詩のこころを読む (岩波ジュニア新書 9)

  • 岩波書店 (1979年10月22日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784005000098

みんなの感想まとめ

詩の魅力を深く理解できる一冊で、詩が持つ感情の力や人間への愛情を優しく教えてくれます。著者は、詩が感情の奥深くから発せられなければ他者の心に届かないと語り、詩に対する厳しい愛情を感じさせます。多くの詩...

感想・レビュー・書評

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  • 『詩のこころを読む』
    茨木のり子さんの選んだ詩と解説&メッセージ。
    まず、最初から私の大好きな詩。谷川俊太郎さんの「かなしみ」
    学生の頃、「何かとんでもないおとし物」が気になった。歳を重ねた今でもその思いは変わらない。いやより一層大きくなっている。
    恋の詩といえば、黒田三郎さんの「僕はまるでちがって」
    恋は風景の彩りを変える。
    「白い美しい蝶」をもたらした黒田三郎さんの妻はこの詩が公表されてプンプン怒っていたという。自分に対してだけのラブレターであってほしかったのでしょう。
    黒田三郎さんの「夕方の三十分」も忘れられない。
    子ども達と暗唱した詩の一つ。
    父が「自分でしなさい 自分でェ」と言うと
    小さなユリが「ヨッパライ グズ ジジイ」とやり返す。
    でも最後に訪れるのは「静かで美しい時間」
    たまらなくいい!

    茨木のり子さんは、法律によって、木挽町、紺屋町などの町名が変えられていったことを嘆いている。
    これもとんでものない落とし物のひとつだろうか。

    • まことさん
      まいけるさん、こんばんは♪

      私も中学生の時に、この新書を読み、黒田三郎さんに一番ひかれました。なので、私のブクログの本棚にも、黒田三郎さん...
      まいけるさん、こんばんは♪

      私も中学生の時に、この新書を読み、黒田三郎さんに一番ひかれました。なので、私のブクログの本棚にも、黒田三郎さんの詩集があります。
      2024/04/26
    • まいけるさん
      まことさん、こんにちは。私も黒田三郎さんの詩、大好きです。

      「紙風船」

      落ちてきたら
      今度は
      もっと高く
      もっともっと高く
      何度でも打ち...
      まことさん、こんにちは。私も黒田三郎さんの詩、大好きです。

      「紙風船」

      落ちてきたら
      今度は
      もっと高く
      もっともっと高く
      何度でも打ち上げよう

      美しい
      願いごとのように

      小学生の教科書にはこの詩が載ってました。

      まことさんの本棚に
      今から出かけます。
      ありがとうございます。

      2024/04/26
  • 優れた評伝にせよ、詩論にせよ、人や作品を紹介するということは自らを論じることに自然となっていくのだろうということを私は改めて感じた。

    「自分の思いを深く掘り下げていくと、井戸を掘るように掘り下げていくと、地下を流れる共通の水脈にぶちあたるように、全体に通じる普遍性に達します。それができたとき、はじめて表現の名に値するといえましょう。」

    彼女は言葉に出したことは、例えばこのような言葉は、必ず自らに厳しく課している言葉だろうと思えます。また彼女はこんなことも書いています。

    「詩は感情の領分に属していて、感情の奥底から発したものでなければ他人の心に達することはできません。どんなに上手にソツなく作られていても「死んでいる詩」というのがあって、無残な屍をさらすのは、感情の耕しかたがたりず、生きた花を咲かせられなかったためでしょう。」

    これは読む分には、なるほどと思うのですが、作り手にとっては、とってもとっても厳しい言葉です。もう私なんか、詩を創るのは止めようかと思ったくらいです。けれどもそのくらい厳しくなくては、詩人にはなれないのでしょう(私は素人なので自分で自分を許します(^^;)。

