本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784005004416
みんなの感想まとめ
哲学への興味を掻き立てる一冊で、初学者にもわかりやすくヨーロッパ思想の全体像を示しています。ギリシャの思想とヘブライの信仰という二つの礎石を基に、各哲学者の思想が明晰に解説されており、特にレヴィナスの...
感想・レビュー・書評
-
哲学について興味があったので購読。中学生のための学習入門シリーズである「岩波ジュニア新書」のはずが、私のような初学者には割とヘビーな内容でした。しかし、なぜかページをめくる手が止まらず、遂には読了。この深淵へと私を誘い込む根拠不明の好奇心は一体なんなのか、そんな事を考えさせられる一冊です。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
昨年『論語』を読み終わったあと、次は西洋の思想の本を読もうと漠然と思ったものの、いざ最初の一冊を決めようとすると、なかなか何を読んでいいのかが、わからなくて。
とりあえず、母に何かおすすめあるかな? と聞いたところ、教えてくれたのがこちらの一冊です。
昨夏、途中まで読みかけて、現実の慌ただしさにすっかり手が止まっていたのですが、今年に入ってようやく読むのを再開。
案の定、一度読んだ内容をすっかり忘れていたため(泣)、改めて、1ページ目から読み直しました。
本書は、古代ギリシア哲学を専門とする学者である著者による、ヨーロッパ思想の入門書です。
ヨーロッパの思想は、「ギリシアの思想」と「ヘブライの信仰」の二つを源とする、発展・反逆・変容であるとして、第1部では神話や悲劇などの引用を交えながらギリシアの思想の骨子が語られ、第2部では旧約聖書と新約聖書の解説がなされ、第3部では中世以降、アウグスティヌスからレヴィナスまでのヨーロッパ哲学のエッセンスが紹介されています。
よくよく考えてみると、「思想」に焦点をあててヨーロッパの歴史を辿ったのは、私はこれがはじめての経験で、それがとても新鮮でした。
「アリストテレス」とか、「カント」とか、名前はなんとなく覚えていていも、むかし高校生の時に読んだ世界史の教科書の認識のまま、てんでバラバラに頭の中にそれらが存在していたんですよね。
でも、ロックの社会思想も、ある日突然ロックの頭に生まれたわけではなくて、全部ソクラテスの時代から繋がっていて、様々な思想が歴史を動かして、その歴史から、また前の時代への反省や深化が生まれて、今にいたっているんだな、と。
その意味で、「思想」って、「思想史」でもあって、歴史と背中合わせだということがよくわかりました。
たとえて言うなら、長く続くアイドルグループが、先輩の曲を覚えつつ、新たに自分たちの曲を歌っている感じでしょうか。
私もまた、「人類」というグループのメンバーの一人で、やがては卒業(死)を迎えるけれど、メンバーだった時に歌った曲は、後世のメンバーが歌い継いでくれるのかしら。。。
引き継いでもらえるような、曲を歌っていたいなと思います。
冒頭の「この本で、筆者が意図したことは、ヨーロッパ思想の本質を語ることである。」という一文に象徴されるように、全体的に文章が非常に毅然としているのもこの本の大きな魅力です。
ヨーロッパ思想を学ぶ上で、羅針盤になってくれる本だと思います。 -
はじめにの冒頭に「ヨーロッパ思想は二つの礎石の上に立っている。ギリシアの思想とヘブライの信仰である。」とあります。全体像を初級者にもわかりやすく概観させてくれる貴重なガイドブックになっていると思います。岩波ジュニア新書恐るべし。
-
入門なんてとんでもない!西洋哲学をここまで明晰に読み解いた本は初めて。個々の思想書は、それなりに学んできたつもりだが、ギリシャの思想とヘブライの信仰のそれぞれに通底するものがこの本によって、ようやく腑に落ちた。この本で初めて知って驚愕したのはユダヤの現代思想家レヴィナス。是非、いつか原著を読んでみたい。宗教性の復活とは彼のような存在によってなされるのだろう。
以下、気になった記述。
・ギリシア思想の本質は、1.人間の自由と平等の自覚。2.理性主義。
・ヘブライの信仰の本質は、1.神が天地万物の創造主。2.神は愛で、愛は他者を求める。3.キリスト教の核:敵をも愛せ。
・パルメニデス「思惟することと存在することとは同一なるものに属する」
・ソクラテスをさして、キケロは「哲学(理性)は天界(自然)から人間界(自分自身)へと呼び降ろされた」と評した。
・アリストテレス「幸福とは魂がその優秀性に即して活動することである」=自己実現が幸福、それも理性的な。
・神は人間を自分に応答するものとして出現させた。
・愛しうるものは自由な者でなければならない。つまり、裏切ることもある。
・マルクス思想の根本的な誤りは下部構造理論(=歴史的決定論)にある。
・「人間は自由で平等であるべきだ」という正義の理論的根拠付けをロールズは放棄した。
・ロールズ「能力は私のものではなく社会の共有財産」
・ヘーゲル哲学は弁証法の概念の網のうちに全実在をとらえようとしたが、そこには実存が抜け落ちていた。
