私は黒人奴隷だった―フレデリック・ダグラスの物語 (岩波ジュニア新書 (131))

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  • Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784005001316

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  • (2014.10.19読了)(2009.03.28購入)
    副題「フレデリック・ダグラスの物語」
    アメリカの黒人問題に関連して思い浮かべるとすれば、『アンクル・トムの小屋』とかリンカーン大統領、キング牧師、といったところです。フリデリック・ダグラスという人は知りません。
    この本も、「私は黒人奴隷だった」という題名に惹かれて、購入しただけであってフリデリック・ダグラスについて知りたかったわけではありません。題名から、生涯黒人奴隷として生きた人の話だと思っていたのです。だから、黒人奴隷としての生涯は、どんなものだったのだろうと思って読んだのです。
    この本の著者が、「アメリカ黒人の歴史 新版」本田創造著、岩波新書、の著者と同じ事に気がついたのも、今回アメリカ黒人に関する本をまとめて読もうと思って、積読されている本の中から掻き集めて、揃えてみた時でした。
    フリデリック・ダグラスの生まれたのは、1818年2月のようです。日付は不明です。
    生まれた時の名前は、フレデリック・オガスタス・ワシントン・ベイリーです。母親の名前は、ハリエット・ベイリーです。父親は、不明です。
    亡くなったのは、1895年2月20日の夕方です。死因は心臓発作です。77歳でした。
    奴隷の子供として生まれたので、奴隷として育ちました。
    黒人奴隷がたくさんいるプランテーションで暮らしていたフレデリックは、1826年3月に、大都会ボルティモアの船大工の家族に預けられました。
    夫婦と子供の三人暮らしの家で、子どものお世話や家事の手伝いをするということでした。そこでは、家族の一員として扱ってくれ、女主人に文字の読み方を教えてもらいました。
    そのことを知った主人は、黒人に読み書きを教えるといずれ逃亡してしまうので、やめなさいといわれて、それ以上は、読み書きの面倒は見てくれなくなりました。
    読み書きの重要性を知ったフレデリックは、それ以後は、独学することになります。
    1833年3月、フレデリックは、セントマイケルズに戻され、奴隷労働をすることになります。
    1838年9月3日、フレデリックは、逃亡します。この時20歳です。
    フレデリックは、これ以後は、奴隷制廃止のための活動家として暮らすことになります。
    奴隷としての体験をまじえながらの公演は、感銘を与えたようです。後には、文章も書くようになります。ダグラスを名乗るのは、逃亡奴隷としての追及を免れるためです。従って、奴隷の体験を話すときは、どこで奴隷をしていたのかというようなことは、述べることができませんでした。
    南北戦争に北軍が勝利して、奴隷解放が実現したのは、1865年です。
    奴隷が解放されたからといって、黒人が白人と同じ権利を認められたわけではありませんので、それ以後は、黒人の権利拡張のために活動することになります。
    黒人差別の問題と同様、女性差別問題もありますので、女性活動家たちとも連携して活動しています。
    彼の死後は、キング牧師たちの公民権運動に繋がってゆくことになります。
    フリデリック・ダグラスだけが、奴隷廃止のために闘ったわけではありませんが、彼がその中で重要な役割をしたのは、間違いないでしょう。

    【目次】
    Ⅰ 奴隷として
     プロローグ ダグラスの出生年をめぐって
     1 黒人奴隷の星のもとに
     2 主人と奴隷
     3 自由への道
    Ⅱ 自由人として
     4 奴隷制廃止主義者
     5 『北極星』をめざして
     6 嵐の前夜に
     7 奴隷解放戦争
     エピローグ
    あとがき