    彼女の紹介してくれた詩は総べて素晴らしいのですが、やっぱり人には好き嫌いというのがあって、私が気に入った詩は、高橋睦郎「鳩」、坂田寛夫「練習問題」、黒田三郎「夕方の三十分」、石川逸子「風」、岸田衿子「一生おなじ歌を 歌い続けるのは」、吉野弘「生命は」、河上肇「老後無事」、永瀬清子「悲しめる友よ」でした。

    そうそう、終章にひとつ、彼女は素敵な言葉を書いていました。

    「 これから先、いろんなことが科学的に解明されていくでしょうが、死後の世界のことはついにわからずじまいで最後まで残るでしょう。どんな敏腕なルポライターも、あの世からのルポを送ることはできません。想像力を働かせ、それぞれが、ただふみ迷うばかりです。
     でも、どうやっても、たった一つだけ、わからないことがあるというのは、考えてみれば、素敵に素敵なことではないでしょうか。」

  • 詩はてんで疎くよくわからないものが大半な私ですが、こちらの本で詩の読み方、視点や視座を教えてもらった気がする。

    解釈を読んだあともう一度詩を読み返した時の、腑におちる感覚が心地よく、詩の苦手な私にはとても新鮮な体験ができました。

    詩の捉え方はおそらく人それぞれだと思うけれど、今の私には最適な1冊だった。

    楽しみ方がもうちょっと身に付いたら詩集なんかにも手を出したい。

    ちなみに好きな詩も出来てホクホク♪

  •  あまり読んだことも書いたこともなかった詩ですが、何となく惹かれて読んでみました。

     茨木のり子さんが選んだ傑作ばかりが載っていて、どう読んだか、どこが良いのか、などをこれまた素晴らしい文章で教えてくれます。独特な漢字の使い方が、その言葉の意味を熟知して使っているんだなと感心させられることもありました。

     読みどころを教えてもらうと、一層その詩が唯一無二の、とても力を持ったものに感じられて、読むのが面白くなってきます。

     淡々と、情景描写や経験したことが書かれた後に、ふと最後の数行で、作者自身の中に入り込んでくる言葉があると、その詩は一気に飛翔して、作者の処から読み手の処へとやってきます。その瞬間、その詩がとても愛しく感じられるから不思議です。

     メモしていなかったので、正確な言葉を覚えてないのですが、「人間として上等でなければ、良い詩が描けない」といったことを茨木さんが書いていました。確かに心打たれる詩を読んでいると、作者の人間性に惹かれ、私もこんな風に生きてみたいと思うことが何度もありました。

    心に残った詩と、茨木さんの文章

    ※生命は
    その中に欠如を抱き
    それを他者から満たしてもらうのだ(吉野弘)


    ※「その夜」から 
    私を横に寝かせて起こさない
    重い病気が恋人のようだ。(石垣りん)

    ※自分の中に1人の一番厳しい教師を育てた時、教員はなれり、という気がします。

    ※浄化作用(カタルシス)を与えてくれるか、くれないか、そこが芸術か否かの分かれ目なのです。

     この他、特に好きだった詩は、
    石垣りんさんのものと、
    新しい刃 安西均
    助言 ラングストン・ヒューズ(木島 始訳)
    などがありました。

    詩が好きな人はもちろん楽しめますし、私のようにあまり触れてこなかった人は特に、詩を読む面白さを知ることができる、かなりの良書だと思います。この本に出会えて良かったです。

  • 茨木のり子さんの心に残った詩が人生の流れに沿って編まれ、彼女の熱い解説つきで読める。

    岩波ジュニア新書が創刊された1979年に出版された本で、40周年を迎えた2019年には、歴代2位の人気書にランクインしたロングセラー。
    https://www.iwanami.co.jp/jr40th/

