進化とはなんだろうか (岩波ジュニア新書 (323))

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  • Amazon.co.jp ・本 (217ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784005003235

感想・レビュー・書評

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  • とてもわかりやすくて、おすすめです。
    本書によれば、46億万年前の地球誕生から現在までを1年だと仮定すると、最初の生命が4月8日頃、恐竜時代が12月中旬頃、サルは12月25日、人類は12月31日午後8時10分頃に出現した計算になるという。つまり我々はまだ大晦日にわちゃわちゃしているに過ぎない。そう考えると、人生100年時代も、ふざけたロスタイムも地球スケールでは一瞬に過ぎない。その大晦日の一瞬だけで人類は地球を第六の大量絶滅に追い込もうとしている。恐ろしいこと。グレタさんにいちゃもんつけている暇なんかないはず。

  • てがたい岩波ジュニア文庫。長谷川眞理子、99年。著者の専門は行動生態学、自然人類学。経歴は東大理学部を経て専修大法学部、早稲田政経学部、国家公安委員?を経て、現在総合研究大学院学長。
    100年ほどの歴史しかない新しい学問進化生物学について若者向けに書いた入門書。かわった生物のさまざまな生態を紹介していて(母体の体内で交配して死ぬダニetc)読み飽きず、DNA連鎖と組み合わせについての基本的な説明などわかりやすく読んだ。
    以下気になった章メモ
    2章。
    生き物の定義は分裂か生むかで増え、死ねるもの。親と同じような生物が生まれるのは遺伝子のおかげ。遺伝子の正体はデオキシリボ核酸DNA。糖とリン酸と塩基でできたヌクレオチドという分子が二本つながってできたもの(糖とリン酸の枠を塩基の桟でつないだ梯子のイメージ。それをひねる二重らせん構造)。このDNAが生物の基本的な分子であるたんぱく質のもとになるアミノ酸の大元で、その組み合わせは全部で20種類しかない。塩基にはアデニン、グアニン、シトシン、チミン、の4種類があり、純粋な組み合わせは64通りになるが、となりあった3文字ごとに成分が決定され、また重複(異なる順列でも同じ成分とカウント)もしくは意味のないジャンク遺伝子が存在するため、実際には20種類しかない。無性生殖の場合純粋なコピーだが、有性生殖の場合は、親同士が減数分裂で自分の遺伝子の半分だけコピーしたものをたがいに組み合わせる。減数分裂は単純なコピーではなく、元の細胞が持っていた染色体(DNAの入れ物)を「組み替え」るため親とは少し違った遺伝子組み合わせが存在し、複雑になる。このふたつ(DNAの複製、減数分裂の組み換え)が生物の個体別にでも変異が生じる原因。
    3章。
    ダーウィンの自然淘汰理論こそ、生物の適応を説明できる唯一の理論である。個体別にある差(くちばしの大きさとか声のちがい)を「個体変異」とよぶが、後天的にみにつけたものが遺伝されないのにくらべ、親から受け継いだ遺伝は次の世代にも受け継がれる。
    生物の潜在的な繁殖能力は、常になんらかの環境条件に制限されている。たとえば19世紀にオーストラリアに24匹だけもちこまれたウサギが6年後に二万頭に及んだ例。もっと良い条件(餌があり、敵がいない)があれば増えることができるのに、いつもなんらかの条件が潜在的な増殖を制限している。資源をめぐって戦うコンテスト型競争、限られた資源を誰が最初に獲得できるか競うスクランブル型競争など。その種の生存をかけた競争は、生き残る力・「生存力」に、子を増やす力・「繁殖力」をかけた・「適応度」で数値化できる。
