哲学ってなんだ: 自分と社会を知る (岩波ジュニア新書 415)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784005004157

感想・レビュー・書評

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  • 比較的若い読者に向けて書かれた哲学の入門書です。ただし、著者自身の哲学的立場が前面に押し出されており、「岩波ジュニア新書」が想定しているはずの中高生の読者に適切な入門書といえるのか、若干疑問もあります。同じ「岩波ジュニア新書」からはバークリの研究者である戸田剛史の『世界について』も刊行されていますが、一般的な哲学の問題に触れるためにはそちらの本を手にとったほうがいいかもしれません。

    著者はすでに『自分を知るための哲学入門』(ちくま学芸文庫)という入門書を刊行しており、近代哲学における認識論のアポリアをフッサールがどのように乗り越えたのかという点に焦点を当ててみずからの哲学的主張を開陳しています。それに対して本書では、近代哲学における「自由」の問題に焦点を当て、とくにヘーゲルにおいて各人の自由の追求が相互に支えあうことのできるような社会への展望が示されたことを高く評価しています。

    また本書では、フロイトの精神分析についても考察がおこなわれています。著者は、フロイトの説は人間の心についてのひとつの信憑の表明でしかないといいつつ、無意識と呼ばれる欲望のかたちによって、われわれが世界に向きあう仕方が規定されていることがフロイトによって明らかにされたことを評価します。そのうえで、みずからの身体性や欲望、あるいは著者自身のいう「エロス」がどのような対象へと向けられているかを深く了解することで、自分自身を知り、また自己の自由を世界のなかで実現していく可能性が開かれていくと論じています。

  • すごく分かりやすいけれども、少し偏ってるような気がしました。

    哲学とは、誰もが共通に納得できる「普遍的な」世界のあり方をつくりだす方法らしい!

著者プロフィール

1947年生まれ。哲学者、文芸評論家。著書に『「自分」を生きるための思想入門』(ちくま文庫)、『人間的自由の条件ーヘーゲルとポストモダン思想』(講談社)など。

「2007年 『自由は人間を幸福にするか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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