    茨木のり子の散文や詩は『言の葉』で結構網羅した気になっていたけど、↑のサイトのおかげで本書が毛色の違う本だということを理解し、手に取って本当に良かった。

    なんだか死の恐怖にとらわれてくよくよしていたとき、本書を読んで、生まれること・生きること・死ぬことを包括的に描いた詩たちと出会い、連綿と続く「生の営み」を俯瞰的に見ることによって恐怖がすっと抜けた。詩の浄化力ってすごい。

    茨木のり子さんが繰り出す詩の解説も生き生きとした活力に満ちていて、言葉自体がとても楽しい。これは何度でも折に触れて読み返したい本だと思いました。


    (仏語からの翻訳詩も載っていて、原文を調べてみたのでメモ。原文と比較しても和訳が全く違和感ない、名訳でした。)

    Fête - Jacques Prévert

    Dans les grandes eaux de ma mère
    je suis né en hiver
    une nuit de février
    Des mois avant
    en plein printemps
    il y a eu
    un feu d’artifice entre mes parents
    c’était le soleil de la vie
    et moi déjà j’étais dedans
    Ils m’ont versé le sang dans le corps
    c’était le vin d’une source
    et pas celui d’une cave

    Et moi aussi un jour
    Comme eux je m’en irai

  •  詩、単体で「好き」と思うものと、茨木のり子さんの鑑賞により「おお、そうか」と思うものと。生まれて/恋唄/生きるじたばた/峠/別れ、という章の編み方も良い。
     また十年後に読みたい。

  • 詩人の茨木のり子さんが、心に残る詩を紹介し、解説する。
    これまであまり読んでこなかった詩に少し触れてみたいと思い、手に取った。

    本書では、「生まれて」「恋唄」「生きるじたばた」「峠」「別れ」という人生の区切りを章立てし、テーマに沿った詩を紹介している。
    詩の背景や作者の情報、詩の解釈をわかりやすく解説してくれるので、苦手意識を感じずにすっと詩の世界に入っていくことができる。なんの解説もなくかったら、きっとぼんやり読み流していただろう。

    面白いと思ったのは「恋唄」の章。男性の詩と女性の詩をそれぞれ複数紹介しているが、男性の詩が恋のとまどいやときめき、ままならなさを唄っているのに対し、女性の詩はどこか俯瞰的なものが多く、男女の考え方の違いが表れているようで興味深かった。

    いつか詩集を読んでみたいと思ったのが岸田衿子さん。
    「生きるじたばた」の章で紹介されていた「くるあさごとに」という詩がよかった。

    くるあさごとに
    くるくるしごと
    くるまはぐるま
    くるわばくるえ

    簡潔でリズミカルなのに、自虐、迷い、投げやり?いろいろな感情が言葉の端々からあふれてくるようだ。
    茨木のり子さんは岸田衿子さんと旅行をするほどの仲のようだが、マイペースな岸田さんに几帳面な茨木さんがやきもきさせられっぱなしのようで、そんな性格も想像しながら読むとより味わい深い。

    詩は、言葉数が少ないだけにごまかせない。上っ面の言葉を並べても見抜かれるし、隠しておきたい気持ちも知らず知らずのうちににじみ出てしまう。
    今の自分には詩を書くことのハードルは高いが、せめて、ブクログのレビューでは言葉を大事にしながら書くことを心がけたい。

  • ひたひたと 沁みます。
    思いがあふれるのに、うまく言葉にできない。
    生きていたらそんな季節にぶつかってしまうことってありますよね。

    「詩のこころを読む」 茨木のり子

    そんな時、気がつけばまたこの本を読みかえしてしまいます。
    若年者向けの詩の入門書という位置づけのアンソロジー。
    子供の頃に読み、大人になって買いなおして今でも時折戻ってきてしまう本。
    生きるじたばたを、優れた詩人たちが見事に言葉にすくい上げています。ゆっくりと胸を打つ、親しむべき作品の数々。