    ガラパゴス諸島のダフネ・マジョール島にフィンチという鳥が住んでいて、全部で14種類いる。くちばしの大きさがそれぞれ異なり、これは節足動物や蜜をとる細いもの、種子を砕くための硬くて太いものが分岐したせいだと考えられる。1977年大規模な干ばつにおそわれ、20か月のうちに84%が死んでしまった。生き残った個体をしらべると、くちばしの厚くかたい個体ばかり。柔らかい種子は瞬く間になくなって、それまであった硬い種子まで食べることができたくちばしをもつ個体だけが生き残れたと思われる。ここでは、この種子の硬さを克服できるかが競争に勝つ条件で、これを「淘汰圧」と呼ぶ。
    注意しなくてはならないのは自然淘汰にあらかじめ目的があるわけではないということ。さまざまな個体差は遺伝に依りあらかじめ存在しており、環境の変化などの条件によって、結果として適応できるものが残った結果にすぎない。
    4章。
    変異の性質
    変異がおこる原因は2つ、遺伝子の組み換えと突然変異。突然変異は2つあって、点突然変異と大規模な突然変異(詳述していないがサルの染色体24に対して人間のそれが23のような種を分ける大きな変異のこと)。点突然変異は、DNAの中の塩基配列(3つでひと組)のひとつが入れ替わったことで成分が変化したり、配列の頭に新たに成分が加わる(抜ける)ことでそれ以降の成分が様変わりすることでおきる。成分がかわると生物の基本分子であるアミノ酸の内容も変わるので、変異が生じる。その多くは生物にとって有害なため自然淘汰で消えていくが(木村説だと大半の変異は中立的(無害))、生物の適応に関係ない変異はそのままのこる(血液のABO型など。多型という)。
    変異の起こる確率は極めて低く(ヒトの血友病は10の5乗人に3人)、また変異の種類によってもまちまち。
    またそのようにして有害な変異が淘汰され一見安定して見える状態を安定性淘汰、ガラパゴスフィンチのように淘汰圧によって特定の変異に偏っていくのを方向性淘汰、極端な変異(くちばちが大きいのと小さいのに分離し中間がない)が残るのを分断淘汰という。
    5章。
    種について説明。変遷としては、外見で判断できる形態的種―交配可能な生物学的種―互いに繁殖可能(交雑含めた)であると認識している認識的種。
    生息地の変化に応じて連続的に変異が起こっているものをクラインと呼ぶ。その両極端同士を輪状種とよび交配しない例が確認されている(北極を中心に環状に生息するセグロカモメ)。
    種分化の速度は意外と速い?(ヴィクトリア湖では1万2千年でシクラス種が進化)
    6章。
    軍拡競争。ありと蝶。カッコウの托卵。
    7章。
    最適化の理論。えさ場の効率。
    8章
    頻度依存による淘汰。ゲーム理論をつかって。
    9章。
    オスとメスはなぜいる?有性生殖ではオスとメスがそれぞれ配偶可能になるまで時間がかかり、これを有性生殖の二倍のコストとよぶ。くわえてお互いに出会わなければならないのも、無性生殖にくらべてコストがかかる。
    有性生殖のメリットは、遺伝により病気や外敵への対策ができる点。ただし病気や外敵もそれに適応してくるため、いたちごっこになる。これを赤の女王仮説とよぶ(「鏡の国のアリス」にでてくる逃げ回る赤の女王から)。

