日本人拉致 (岩波新書 新赤版 2064)

  • 岩波書店 (2025年5月22日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (228ページ) / ISBN・EAN: 9784004320647

作品紹介・あらすじ

突如自由を奪われ、独裁体制下で生きた二四年。北朝鮮からの「帰国」を後押ししたのは、現地に暮らすある人の言葉だった――。私はなぜ拉致されたのか。「マインドコントロール」「革命教育」の現実は。国家に生を翻弄された当事者自らが未解決事件の本質をえがく。重層的な人権問題として拉致を捉えなおす決定版。

みんなの感想まとめ

国家による人権侵害の実態を深く掘り下げたこの作品は、北朝鮮で拉致された著者の24年間の苦悩と葛藤を描いています。著者は、強制的な思想教育やスパイ活動に従事させられた経験を通じて、拉致がもたらす悲惨な現...

感想・レビュー・書評

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  •  帯を見て、「帰国されてもう23年も経ったのか」というのが衝撃でした。拉致されて北朝鮮での24年に匹敵する長さです。その間、帰国した5人以外の拉致被害者の奪還について日本政府はその言葉とは裏腹に無為無策でした。

     その24年間の北朝鮮での生活、北朝鮮のスパイ組織の人間との関係、マインドコントロール、やらされた仕事・・・それらを軸に、北朝鮮の「明確な国家戦略があっての拉致作戦ではなかった」ことを明らかにし、その出鱈目さを指摘します。そして、北朝鮮のいう「8人死亡」は捏造だと一人一人について明らかにします。
     なぜ5人は帰国できて、8人は「死亡」とされたのか。著者は「日本政府との面会の際に、北朝鮮側の描いた筋書き通りに話してくれないと思われる人たちは、「生存者」リストから外された可能性が高い」「常に日本に帰りたいというつよう思いを持っていると判断される拉致被害者、なかでも家族がおらず、発言を強要するための人質がいない拉致被害者は、日本側と会わせないために、生存者リストに入れなかったと考える」と書きます。

     北朝鮮が出した8人の死因は著者が書く通り出鱈目でしょう。ただ、生存者リストに入らなかった理由はあくまでも推測に過ぎません。通読しても、そこが強化されることはありません。だからこそ、その救出が急がれる、ということだと思います。

     拉致被害者本人しか書けない、北朝鮮での24年。貴重な証言です。

     

  • 日本人拉致に関する詳細を知ることができました。当事者がかの国で強いられた色々なことや、かの国の方針の行き当たりばったり感がよく分かりました。
    他の拉致被害者の方々の帰国を祈念いたします。

  • 私は拉致された方が北朝鮮でどのような暮らしをしていたのか興味があったためこの本を読みました。この本を読んで著者である蓮池薫さんが24年間、北朝鮮で苦しい思いをしてきたということがよく分かりました。

    その本の中でも以下の二つの内容は読んでいて胸が締め付けられました。
    ・平成5年に北朝鮮とアメリカの間で核を巡る対立が起きた際には
    『(略)有事の際には真っ先に前線部隊に嘆願入隊することも誓わされた。「拉致されてきた私が、どうして拉致した国のために戦争にいかなけばならないのだ...」決意の拳を振り上げながらも、私は理不尽な思いでいっぱいだった。(略)』(120P)

    ・日本語を教えるため、現在の時事にも詳しくなければいけないということから、日本の出版物に接することもできるようになった際に検閲から漏れた内容を目にしました。
    「(略)1997年、日本で拉致被害者家族会が結成され、被害者救出のために運動している新聞記事もその一つだった。掲載写真に私の名前の入ったたすきを肩にかけた良心の両親の姿を見つけ、胸の詰まる思いがしたのを記憶している。」(151P)

    上記の二つの内容で両親が自分を必死に探しており「両親に対して、ここにいるよ」と言いたい気持ちがあっても言うことができないというのは深い悲しみを感じました。

    また、日本語をスマートに話せる工作員を育てるために一所懸命日本語を教えていたが、なかなかものにならなかったとも書かれていました。(134P)

    筆者は言います。「北朝鮮による日本人拉致はまさに国家犯罪であり、人権侵害の極みである。それは、拉致というものが、被害者から人間としての尊厳、幸福を追求する権利のすべてを奪い去る行為であるからだ。」(202P)