    最近ふとまた読みかえしました。
    私たち愚かだけど愛すべき「人」への、著者の温かい視線を感じました。

    多感な子供時代にこの小さな宝箱のような本に出会えてよかったです。

  •  高等学校とかで「国語」の時間に習う(?)詩というものがあるのですが、さて、どう読めばいいのでしょう。そんな疑問がわいたときに手にとられるのがいいのではないでしょうか。
     40年前に教室で高校生相手にすすめた本です。読み直して、古びてなさに感心しました。率直で、正直な茨木のり子さんが、ここにもいます。
     ブログにも書きました。覗いていただけると嬉しい。
      https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202111030000/

  • 詩をじっくりと味わいつつ解説もあるので、詩を読みたいけど読み方とか、、という人には良い。
    本来正解の読み方とうはないが、想像力を膨らませていくのも練習がいるので著者の解説と一緒に詩をよめるこの本はいいのではないか。

    ジュニア新書だけあって学生でも読みやすいと思うし、社会人も読める。

  • 素晴らしい本でした。

    私の中では石垣りんの「くらし」が白眉の一編でした。

    詩のことはよくわからないからという理由であまり触れてこなかった。

    けれどこの本の中にある詩に一つひとつ触れ、解説を読む。

    少しだけわかったような気がする。詩にもう少し触れてみようかなと思う。

    私は宇多田ヒカルの歌詞が好きなのだけれど、(特にFantome以降)彼女の詩のどの部分に惹かれているのか、言葉のチョイスなのか、その飛躍なのか、とか自分なりに理解出来るかもしれない。

    音楽が好きなのでたくさんの詩に触れてきた、とも言えるのだ。

    歌詞も詩だと仮定する。私の世界はこれから途方もなく広がる。

    姪っ子柄中学生になったら、高校生になったら渡してあげたい。読むか読まないかは本人にお任せするけれど。

  • 詩を読みたいと思い購入。もっとじっくり読みたい。

  • なんておもしろく詩を読める本だこと!

    詩人の著者が、
    「生まれて」
    「恋唄」
    「生きるじたばた」
    「峠」
    「別れ」
    の5つのカテゴリーに分けて選んで、
    いろいろな詩人の現代詩を教えてくれます。
    この5つのカテゴリー自体が、ひとつの人生の流れでもあります。

    詩は、感情や感性のもの。
    散文は論理を積み重ねていきますが、
    そうやって分析することができないものを、
    詩人は、詩として表現する。

    だから、
    読んでみて浮かぶ感想ははっきりした言葉にならず、
    大かたは、
    「ああっ」
    だとか
    「はああっ」
    だとか、
    「そうなんだよ!」
    だとかの感嘆や納得の気持ちが多い。

    あるいは、詩は自分の内部に埋もれている感覚や感情や記憶を
    呼び起こすトリガーになったりもするでしょう。

    詩でこそ開いていける、というところがある。
    社会に対してだってそうだし、
    人間理解だってそうだし、
    世の中そのものだって、過去や未来や宇宙にだってそうなんだなと
    今回、本書を読んでそう思いました。

    繊細だけれど力強くもあり、
    まあるくなってそうで、とがってもいる。
    体内を流れる血であり、流れ出た血でもある。

    何を書いているかはっきりはからないから苦手、という人は多くいそうです。
    僕だって、ずっとそうでした。
    言葉の遊戯、言葉のパズル、言葉のコラージュなんだろう、
    と決めつけたこともあります。
    そういった面は、技術としてあるのでしょうが、
    詩が発現してくる源に目を凝らしてみると、
    また考えが改まります。

    本書は、著者・茨木のり子さんの解きほぐし方が、
    丁寧だし、いろいろと察してもいるし、
    大事に詩を扱っているし、
    言葉がわかりやすいしで、
    詩にひたる経験がしたい! 
    という人にはうってつけの本でした。

    教科書で詩を読んだし、国語の授業で作ったことだってあるけれど、
    いまいちよくわからないんだよなあ、という人にはもっと推奨したい本です。
    子どもにも大人にもおすすめでした。

