ピーター・ドラッカー 「マネジメントの父」の実像 (岩波新書 2045)
- 岩波書店 (2024年12月24日発売)
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感想 : 27件
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Amazon.co.jp ・本 (238ページ) / ISBN・EAN: 9784004320456
作品紹介・あらすじ
全体主義が台頭して破局へと向かうヨーロッパからアメリカへ渡り、産業社会と企業、そして働く自由な人間に未来への可能性を見出したドラッカー。最晩年の肉声に触れた著者が、内なる怒りと恐怖に静かに向き合う、アウトサイダーとしての実像を描き出す。明るい本を書き続けた「マネジメントの父」に、新たな光を当てる。
感想・レビュー・書評
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『マネジメント』で知られるピーター・ドラッカーの生涯をコンパクトにまとめたもの。
ドラッカーはウィーン出身であったが、ナチスの台頭に危機感を覚えてイギリスに逃れ、さらには米国に渡った。実際、ドラッカーの最初の著作は、全体主義を批判的に論じた『『経済人』の終わり』である。ドラッカーがさらにマネジメントに注目するようになったのは、全体主義を防ぐには企業が活力を持ち、社会的責任も果たすことが必要との考えのためであった。晩年は、非営利組織のマネジメントにも関心を広げる。
ドラッカーの関心や業績が全体主義の防止という観点で貫かれていることがよくわかった。世界情勢が不安定な今だからこそ、ドラッカーは読み返される価値があるのかもしれない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ドラッカーの著作から受ける印象で強いのは、駄弁の削ぎ落された骨太な叙述と見えて、その中で縦横に展開されている巧みなレトリックだ。それがインテリゲンチャに憧れている現実世界のマネジャ達へ訴求するのだと思う。現実の混沌と日々格闘する現場のマネジャは、無意識のうちに精神的な部分を後押ししてくれる導師を求めているのだ。ドラッカーは近代ビジネスの導師そのもの。
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“目標はマネジメントの基本的な工具でもある。鏡なしで自己像を確認しえないように、目標なしにふさわしい成長も成果もない。人間とは常に固有の何かを志し、何かを実現しようとしているのであって、「飴と鞭」は元来不要であり、セルフモニタリングこそが最高の動機付けとなるとドラッカーは見ている”
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有名な学者には違いないが、私のように、彼の著作を読む機会がなかった者にとって、コンパクトに生涯とその著作のエッセンスを知ることができるとともに、随所に腑に落ちる記述が見られる良書である。
著者は、日本におけるドラッカー普及の背景について、敗戦国日本が、自由主義陣営のリーダーとして覇権を握った大国が保持する多元的価値を深く認めることからスタートしたのは自然とする。しかし、産業人に対する激励者としての役割を果たしたのに止まり、その説くところは学界実務に受け入れられていないとする指摘は、面白い。
著者はドラッカー研究の専門家。著者の所属する「ものつくり大学」もドラッカーの影響下で作られたという。最良の著者による最良の伝記本ではないかと思う。 -
非営利組織に関わる中でドラッカーの言葉を紹介する場面はこれまで何度もあったが、ドラッカー自身の人生については本書で初めて知った。ドイツ系ユダヤ人の家庭で生まれ、WW1、ナチス体制下で育ち、イギリスを経てアメリカへ。キルケゴールの実存主義からの影響や日本の水墨画を始めとした美術への関心など知らなかったことが多く、人や組織に対する眼差しや期待がどこから来ているのかが少しわかった気がする。非営利組織関連の書籍でもまだ読んでないものがあるから読みたくなった。
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アメリカでドラッカー氏のことを話してもなかなか反応が鈍く、日本のそれとは全く違ったことに違和感を持った昔を懐かしく思い出した。世界の経営学と少し違った湿っぽい(?)日本の経営学の畑が馴染んだのかなあと、自身の過去の経験を思い出しながら読んだ。
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ドラッカーに関しては、ビジネス・自己啓発本のベストセラー作家、日本におけるもしドラのヒット、またマクルーハンとの交友関係などが個人的な印象といったところだが、実際に何を行ってきたのかという(自伝的なもの以外の)著書から掬えない部分を新書としてまとめられていてありがたい。