    とあります。私自身、一刻も早く拉致被害者が帰還できるよう国が動かなければいけないと思っています。しかし、交渉は生き詰まっているのではないでしょうか。国(外務省)は水面下で北朝鮮と交渉しているのでしょうか。水面下で交渉してくれていればよいのですが、このまま時間だけ過ぎていくことは避けていただきたく思っています。横田めぐみさんの帰りを待ちわびる横田早紀江さんも89歳と高齢となっています。そのため、早くこの問題を解決しないといけないと思っています。

  • 大学生で北朝鮮に拉致されてからの生活を克明に綴る。
    思想教育をし、スパイにしようとした?完璧な日本語を使える朝鮮人スパイの養成に加担させようとした?
    日本に帰国するまで、蓮池さんたちは、どこまで当時の日本の情報を知っていたのか?
    なぜ子どもを置いて日本に帰国する決断をしたのか?
    さまざまな疑問が、一つ一つ解き明かされていく。古希に近い年齢となった著者が、今書いておかなければ…と思ったという。書いておいてくれて、ありがとうと思う。
    未だ帰国でない拉致被害者たちにも、光が当たることを願う。

  • これがフィクションではないのが恐ろしいです。
    ただただめぐみさん達を返してくれればいいものを…

  • 彼の言う通り、拉致は政治問題として使われてきた感が強いが、これは不当にも人権が蹂躙されたということこそ本質だ。
    蓮池薫さんが長い年月をよく耐えて、子どももともに自分の国で暮らすことができていることを心から喜びたい。
    それにしても北朝鮮側が犯した拉致が、理由も経緯もたいへん杜撰なものであったことを知り呆れた。
    残る人たちもみんな帰国させてほしいと強く思う。

  • 北朝鮮拉致被害者、蓮池薫さんの著作。
    岩波書店の月刊誌『世界』2023年1月号~2025年1月号(隔月)に連載された記事に加筆修正を行って上梓されたもの。

    著者は1978年、当時の恋人(後の妻)とともに突然、北朝鮮に暴力的に拉致された。その後、翻訳や日本語教師として働かされつつ、自由を奪われて北朝鮮に留められた。2002年、実に24年ぶりに、妻を含む4人とともに帰国した。
    以来、常に、
    なぜ自分は拉致されたのか、その結末はどうだったか、自分たちだけが帰国できたのはなぜか
    という、頭から離れない問いがあった。
    そして自分たちの帰国をもって、拉致事件が解決したかのように扱われることを許してはならない、事件を風化させてはならない、という強い思いが、連載依頼を引き受ける大きな要因となった。

    24年の日々は洗脳の日々だった。思想教育を受け、指導者を称えることを強要される。暴力的に連れてこられ、当初は恋人とも引き離された孤独の中、1日1日を生き抜いていかなければならない。

    渦中にいる間は必至である。帰国して23年、拉致されて過ごしたのとほぼ同じ時を経て、ようやくさまざまなことを考えあわせ、ようやく整理がついて言葉にできるようになったことも多い。

    拉致は非常に計画的に周到になされたというよりも、複数の機関が関わり、場当たり的に行われたもののようである。拉致した日本人を工作員として使うこと、また北朝鮮工作員の教育係とすることが、主な目的であった。が、特に思想的に北朝鮮寄りであるとか、あるいは日本語教育の経験を持つとか、それにふさわしい人物を探して拉致したわけでもなく、極端な場合、横田めぐみさんのような少女もいた。普通の人々を暴力的に拉致してきて、思ったように動かせるわけがない。
    著者も複数の工作員候補者に日本語を教えることになったが、そもそもあまり教育を受けていないものもいたし、教材も十分ではなく、流暢に会話ができるようにするのは難しい。本当に工作員となったものがいるかどうかは疑わしいようだ。

    何とか出世しようと画策するものもいて、著者も権力争いに巻き込まれそうになった経験もある。指導者への忠誠心を表し、歓心を得るために、冬の平壌に温室を作って、著者らに花を作らせたなどというびっくりするようなエピソードもある。

    2002年の帰国の際も、著者らは子供を北朝鮮に置いてきていることもあり、本当に戻るつもりであったという。だが家族の説得があり、また北朝鮮である人に言われたことが心に残っていたこともあり、もう北朝鮮には戻らない選択をする。非常に勇気のいる決断だったことだろう。この時、同時にすべての拉致被害者が帰国できればよかったのだが。
    著者は帰国の際、横田めぐみさんが死亡した噂を聞いたという嘘の話を強要され、それに従ったことを後悔している。そういった嘘までつかされてしまうあたり、抑圧的な状況下だったということだろう。