  • 単純さには定評のあるワタシ。先日読んだのりぴーの詩に心の柔らかい部分をサワサワされたので早速別の本を借りることに。

    とはいえいきなり詩集を借りてきたらキャパオーバーで詩の苦手意識がさらに上書きされる恐れもありますからね。この2冊目選びは大事な訳です。んで。ワタシが選んだのはジュニア向け。
    のりぴーが他の作家の優れた詩を選んでさらにそれについての彼女の思いを話してくれるというもの。これなら私にも大丈夫そう。ね。

    のりぴーは5つのジャンルに分けてくれてます。
    「生まれて」「恋唄」「生きるじたばた」「峠」「別れ」
    どこから読んでもいいのよ、でもそんなこと言ったら恋唄だけでポイかもねと冒頭談。

    1)生まれて
    「I was born 吉野弘」
    生まれることは英語にある通り受動態であること、カゲロウの卵、母の死。最後の一文は母から子への命のバトン、愛だなんだと言ったところで人間もカゲロウも生き物として遺伝子を残してるだけ。そこに特別意味はないだろうしましてや人生になんぞ。ただ冷たい刃物に触れられたような緊張というかなんか厳か。生と死が。好き。
    「春の問題」
    春から始まってあれやこれや。先祖って自分だよね、だから先祖をあんまり褒めるのはちょっとね、自画自賛になっちゃうからと終わる。後半のこの唐突さ。アトラクション的。好き。

    2)恋唄
    「顔 松下育男」
    皮膚があって裂けたりでっぱったりで人間としては美しいが生き物もしては気持ち悪いって。笑
    当時20代だったそうで。そんな感じよね。好き。
    「男について 滝口雅子」
    早く死ねよ。これいいですねーーーーーーー。
    のりぴーは雄の性について書かれているとしている。同意。これは憎悪ではない。恋唄の章で正しい。

    3)生きるじたばた
    「寂しさの歌 金子光晴」
    詩の紹介の前にニーチェの短い引用。
    詩はとても長い。昭和20年5月5日作。
    どれもいいけどこれがこの本のセンターかな。
    「東も西も海に囲まれ這い出すすきすらないこの国こそまづ朝日のさす国と人は信じ込んだ」
    いやん。何この大きな鏡。何でも映しちゃうじゃん。人が何かを強く信奉している時、たとえそれが根拠のあるもののように見えても、反対側の事実を否定するためにただただ躍起になってるだけなのかもね。神の存在を信じています!我々は神とともにあるのです!なんてのは神の不存在という事実に耐えられない不安、ベニヤ板の方がマシな程うっすい自分、自我もへったくれも何もないことに耐えられないことが本質であり信仰心の餌であり、みたいな。

    4)峠
    人生の峠を迎えたからこその詩っていうんですかね。自然と作家が40-50歳の時のものばかり。精神は幼稚なままでも実年齢は高齢者予備軍の私としても身につまされる表現のパンチ、キック、目潰し(反則じゃね?)
    「生命は 吉野弘」
    生命は その中には欠如を抱き
    それを他者から満たしてもらうのだ
    私もあるとき誰かのための虻だったろう
    あなたもあるとき私のための風だったかもしれない 
    なんなの。どうやったらこんなのが書けるわけ?
    てか「生命は欠如を抱く」っていい言葉だなぁ。
    明日にはすっかり忘れてる気がするけど覚えておきたいなぁ。そしたら少しはマシな人間になれるかも。
    のりのりは日常をうたった詩に対して「浄化作用(カタルシス)を与えてくれるか否か、これが芸術か否かの境目。音楽美術演劇」全て同じであるとする。この境目も会社で大昔話したことある。アート作品と工芸品の違いってどこにあるのかなって。30分くらい話したのかなぁ。結局魂があるかどうかってことになったんだけどその場にいる人達全員納得してない仮の結論だった。空席よりはマシだから置いてるぬいぐるみ。
    浄化作用かぁ。これからこっちを使おう。

