を読む中で重層的に刻々変化していく春はあけぼの全体のシーンが立ち上がってくる。
    篆書、隷書、草書の歴史とか王羲之といった書の基礎知識も教えてくれた。

  • あなたはまだひらがなをなにもしらない

    ひらがなは、多くの人にとって、おそらく初めて書いたり読んだりできるようになった字だ。漢字を崩してできた字、という成り立ちもぼんやり知っている。しかし、この本ではあまりに奥深いひらがなの成立と表現力が語られる。字が抜けたり重なったりして書き間違えたように見えるものが、実はひらがな特有の表現であった。隠すことで読ませ、重ねることで読ませ、ひらがなは音以上の意味を伝えている。読み解きは正直難しく、筆者の言いたかったことを存分に理解できたとは言い難いが、ひらがなには思いもよらない奥深さがあるとわかった。

  • 文字は単に言葉を表す道具ではなく、言葉は文字と共にある。「掛筆」「掛字」「隠字」「併字」「葦字」など現代の常識書からいえば誤字脱字にしか思えない書法を、書家の目から実例に沿って具体的に解説している。日本の文字はその内容を書き残すという機能だけではなく、書という芸術表現なのだということを再認識させる。(世界の他の文字も多かれ少なかれそういうものかもしれないが・・)

  • すっごく面白かった。
    私の中の今年の新書大賞!

    ひらがなの何の話しなのかなぁと予想できず読み始めましたが、ほとんどが和歌のひらがなの書法の解説?の様な内容でした。

    ひらがなが作り出す世界観が、宇宙的&絵画的でロマンです。
    和歌の内容は解説があればこその理解ですが、
    歌の世界に奥行きを出す役割をひらがなが担っていたとは!
    昔の日本人の創造力と美意識を今も感じ取れることに感動します。

  • 展示の解説を読んでいるようだった。作品の解釈の仕方に終始し、同じことが繰り返し書かれていた。そこから見えてくる新たな視点が小さい段階に収まっていて、発展した内容を期待していたので残念だった。

  • 「高野切」や三色紙(「寸松庵色紙」「升色紙」「継色紙」)の内容をもとに、和歌の世界にある修辞技法「掛詞」のように、かなの書にも一字レベルの「掛字」、一筆レベルの「掛筆」があるのだという自論を展開する一冊。ひらがなの書において時折見かける文字の欠落や重複を「技法」とする主張なのだが、書道門外漢の私ながら「そうだったのかー!」とはならず、腑に落ちていない。
    昔は紙が貴重品だったというし、(かなの書ではないけれども)王羲之の「蘭亭序」にある書き損じがそのまま写されて遺されていたりする例などを思うと、「昔の書の文化では、書き損じに寛容だった」と言われた方がすんなり納得できたりする(というか、私自身がそういった認識でいたので、「技法」という整理の仕方からは、今までの認識を上回る納得感がなかったということ)。

  • ひらがなというと学校で習ったあのひらがなであり、漢字を崩して書いたところから生まれたというイメージくらいしかなかったのだが、その歴史の先に深くて豊かな世界が広がっていることを教えてくれる1冊。適当なあて字だろうと思っていた万葉仮名の漢字の選択にも意味があることだったり、写し間違えの脱字だと思われていた所に意味があったりといろいろと興味深いひらがなの世界が広がっていた。日本史が苦手な人でも楽しく読めるだろう良書だと思う。くずし字読めるようになりたいなぁ。

  • 女子栄養大学図書館OPAC▼https://opac.eiyo.ac.jp/detail?bbid=2000071337

  • 共通認識がある中でこそ、表音文字と思われるものが多層的な表現を行えることに衝撃を覚える。広く文字が普及している現代において、反比例するように意味が通じなくなり、文字が増えていくこととの豊かさの比較へと考えを巡らせた。

  • ひらがなの文字の美しさを実例を見せながら解説してくれる一冊。

    書道や古文書、昔の日本文学などが好きな方にはマッチすると思う。

  • 言語学じゃなくて「書」としての
    「ひらがな」の本でした。
    著者をちゃんと見たらわかったねぇ。

    でも、あえて書かないで類推させる
    「隠字」という書法とか
    初めて知りました。
    ちょっと遊び心というか、おもしろい。

  • 桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/volume/1334494

  • 東2法経図・6F開架:B1/4-3/2017/K

  • 【本学OPACへのリンク☟】
    https://opac123.tsuda.ac.jp/opac/volume/715367

  • 武蔵野大学図書館OPACへ⇒https://opac.musashino-u.ac.jp/detail?bbid=1000272277

  • 【請求記号:811 イ】

  • 書道はまったくの素人です。
    入門書のつもりで読んだから余計につらかったんだろうと思いますが、感性あるいは観点が独自すぎるせいか、そもそも私には合わない文体だからか、あんまり言いたいことが分からなかったです。
    でも、ある程度書を学んだ方なら、また面白さを味わえるような本であるという気がします。

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著者プロフィール

書家。京都精華大学客員教授。1945年福井県生まれ。京都大学法学部卒業。1990年『書の終焉 近代書史論』(同朋舎出版)でサントリー学芸賞、2004年『日本書史』(名古屋大学出版会)で毎日出版文化賞、同年日本文化デザイン賞、2009年『近代書史』で大佛次郎賞を受賞。2017年東京上野の森美術館にて『書だ!石川九楊展』を開催。『石川九楊著作集』全十二巻(ミネルヴァ書房)、『石川九楊自伝図録 わが書を語る』のほか、主な著書に『中國書史』(京都大学学術出版会)、『二重言語国家・日本』(中公文庫)、『日本語とはどういう言語か』(講談社学術文庫)、『説き語り 日本書史』(新潮選書)、『説き語り 中国書史』(新潮選書)、『書く 言葉・文字・書』(中公新書)、『筆蝕の構造』(ちくま学芸文庫)、『九楊先生の文字学入門』(左右社)、『河東碧梧桐 表現の永続革命』(文藝春秋)、編著書に『書の宇宙』全二十四冊(二玄社)、『蒼海 副島種臣書』(二玄社)、『書家』(新書館)、作品集に『自選自註 石川九楊作品集』(新潮社)、『石川九楊源氏物語書巻五十五帖』(求龍堂)などがある。

「2022年 『石川九楊作品集 俳句の臨界 河東碧梧桐一〇九句選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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