    存命の被害者が帰ることができる糸口が見つかるとよいのだが。

  • 私の地元新潟の拉致被害当事者の蓮池薫さんによる、いまだからこそ伝えるべきと取り組んだ、自身の体験と拉致された後、どんな生活をしていたのかを回想を交えながら書き記した本です。
    拉致されていた時の心境が赤裸々に綴られていて、奪われた年数を考えると悔しさは今も消えていないでしょう。
    私の幼少期、おじが刑事をしていたこともあり、人攫いが起きているとか、海岸に子供だけで近づくなとか、物騒な事を言われて注意された記憶を思い出します。
    未だ帰国の叶わない方々がいて、風化をさせてはいけないのに、報道されることも減ってきている状況なので、この本を是非中学、高校の教育資料として使って頂きたいと感じました。

  • 蓮池さんたち5人の被害者のみなさんが帰国されたご様子を、テレビで食い入るように見ていた当時のことを思い出しながら読みました。
    いくつかの場面では思い出すのもおつらかったのではないかと想像される中、ご本人にしか知り得ない真実と冷静な分析。書いてくださったことにお礼を申し上げたい。そして未だ「解決済み」には程遠い現状。このような過酷な人権侵害を絶対に許さない、一刻も早い全容解明と残された方々の帰国を迫り続けなければならない、という気持ちを新たにしました。

  • よく無事で帰って来たなあ。今更ですがお帰りなさい。

  • まだまだ道半ばの北朝鮮による拉致問題
    そんな中での今回の蓮池薫さんの手記、拉致されて向こうでの生活、何をしてまたはさせられて過ごてきたのか、
    拉致被害者同士の交流はあったのかなど、今まで私たちが知りたかったことを赤裸々に綴っておられる。

    工作員たちへの日本の教育、自分がかかわった工作員たちのその後のゆくえを心配し、どうか重大な事件に加担しないように、自分が教えたことで何かを成すことがないようになど、心を痛めておられた様子や、当時の最高指導者の死去に伴う哀悼の意の示し方、最高指導者に対する敬意の表し方、それは正しく思想教育の植え付けであり、そういう関連の書物を読まされ続けたと実に生々しく語られている。

    思い起こせば、2002年に24年ぶりに日本に帰国され、飛行機のタラップを降りようとするときの、何とも言えない表情が忘れられない。
    嬉しいような、戸惑う様な・・・
    実は、あの時は「一時帰国」で一週間ほどでまた北に帰ることになっていたらしい。
    子どもも向こうに残してきているのだし。

    「せっかく帰れるのなら帰ったらいい」とある人に(北朝鮮の人)言われ帰国を決めたとある。

    私達は、続いて第2回、第3回の帰国があると思っていたのに、その後はなしのつぶて・・・ 被害者の親、親族の悲痛な声を耳にするたび、早くすべての人の帰国が叶うことを願わずにはいられない。

  • 蓮池さん達が帰国してからだけでももう23年も経つんですね。
    海岸で拉致された方々以外に淀号ハイジャック事件の犯人グループに欧州で連れ去られた若者達がいることを改めて認識しました。
    スパイ辛光洙、大韓航空機爆破事件犯人の金賢姫、淀号ハイジャック事件犯人の妻八尾恵などの告白なども引用しつつ日本人拉致の全体像を描き北朝鮮の嘘を検証しています。
    拉致被害者なのに金正日マンセーを強制される毎日は恐怖以外の何物でもありません。
    大袈裟に胸を掻きむしって嘆いてみせるのは周りにいる通報者へのデモンストレーションなんですね!