    ここまで読んで来てね。
    あー冒頭のりぴーが言ってたみたいに「恋唄」の章がやはりキラキラしてるかなー、他のも勿論いいんだけどファンが好きなアルバムの隠れた名曲というかエー面でも良かったんじゃないの的なビー面的な?同時に候補としてあがってきたなら、そりゃ恋唄からシングルカットじゃない?みたいな。でも歌ってる内容によるのかなー

    とか思ってたんですけど。

    5)別れ

    の章の最初の詩は決定的なローキック。
    読んだあなたはいつの間にか膝をつきます。

    「幻の花 石垣りん」
    最後の2行!!!!!
    前に読んだのりぴー本にはこの石垣りんとの文通が掲載されてた。のりぴーが彼女の人間性と感性に惚れていた。なるほど。こういう。うん。なるほど。そりゃお互い惹き合うでしょ。
    のりぴーはこの詩について「完璧という言葉はなるべく使いたくないが完璧としかいいようがない」と評している。過不足がないとのこと。
    石垣りんのエッセイが有名らしい。
    詩の前に読んでみよう。
    この章では中原中也の詩も紹介している。
    これまで通り詩について色々と語っていき、中也が「感じ得なかったこと」とは、、、と展開していってはたと思考を止める。なぜなら沢山の言葉を使ったところでそれは表現出来ないことが予感されるからだと。

    「逃げるわけじゃないけど散文ですっかり解きほぐして分解できるならそれは詩じゃなし。散文で解析出来ないから詩。」

    と言い切る。彼女がこれまで他作家の作品について話してきたのはそれぞれの詩についての「思い」「願い」「痛み」であって解析じゃないし「作者はこの時こう思いました」の正解などでは勿論ない。
    なんかのりぴーにこう言ってもらえるとさらにラクになりますね。なんとなくでいいんだって。だって解析出来たら詩じゃないってのりぴーが言ってたもーん。てね。
    だからって無茶苦茶な解釈してたんじゃ詩にも作家にも失礼なんだけどね。でも「詩は自由!」「芸術は自由!」なんて言い方じゃなくて「だって無理だもん」って言われたら気が楽。じゃあ絵の具で描いた詩である絵画もそれでいいじゃん、楽器で奏でた詩である音楽もそれでいいじゃんってなるし。受け取り方も人それぞれ。どう受けたかを言葉にする必要もないし出来ないはず。
    色んな作家さんをちょっとずつ知り得たので★4.2
    のりぴーの散文解析不能説で★4.45
    四捨五入で★4

    最後に恋唄から短くてかっちょいい詩を。

    「助言 ラングストンヒューズ」
    みんな いっとくがな
    生まれるってな つらいし
    死ぬってのは みすぼらしいよ
    んだから、掴まえろよ
    ちっとばかし 愛するってのを
    その間に

  • 詩をどのように読むか、の話ではなく、特定の詩を茨木のり子がどう読んだか、についての話だった。彼女の鋭さと温かい感受性に包まれ、幸せな気分になった。良い本だった。

  • 詩はむかしから苦手で、ツルツルと読んでどう解釈したらいいのか、いつも分からずじまいだった。

    子どもが産まれて、工藤直子さんとか、岸田衿子さんの詩や絵本に接する機会があり、おふたりの世界が大好きになった。特に、詩は黙読するより、音読したり、読んでもらうのがいい。
    小学校で、読み聞かせをした時、時間が余ったので詩を読んだら、子どもたちが目をキラキラさせて聴いてくれたのが忘れられない。

    茨城のり子さんによるさまざまなテーマの詩を取り上げた本書、特に濱口國雄の「便所掃除」は衝撃だった。詩は何も美しいものばかりじゃなくて、こんな生々しい、ある意味グロテスクなものもあるのかと、ハッとさせられた。

