日本科学の先駆者高峰譲吉: アドレナリン発見物語 (岩波ジュニア新書 375)

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  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784005003754

作品紹介・あらすじ

アドレナリンとタカジアスターゼの発見で、いまなお人類がその恩恵をこうむっている高峰譲吉(一八五四〜一九二二)は、幕末の金沢に育ち、国際結婚、アメリカの学界ではサムライ化学者とよばれた。その独創的な研究生活、常に実用を忘れぬベンチャービジネス精神のおりなす波瀾に富んだ生涯を描く感動的な評伝。

感想・レビュー・書評

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  •  「池田菊苗 うま味の素「グルタミン酸」発見(清水洋美著)」からの流れ読み、図書館で借りた。グルタミン酸を発見して製品化した池田菊苗(1864-1936)とほぼ同時代の科学者兼実業家、高峰譲吉(1854-1922)。
    譲吉氏はジアスターゼをアスペルギルス・オリゼに産生させて「タカジアスターゼ」(商品名)として、また結晶精製に成功しアドレナリンを世に出した。残念なのは米麹によるウイスキー製造に挫折したこと、ぜひ飲んでみたかった。
     池田菊苗と夏目漱石の交流、高峰譲吉と野口英世の対比、良いものを読ませてもらった。

  • 科学に疎いので、高峰譲吉を知らなかった。
    でも、知らない人(あまり有名でない人)の伝記を読むのが好きなので、読んでみた。
    高峰博士は幕末、富山の医者の家に生まれ、幼いころより父からエリート教育を受け、また本人にも優れた資質があったため、エリートコースをまっしぐら。アメリカにわたってタカジアスターゼとアドレナリンを発見し、巨万の富を築いたというんだからすごいじゃないの。
    じゃあなぜ、野口英世と比べて認知されていないのか、というのは著者が考察しているので省くが、青年期までは超エリートで輝かしかったが、晩年は結構厳しかったのではないかと思う。ずっとアメリカに暮らし、妻はアメリカ人でありながら、最後まで日本文化に執着、国籍も変えなかった。アドレナリンの発見は、助手の手柄なのに横取り。長男はアルコール依存症の末転落死。妻は夫の死後23歳年下のカウボーイと結婚。
    著者は博士寄りなので決して非難するような書き方はしないが、これ、うまい小説家が書いたら、結構面白い小説になったと思う。残念だ。
    まあ、遺族や三共製薬や金沢市に配慮すれば、こんな本になってしまうのは仕方ないか。

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著者プロフィール

医学博士。脳科学専門医。金沢市生まれ。1975年、金沢大学医学部卒業、1979年、金沢大学大学院医学系研究科修了。その後、金沢大学医学部付属病院医局長、金沢大学医学部助教授などを歴任。現在、金沢大学大学院医薬保健学総合研究科・再生脳外科科長をつとめ、また金沢大学病院、南ヶ丘病院にて、「高次脳機能障害」専門外来で診療を行う。「リノール酸を多く含むサラダ油の摂取が認知症などさまざまな病気を引き起こす」と警鐘を鳴らす著書、『そのサラダ油が脳と体を壊してる』『認知症が嫌なら油を変えよう!』(以上、ダイナミックセラーズ出版)、『「サラダ油」をやめれば脳がボケずに血管も詰まらない!』(ワニブックス)が話題となる。また、診療にも定評があり、独自の神経心理テストとMRIやPETスキャンを駆使して、認知症状が初発する数年も前にアルツハイマー病を早期診断し、予防的治療を行うことでも有名で多数の患者が外来を訪れる。

「2016年 『そのサラダ油があなたを殺す』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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