  • これは多くの日本人が読むべき本。

  • 北朝鮮の拉致問題。関心が高かった訳ではなく、5人の日本人が帰国できていた事実すら、知らなかった。

    実家に帰ったら、たまたま母が買ってきて、拉致された方が書いた本ということで興味を引かれて読みました。

    暗闇の中、いきなり殴られて袋詰めにされて拉致される(連れ去られる)ことの恐怖、理不尽さ。
    北に渡ったが最後、監視下におかれ、生殺与奪の権を握られ、先が見えない中、「上層部」のさじ加減で運命が決まるんだ、と衝撃的でした。


    拉致して洗脳して、対日本のスパイに仕立てるための拉致。日本人になりすます為の拉致。。

    もし私が不意に連れ去られるような事態に直面したら、どう対処すべきか…?
    反抗せず従順に振る舞うのが無難か。隙をみて逃げて捕まって、もっと酷い目に遭うのは嫌だなあ、、


    筆者が、北に滞在中、日本に帰る望みは絶っていたけど、その時々を懸命に生きておられたことが心に沁みた。
    結婚して子供ができて、その子をスパイにされないために、日本語は教えなかったこと、不当な差別を受けないために、日本人であることは伏せていたこと。
    非常事態には、日本人としてのアイデンティティよりも、家族の安全が望まれる。
    どんな過酷な環境に置かれても、よく考えて最善を尽くし、命を繋ぎたい。

    日本には、ほんの1週間の滞在のつもりで帰還したというのも印象的だった。
    (まだ北に居て、相手の支配下にある時に、本音で語れるはずもないけど。。)
    …マインドコントロールっていうのは、本人が自覚出来るのは、そこから抜け出せた後なんだ。
    ご家族が、北に渡ることを拒んで被害者の日本への帰還を求めたのは、とても大事なことだった。


    子どもたちが、後に無事に日本に帰れたことも調べて知り、安堵した。
    まだ帰還できていない拉致被害者の方々も、どうか無事でいてほしい。

    全体主義というのは、ワンマンの会社みたい。
    ライバルを蹴落としてでも、トップに気に入られたら勝ち。トップの役に立ち、機嫌をとることが生き残り戦略なんて、、、

    拉致被害者の帰還と同時に、日本は北に対して食糧援助をしていた。人道支援として必要だけど、拉致者の返還のお礼みたいになってるのが腹立たしい。

    北が死亡したと主張している方々は、日本に帰って話をされると、北にとっては都合が悪い事情がある。。
    どうしたら解決に動くのか。
    日本の世論が高まれば、変化するのか。

    私も責任を感じる。

  • 読了。一気に読んだ。10年まえに、同じ著者の「半島へふたたび」を読んだことがある。今回、本を買ったのは、帯にあった書者の顔を見たからだ。10年前と雰囲気がガラリと変わった感じで驚いた。計り知れない苦悩をあじわったんだろうなと想像した。

  • 実はあんまりよく分かってない拉致問題。どうして突然帰ってきたのか、そもそもなんで拉致されたのかということが拉致被害者本人から語られていた。結構拉致被害当事者の方は状況を把握してたんだなというのが意外だった。もっと軟禁に近くて情報統制も厳しかったのかと思ったけど北朝鮮側の行き当たりばったりすぎる計画性のなさが色々知ることになっていた感じがした。そんな無計画な行動に巻き込まれた被害者の方々はたまったもんじゃなかっただろうし、この本をこの温度でかけるのもご本人だけだなと思った。

  • 蓮池薫さんの最新刊
    拉致問題により踏み込んだ内容
    拉致問題だけではなく、蓮池さんの心の動き、北朝鮮での生活、北朝鮮体制側の動き、北朝鮮の一般の人の生活まで立体的に理解できる
    拉致被害者の皆さんの無事と帰国を祈ります

  • 日本人拉致

    著者:蓮池薫
    発行:2025年5月20日
    岩波新書(新赤版)2064
    初出:月刊『世界』2023年1月号~2025年1月で隔月掲載(計13回)
    (2025年9月3日読了)

    拉致に関して僕には素朴な疑問があった。工作員に日本語や日本人の習慣などの教育係、翻訳などをさせるため、と報じられていたけれど、そんなこと拉致なんかしなくても、よど号ハイジャック犯はじめ自ら協力する日本人なんて、当時はいくらでもいたのでは?さらに、日本人に化けたとされる金賢姫の日本語を聞いていたら、とてもじゃないけど日本人とは思えないけど、それで工作員になれたの?など。

    そんないくつかの疑問について、この本では一通り、著者なりの説明をしてくれている。著者が拉致後に体験したことやそこで得た情報などにより、著者が分析し、解説をしている。例えば、上記については・・・

