砂糖の世界史 (岩波ジュニア新書)

著者 :
  • 岩波書店
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レビュー : 139
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784005002764

感想・レビュー・書評

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  • どこのレビューサイトだったか、「ジュニア新書と侮るべきではない」というのを見て手に取った。それにふさわしい良書である。
    基本的な内容はタイトルのとおりだが、魅惑的な砂糖の陰には黒人奴隷の血と汗と涙があること、砂糖が大英帝国の富の源泉となり、産業革命もその賜物であって「けして英国人が勤勉で他国人は怠惰であったというわけではない」ことなどにきちんと言及しており、学習の端緒に立った中高時代にこのような知見に触れておく意義は小さくないと思われる。いい歳こいた私にも、およそ英国の富裕層は砂糖貿易の恩恵を受けるところ大であり、かのグラッドストン首相(や、おそらくはシャーロック・ホームズなど)もそうであったことや、長年積ん読している「アフリカ人、イクイアーノの生涯の興味深い物語」の主人公についてなど、いくつもの新しい発見があった。
    「あとがき」に明記されている著者の確かな信念もすばらしく、良い「掘り出し物」であった。

    2018/10/26~10/27読了

  • ‪2018年12冊目。
    砂糖に注目して、大航海時代、植民地、プランテーション、奴隷制度、三角貿易、産業革命などが語られ、世界史がひとつにつながります。
    茶、ジャガイモ、珈琲など、さまざまなモノから世界史を紐解く本はどれも面白かったけれど、この本が1番読みやすかったです。ジュニア新書、侮れません!
    ジュニア新書についてちょっと調べてみたら、意外と(?)、すごいひとがジュニア新書執筆したりしてるんですね。
    とてもわかりやすいし、挿絵や扉絵も面白く、ジュニア新書の魅力を知りました。‬

  • 砂糖も紅茶も以前は、ステイタスシンボルだったなんて驚きです。
    それだけ価値があり、高価だったからというのが理由です。
    しかし、その生産の末端に携わっていたのは、
    多くの奴隷たちでした。

    この生産(プランテーションの世界展開)と消費の構造が、
    後に南北問題につながります(一つの要因として)。
    世界商品の「砂糖」を通して知る残酷な歴史です。
    こういった構造は、今も昔も変わっていません。

    良い商品を、より安く買いたい、摂取したいというのは、
    多くの人が求める欲求ですが、
    その商品が、大衆化するまでには、
    さまざまな葛藤と試行錯誤があります。
    それを動かしているのは、果てしない欲望です。

    その経緯は、時には強い者が弱い者を、
    搾取と言った形で行われます。
    21世紀になった今も、その構造は、変わっていません。

    より生産技術と物流技術が高度になったので、
    ますます、複雑化していることでしょう。

    この著作では、「砂糖」にスポットライトをあてましたが、
    「石油」と考えても、全く同じ論理が生まれます。
    世界商品をめぐる争奪戦は、国同士の熾烈な争いと、
    政治的な要素が複雑に絡み合った、人間の負の営みです。
    その世界商品があったおかげで、豊かなになった国や人もいれば、
    それが、きっかけで、貧困に陥った国、また不幸になった人もいます。
    最悪の場合は、国家間の戦争に突入します。

    この本は、自分達の身近にあるものが、
    どういう経緯で、存在しているのかを知る恰好の本だと思います。
    そして自分達の生活を振り返る上でも、非常に有益な本だと思います。

  • 砂糖だけで大きく世界が変わっているという歴史がある。
    では、他の「世界商品」はどのような変革を起こしているのか
    そしてそれらが今の世界をどのようにつくり上げたのかを知りたくなった。

  • 高校受験のときにこの本に出会っていれば…。
    三角貿易、植民地、プランテーション、ティーパーティ事件、ヴードゥー教と、そういえば習ったバラバラの事象が砂糖の流れで見ると全部繋がってくるのね~。
    白人であることの罪悪感(White Guilt)にも興味がわいた。

  • 読書猿さんのおすすめで読み始めたが、コネクティングドットの世界で、素晴らしいのひとこと。こういう世界史を若い頃に学べたらよかったなと思う。
    世界は一つの生き物のように繋がっているという「世界システム論」、歴史上の人々の暮らしの実態をモノや慣習などを通じてくわしく観察しようとする「歴史人類学」によって編まれた傑作。

  • 題名に惹かれ、「砂糖の世界史ってなんだ!?砂糖を通じて世界史が見えるって面白そう!」という軽い気持ちで読んでみた。読んで良かったなぁと感じる一冊だった。
    世界史をあまり真剣に学んでこなかったのと、世界史Aの一部しか履修しなかったこともあり、世界の動きや現代の状態などにもかなり疎い部分がある。しかし今回この本を読むことで、「この時代にこんな気持ちでこう人やモノが動いたんだなぁ」「モノひとつの回りでこんなに色々なことが動いて、文化や経済まで変わっていったんだなぁ」と非常に感動した。加えて、あとがきにもあったが「すべての歴史は現代史である」という言葉を実感するような、今の時代に繋がる知見も多く得られ、「そういう背景があってこの現状があるんだなぁ」と目から鱗だった。

    世界史は丸暗記で、どこか古い話・・・なんていうのはきっと思い込みなんだろうなと思い直した。どんな時代も人や国は、隣り合う状況や自分の欲求に合わせて、どうしたらよいだろうと考え、その時の常識や手段に則って行動するだけなのだろう。そのなんとなく生きる今の日常の延長線上に歴史というものが紡がれるのだと気づけただけでもかなりプラスだったなと思う。端的に言ってとても楽しかった。

    本分自体は前に行ったり後ろに戻ったり、内容が重複していたりとちょっと読みにくい部分もあるが、後でまとめてすっきりした。

  • 砂糖という世界商品を通すことで、世界史の一端が生き生きとしてきた。面白かった。

  • 『ヨーロッパとアジア・アメリカ・アフリカをつなぐ交易のリングができあがり、イギリスがその中心に座ったことで、イギリス人は世界中の人々が生産したものを、最も安価に手にいれることができるようになった』

  • [評価]
    ★★★★★ 星5つ

    [感想]
    現代では豊富に入手可能な砂糖を題材にヨーロッパを中心とした歴史を解説している。
    本題は「砂糖」がヨーロッパにどのように持ち込まれ、どのような影響を与えたのかが書かれているが、一方で砂糖が「世界商品」として世界にどのような影響を与えたのかが書かれている。
    ジュニア新書ではあるが子供どころが大人でも充分に楽しめる内容だった。

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