    戦争をうたった石川逸子さんの「風」も、ウクライナで戦争が起きている今読むと、共感が深い。
    「わけもわからず、憎んでもいないよその国の人々と殺し合いの羽目に至るよりは、ぐうたらでも、ちんたらでも、なまけものでも卑怯者でも、そのほうがはるかにましです」

    「寂しさの釣り出し」に合わないように気をつけて生きよう。

  • 詩のこころを読むのは大変なことです。作者の優しい言葉と丁寧な介添によって、私の未熟な目には読みにくい文章の羅列に映ったその詩を見事、鮮明に立ち上がらせその豊かな情操に胸を打たれた。

  • 鈴木敏夫(スタジオジブリ)の著書の中で紹介されていたので読んだ。

    鈴木が宮崎駿・高畑勲コンビと知り合って間もないころ、2人の教養に追いついて対等に会話できるようになりたい一心から、彼らの愛読書を片っ端から濫読したという。そのうちの一冊がこれで、高畑勲が愛する本の一つだとか。

    1979年刊で、私が買ったものは2010年の第70刷。ロングセラーなのである。

    詩人茨木のり子が、若い読者(岩波ジュニア新書の主要読者層である10代後半)に向けて自分の愛する詩の数々を紹介し、そのどこが素晴らしいのかを綴っていく本。詩の味わい方入門であり、名詩ガイドでもあるのだが、教科書的な無味乾燥や「上から目線」とは無縁である。文章も平明。

    セレクトされている詩の大半は戦後日本の詩であり、若者にとってもとくに身構えずに読めるものばかりだろう。

    あたりまえだが、著者による地の文自体が詩的香気に満ちたものなので、上質の詩集を読むように味わうことができる。

    私が傍線を引いた一節を挙げる。

    《詩は感情の領分に属していて、感情の奥底から発したものでなければ他人の心に達することはできません。どんなに上手にソツなく作られていても「死んでいる詩」というのがあって、無惨な屍をさらすのは、感情の耕しかたが足らず、生きた花を咲かせられなかったためでしょう》

    《汚いものでも十分詩になり、詩語という特別のものは何もなく、ふだんの言葉が昇格するだけで、詩の美しさは結局それを書いた人間が上等かどうかが、極秘の鍵を握っているらしい……そんなこともいろいろ教えられます(濱口國雄の詩「便所掃除」に触れて)》

  • またとない本。大切なものに出会ってしまった。愛蔵書だよ。嬉しい。人間を過つことなく見つめることができ、背骨がしゃっきっとした。

    茨木のり子さんの文章が美しい。日本語が美しい。視点がしなやか。構成もまた素晴らしい。茨木さんが語ると、その詩が何倍にも輝く。これはすごい。文学について余計な解説が加えられることは多いが、茨木さんの場合はさらに重層的な詩作に昇華している。

    ラングストン・ヒューズ「忠告」
    吉野弘「生命は」
    金子光晴「寂しさの歌」
    濱口國雄「便所掃除」
    安水稔和「君はかわいいと」

  • 10代の頃から、1年に1度読み直している、大事な本です。
    自分の価値観にものすごく影響していると思います。

    離陸の瞬間を持っていない詩は、詩ではない。
    そう思います、私も。

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著者プロフィール

1926年、大阪生まれ。詩人、エッセイスト。1950年代より詩作を始め、53年に川崎洋とともに同人雑誌「櫂」を創刊。日本を代表する現代詩人として活躍。76年から韓国語を学び始め、韓国現代詩の紹介に尽力した。90年に本書『韓国現代詩選』を発表し、読売文学賞を受賞。2006年死去。著書として『対話』『見えない配達夫』『鎮魂歌』『倚りかからず』『歳月』などの詩集、『詩のこころを読む』『ハングルへの旅』などのエッセイ集がある。

「2022年 『韓国現代詩選〈新版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

茨木のり子の作品

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