経営学という学問についての信頼が未だに根付かない自分としても、アウトサイダーとしての観察眼や、学問的な疑義に対する実践上の反論といった彼特有の立ち位置は飲み込める部分も多く、パーソナリティとしての興味はより深くなったといえる。 -
ドラッカーの人生が深く理解できる良書。
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『#ピーター・ドラッカー』
ほぼ日書評 Day874
なんともシンプルな書名だが、あのドラッカーの伝記的な内容。
正直、評者は "もしドラ" くらいしかまともに読んだことが無いのだが、これまでこの手の本がまだ出ていなかった("ピーター・ドラッカー" でAmazonを検索しても本人の著作くらいしか引っかからない)のが、少し驚き。
それだけ "現代" の「巨匠」であったということか。
これまでマネジメント系の著作を手にとっては何度か挫折しているので、有名な『断絶の時代』あたりから改めてトライしてみるか。
同書は、佐藤栄作元首相も通読したと自ら雑誌で語ったのをはじめ、学生紛争もその構図で理解されようとした等、日本ではある種の社会現象化したとのこと。
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ドラッカーの思想の背景がよくわかる。
キルケゴール。実存主義 -
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配架場所・貸出状況はこちらからご確認ください。
https://www.cku.ac.jp/CARIN/CARINOPACLINK.HTM?AL=01436112 -
女子栄養大学図書館OPAC▼https://opac.eiyo.ac.jp/detail?bbid=2000073511
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【本学OPACへのリンク☟】
https://opac123.tsuda.ac.jp/opac/volume/725195 -
東2法経図・6F開架:B1/4-3/2045/K
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1. ドラッカーの生涯と背景
- ナチスの迫害とアメリカへの亡命: ドラッカーはナチスから迫害を受け、アメリカに亡命し、過去の暗い思い出を振り切ろうとした。
- 産業社会への関与: 彼は企業組織の研究に注力し、知識を深めることで過去と対峙しようとした。
2. コミュニティと人間社会の重要性
- 企業の自己中心性: 企業が自己中心的な要求の道具になることへの警鐘を鳴らし、人間社会への洞察が企業の成長に不可欠であると主張。
- 晩年の事業: 彼の晩年の活動は、一般的なイメージとは異なり、彼が生涯を通じて大切にしてきた価値観の具現化であった。
3. 20世紀の認識
- 「浪費された世紀」: ドラッカーは20世紀を「浪費された世紀」と呼び、合理主義の進展が生きた人間社会を否定していると考えた。
- 歴史の中の教訓: 19世紀と20世紀の歴史を通じて、企業と人間社会の関係を理解することの重要性を説く。
4. 社会生態学のアプローチ
- 社会を観察する手法: ドラッカーは社会生態学を用いて、理論や分析に頼らず、現実を観察することの重要性を強調。
- バジョットへの敬意: ウォルター・バジョットの観察方法を引き継ぎ、社会の内在的な論理を見極めることを目指した。
5. 経済とビジネスに対する見解
- 未来の予測の難しさ: ドラッカーは、未来の予測は不可能であり、観察に基づく現実の理解が重要と考えた。
- ナチズムとの接触: ナチズムの影響を受け、自らの人生観やビジネス観に大きな影響を及ぼした。
6. 教育とコンサルティング
- 教育的アプローチ: 教えることを通じて他者との対話を重視し、教室を知識を深める場とした。
- コンサルティングの役割: 企業の現実を深掘り、実践的な知識を提供することがドラッカーのコンサルティング哲学であった。
7. 日本における影響
- 経営者に与えた教訓: 日本の経営者たちに深い影響を与え、彼の思想が実践に移される様子が見受けられた。
- 社会的共生: ドラッカーは社会的共生に目を向け、企業が果たす社会的責任の重要性を説いた。 -
絶望の時代を生きたからこそ人に希望を見いだしたのだと思う。その哲学は資本主義の破綻が現れている今、引き継いでいく必要がある。
著者プロフィール
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