    ・日本から拉致をし、その日本の身分を使って北朝鮮から送り込んだ工作員が日本人として堂々と活動をする
    ・拉致してきた日本人にはマインドコントロールにより北朝鮮のために工作員として働かせる
    ・「よど号」ハイジャック犯が北朝鮮の思想や理念に基づいて日本革命を起こすのに必要な人材を確保するために拉致

    これが本来の拉致の目的であったらしい。ところが、著者をはじめ拉致した日本人は北朝鮮の工作員として思想的に染まらなかった。つまり、北朝鮮の当初の目的は失敗だった。だから、副次的な役割として、拉致被害者に対して、北朝鮮工作員への日本語や習慣などの教育をさせる、翻訳などをさせる、ということを副次的にさせたということらしい

    なお、それは朝鮮労働党の対外情報調査部が行ったこと。「よど号」ハイジャック犯による人材確保は、朝鮮労働党対外連絡部の関与のもと、「よど号」グループにより拉致されたものであり、部署(実行主体)が違うらしい

    小泉純一郎総理が5人を連れて帰った時、インタビューを受けた5人やその両親を始めとする家族が、出てくる人みんな実に理知的で冷静で賢い人ばかりだった。僕は、当時言われていた横田めぐみさんが拉致されたのは、たまたま拉致現場を見てしまったので口封じに連れて行ったというのは違うのではないか、横田めぐみさんってきっと賢い子だったのではないか、はっきりと彼女にはこうしてもらおうと目的を持って狙って攫ったのではないか、と思っていた(周囲にそう話していた)。その点についても、本書では言及していた。

    著者によると、横田めぐみさんは狙われていたらしい。偶発的ではなかったそうである。

    蓮池さんが『世界』に連載を勧められて応じたものをまとめた本。驚愕の新事実を明かすといった類の本ではなく、拉致被害者が自らその歴史を残し、自分なりに分析して解釈して残した一冊。これを読めば多くのことが分かる(ただどうしても書けないこともあるかもしれない)し、貴重な資料ともなりうる。

  • ほんとに想像を絶するような体験をしてきたんだな。
    でもまだ著者は恋人とふたりで拉致されて結婚し子供もできて、だからこそこの理不尽な国でどうにか生きてこれたのかもしれないと語っているけど、めぐみさんのことを思うとほんとに胸が潰れそうになる。
    金日成が死んだ時、涙を拭う振りをしたり唾をつけて泣いてる振りをしたってところがリアルだった。
    こも国で生きていくには私でもそうするだろうな。
    早紀江さんが存命のうちに一日でもはやく返して欲しいと切に思った。

  • 北朝鮮に拉致された後、日本に帰国した著者が23年ぶりに語る真相。拉致という出来事の瞬間から、北朝鮮に入国直後の思い、やりとり。そして、北朝鮮での20数年の生活と北朝鮮当局の思惑、狙いなどの圧力。徐々に外国人拉致の事実が国際社会に認められるようになってからの北朝鮮指導部の動き、そして帰国に際して著者夫妻がむしろ日本へは一時帰国でまた北へ戻ると考え、またそのように願っていたその訳。北に戻らずに日本に留まることになった変化。そして北がなぜ5人の拉致被害者のみを帰国させ、その他の人たちは死亡または不入国だと主張したのか、明らかな嘘だと見抜いていたが、その理由の推察。どれもが説得力に満ち、多くの疑問が解けたように思う。北朝鮮では朝日新聞の差し入れがあり、日本で拉致家族の会が発足していたことを知っていた!それは北の検閲官がまさか拉致が事実だと思わず、フェイクニュースとして黒塗りしていなかったから、実に興味深い事実だと思う。それにしても克明詳細で貴重な記録を書き残してくれたと頭が下がる。

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著者プロフィール

翻訳家。新潟産業大学経済学部准教授。
訳書に、孔枝泳『私たちの幸せな時間』、『楽しい私の家』、『トガニ 幼き瞳の告発』、
金薫『孤将』(いずれも新潮社)、クォン・デウォン『ハル 哲学する犬』、『ハル2 哲学する犬からの伝言』(ポプラ社)など多数。著書に『半島へ、ふたたび』(第8 回新潮ドキュメント賞受賞)、『拉致と決断』(いずれも新潮社)、『夢うばわれても 拉致と人生』(PHP 研究所)などがある。

「2021年 『韓国の小説家たちⅡ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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