    ●誕生日(6頁)
    私が覚えているかぎり、自分の誕生日を言える奴隷に、いままで出会ったことがありません。
    ●ロイド家のプランテーション(38頁)
    作物は、おもに煙草、とうもろこし、小麦が栽培されていました。
    ●悪人(48頁)
    黒人にとって白人のすべてが悪人ばかりではないという人間観を幼心で知った
    ●読み書き(56頁)
    知識はこの世で一番よい黒ん坊を駄目にしてしまう。もしも黒ん坊が聖書を読むことができるようになれば、そんな黒ん坊はもはや奴隷には適さない。
    もしも、お前が黒ん坊の奴隷に読み方を教えるなら、奴は今度は書き方を覚えたがる。そして、読み書きができるようになった奴隷がすることは、きまって逃亡だ!
    ●地下鉄道(135頁)
    地下鉄道(逃亡を助ける秘密ルート)によって逃亡に成功した奴隷の数は、七万五千人にものぼるといわれます。
    ●逃亡奴隷法(142頁)
    1850年の逃亡奴隷法の目的が、なんとしても地下鉄道を破壊して、南部の奴隷所有者のために奴隷というかれらの財産の損失を防ぐことにあったことは明らかです。
    ●人類の敵(147頁)
    「逃亡奴隷を奴隷制度のもとに送り返すことに加担する者は、だれでも、みな人類の敵」であり、たとえ「そのような人を殺害したとしても、それは人間の赤子の喉を喰いちぎる飢えた狼を殺すのとまったく同じで、神かけて、罪にならない」
    ●南部連合(176頁)
    われわれの新しい政府の礎石は、黒人は白人と平等ではなく、奴隷制度―劣った人種の優れた人種への隷属は黒人の自然で正常な状態であるという真理のうえに据えられている
    ●1862年8月のリンカン大統領(185頁)
    この戦いにおける私の最高の目的は、連邦を救うことであって、奴隷制度を救うことでもなければ、それを破壊することでもありません。
    もしも、私が、一人の奴隷も解放しなくても連邦を救えるのなら、私はそうするでしょう。
    ●奴隷解放後(203頁)
    選挙権のない自由は、まやかしの自由です。土地もなく、市民権もなく、選挙権もない黒人の現状は、かつての奴隷制度のもとでの状態とほとんど同じです。

    ☆関連図書(既読)
    「アメリカ黒人の歴史 新版」本田創造著、岩波新書、1991.03.20
    「キング牧師とマルコムX」上坂昇著、講談社現代新書、1994.12.20
    「「風と共に去りぬ」のアメリカ」青木冨貴子著、岩波新書、1996.04.22
    (2014年10月20日・記)
    (本の表紙より)
    黒人奴隷といえば『トム爺の小屋』が、奴隷解放の父としてはリンカン大統領が知られています。フリデリック・ダグラスは、同じ時代に奴隷から身を起こし奴隷制度に命がけの闘いを挑んだ果敢な人物です。合衆国を真に自由で平等な国にしようと献身した彼の生涯は、血の通ったアメリカ奴隷解放史といえましょう。

  • ジュニア新書だったので、非常に読みやすくわかりやすい一冊でした。奴隷制度に対する黒人たちの闘いについて学ぶにあたって、入門編として良い一冊だと思います。

  • フレデリック・ダグラスは「学ぶことが奴隷状態からの解放」に通じると痛感した。

    ダグラスが主人のヒュー・オウルドに勉強を禁じられたシーンが印象的。
    黒人は文字が読めるようになったら、情報を手に入れることができるようになる。
    そうすれば、自分達の置かれている「奴隷」という地位に疑問を覚えてしまう。そうなったら奴隷として使いものにならなくなってしまう。

    勉強は何のために必要か。それは自由のため。
    その言葉をリアルに表している。

    この言葉は自由が当たり前になった現代の日本では、現実味がないから今の人たちにはあまりピンとこない。

    現代人にとっての自由とは何かを考え直そうと思った。

    今の子たちは、「生きる力」を育むために勉強している。(させられている)
    日本も仕事が少なくなってきて、子供たちはフツーに勉強してもこれまでのように給料のいい仕事にはつけなくなってきた。
    きっとこれからはアルバイトも争奪戦になるだろう。

    そうなった時、どんな勉強をしておけば生きていけるだろうか。

    ①読み・書き・算(勉強の基礎、これがあれば他の勉強ができる)
    ②気力(現実から目を背けない強い気持ちがあれば自分で勉強する気になる)
    ③体力(病気に負けてたら勉強も何もない)

    こう考えると、学校で習うことが何の意味があるのかと言われるだろう。
    ②の気力じゃないかな。③でもいいかな。
    大人になってから自分で勉強したくても、勉強の方法を知らなかったらそこで立ち止まっちゃうからね。

    自己責任でいきていく能力を身につけさせるのが学校の役目だね。

    う~~ん。
    子供達にはこれから生きていく社会の厳しさを伝えた方がいいって短絡的な論が強くなっちゃいそうだなぁ。

    みんなタカになったらアカンというのを経済学者がしっかり考えてくれたんだから、それをしっかり教えていきたいな。

    この本を読んで、改めて経済学を深く修め直したいと考えました。

  • 1,900円

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