  • ☆適応と自然淘汰が生物の美しさと多様性を同時に説明する唯一の理論

  • レビュー省略

  • 生物学について、このような本を待っていた。原理原則が明確で、トピックも豊富。そして、多くの謎に迫りたくなる本。分かりやすいのに、内容は深い理想的な本。

    ・変異の主な源泉は、突然変異と性による遺伝子の組み換え。
    ・分子時計
    ・種にも色々ある。1)形態的 2)生物学的 3)認識的 4)進化的
    ・輪状種
    ・熱帯地方は、冷温帯に比べて気候が安定しており、予測性の高い環境と言える。そこで、熱帯地域には、安定して存在するミクロな環境が多数存在するのでは。
    ・また、熱帯は気温と湿度が高いので、生産性が高く、死んだ生物の分解も速くなり、餌条件がよくなる。
    ・数理モデルに基づいた最適化の理論と自然淘汰の結果が見事に対応する。
    ・単為生殖のアブラムシ。雄の刺激のみが必要なギンブナ。
    ・ダーウィンの性淘汰理論。性差の説明。
    ・いくつかの霊長類を調べた研究では、どんなところで暮らし、何を食べているかから計算したところ、最適なサイズは雌の大きさであって、雄は生態的に見れば不必要に大きくなっている。
    ・メンデルの法則の発見は1900年。『種の起源』は1895年。
    ・生物学が、物理、化学と決定的に違うところは、生き物が歴史性を抱えた個別の存在だということ。抽象的な生き物は存在しないから。

  • 著者の本はどれをとってもおもしろい。すでに知っている話題も多いのだけれど、読むたびに新しいトピックに出合うことができる。アフリカはタンガニーカ湖に住む魚。相手の右側のウロコばかりを食べるために口が左に曲がった魚と、逆に左側ばかり食べるために口が右に曲がった魚がいるらしい。なんとも不思議な話だ。ちょっと数学的になるが、タカ-ハトゲームの話も、がんばって計算についていくとおもしろい。ブルジョアが出てくると、数値の意味を確認するのに少し時間がかかったけれど。それから性淘汰の話はどれをとってもおもしろい。ヒト以外の有性生殖をする動物ではオスがメスを獲得するために戦ったり、目立つ羽を付けたり、きれいな声で鳴いたりするのだとばかり思っていたが、逆のパターンもあるらしい。タマシギという鳥では、オスが卵を温めるため、メスの方が自由になる時間が長くなる。それで、メス同士がオスを奪い合うのだそうだ。それに伴って、メスの方がからだは大きく羽もきれいになっている。アブラムシなどは未受精のまま卵がふ化する。だから基本的にオスはいらない。なぜオスとメスができてきたのか。それは遺伝子を組み替えておくことで環境の変化に適応できるようにするため、そんなふうに説明されることが多い。けれど、実際のところは誰にも分からない。生物というのは本当におもしろい。まだまだ知られていないことがいっぱいある。興味はつきない。

  • 進化ってどうやってするんだろう・・・?
    「もう少し首が長ければ葉っぱが沢山とれるのに。次に産む子供は首の長い子になりますように」と願ったってキリンの首は長くならないハズなんだけれど・・・進化っていったいなんだろう。
    同じ遺伝子から生まれてきたのにどうして兄弟は外見すら異なっているんだろう。
    本当に無知な状態から”進化”という事象について知りたくて読んでみましたが、様々な「今更誰にも聞けない」疑問はすっきり、今更自然淘汰に適応、中立な変異など具体例多く知りながら学ぶことのできたよい本でした。
     ところで、どの生物もD型の糖とL型のアミノ酸でDNAを構成している事及びDNAの3文字暗号で指定され作られるアミノ酸がどの生物もほぼ同じ、という理由から最初に地球に登場した生物は1種類だとほぼ断定出来るそうです。これも今更合点。
    こんな話が延々とつづられています。進化ってなんだろう?(題名そのままですね)と疑問が尽きない方には良いガイドとなるかと思われます。

  • 平易な文章だが、ときに難解。だが、ダーウィン進化論のエッセンスを正しく理解できる。

  • 進化とは生物が時間とともに変化していくこと

  • 学生の課題図書に出していたのだけど、絶版になってしまったとの噂があって、とても残念だった。再販されているのかなぁ。

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著者プロフィール

1952年東京都生まれ。東京大学理学部卒業。同大学院理学系研究科博士課程修了。専門は、自然人類学、行動生物学。イェール大学人類学部客員准教授、早稲田大学教授などを経て、現在、総合研究大学院大学学長。著書に、『モノ申す人類学』(青土社、2020)、『世界は美しくて不思議に満ちている 「共感」から考えるヒトの進化』(青土社、2018)他。

「2020年 『談 no.118』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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