・キルケゴールの最後の跳躍:罪=神から自分が離れているという自覚があるから。
・ニーチェ:子どもに見る、聖なる「然り」
・過去の一切の「そうであった」を「私がそう欲したのだ」に造り替えるのが、創造する意志:ニーチェ
・ハイデガー:人間は無の深淵の上に宙づりになっているから不安なのだ。この不安は欠損から来ているのではない。
・レヴィナス:神の痕跡としての他者。理性は同化の力、全体化の力。しかし、他者はその理性を超える。他者に出会うとは関わりたくない人と出会うことである。 -
ギリシア人。エジプト・メソポタミアから多くを学び、受け継いだ後進の民族。▼ギリシア人の発想法。無駄なものをそぎ落として、普遍・法則・理念を追求。偶然の多様性に埋没していた人類が、本質の恒常性に目覚めた瞬間。明澄な単純さと端正さをもつギリシア神殿。一方、無数の彫刻でおおわれたゴシック様式の聖堂。▼イオニア、ミレトスの自然哲学。現象を神々の介入なしに説明しようとした。哲学の誕生。
ロールズ。無知のヴェール。人種・性・能力・社会的地位は自己本来のものではない。能力や階級にこだわる人は、自分の存在が理由なき偶然であることを忘れている。 -
ヨーロッパ思想は、ギリシアの思想とヘブライの信仰。
-
再読。
-
ヨーロッパ思想=ギリシア思想+ヘブライ思想がベースにある。
ギリシア思想=ギリシア人は、自由や民主主義、法の支配など、自分たちが作り上げた社会制度・規範などにプライドを持っていた。バルバロイより優れているのはその辺りだという感じ。
ギリシア神話に登場する神々は、超能力を持つ人間。神は、人間の理想的な姿を描いており、死ぬかどうかという点が大きな違い。 -
ギリシャ思想とヘブライ信仰の二つを根源として展開されてきたヨーロッパ思想。この二つの軸のそれぞれの趨勢と要点を簡潔に辿っていく。
読み進むにつれて、この二つの親和性だったり、逆に反発しあう部分だったりが見えてくる。そして思想の変遷には、歴史の手を取り合う繋がりもあるが、同時に過去の思想を批判して抜本的に新しいものが出てきたりと、影響の仕方も様々であることが見えてくる。
ありがたかったのは、キリスト教的な価値観を大まかに知れたこと、そして歴史に名を連ねる哲学者たちの思想を概観できたことだ。
ギリシャの有名どころをはじめ、古代ではパルメニデス、現代ではロールズ、ハイデガー、レヴィナスといった初学者は聞くだけで竦むような重要人物までを、簡潔に、それでいてわかりやすさだけを売りにせず、理解するための達意のある文章で示してくれる。
自分だけの哲学の樹が、ゆくゆくは枝葉末節まで緑々しく生長していくための豊潤な土壌と苗の役割となる書物。
しばらくは度々立ち返って要所要所を再読していくことになるだろう。
只、所々この文は哲学者の作品からの引用なのか、筆者の考えなのか判然としない部分があった。しかしそれは些細なことと呑み込めるほどには学びがあった。 -
言わずもがなの名著。岩波ジュニア新書は、大人向けの名著があるから、恐るべし。
初学者には難しい内容だと思う。
ある程度、倫理や西洋哲学の変遷、キリスト教(や、一神教)についての知識がベースとしてある人が、学び直しや知識をよりClearにするために、おすすめ。
明晰かつ端的に解説されている良書。
ヨーロッパ思想、西洋哲学を理解するには、その根底にあるギリシアの思想とヘブライの信仰、ここの理解が大事だということ。
哲学にだけFocusした哲学入門書のような本は多いが、その根底にあるギリシア思想とヘブライの信仰(ユダヤ、キリスト)まで明晰に解説されている。
個人的には、実存主義の解説が分かりやすかった。 -
-
知識人からも絶賛されている不朽の入門書。
ジュニア新書らしい内容であっさり読めるんですけど、発行当初はじめて読んだときはあまりピンと来なかったというのが正直なところ…その後、多読乱読して15年後に再読するまでは、その凄さとか面白さがわからなかったですね。
というわけで、面白さを求めるタイプの本としては、初学者には微妙な本だと思います。 -
・デモクリトスによれば、「幸福も不幸も魂に属する」。では、どのような魂の状態が幸福かといえば、「人間にとって最善とは、できるだけ上機嫌で、できるだけ不機嫌であることなく、人生を送ることである」。この上機嫌という概念がデモクリトス倫理の中心概念なのであるが、それは快楽でありながら、口腹の快のようなはげしい快楽ではなく、静かで上品な快楽である。
・人間の魂は、理性、気概、欲望の三部分から成っている。理性のはたらきは、知恵をもって魂全体のために配慮し、他の部分に命令を発することである。気概のはたらきは、理性の命令に聴従し、その補助者となって欲望の放縦と戦うことである。欲望のはたらきは、理性の与える指令の下に食欲や性欲を満たし、もって生存の維持を担うことである。
・愛とは自分の好きな人に親切にすることではない、と告げている。そういうことなら、罪人でもやっている、とイエスは言っている。そうではなくて、偶然に出会った苦しんでいる人に、つまり、かかわり合いになったら厄介を背負いこむかもしれないと思われるような人に、近づいていって一緒に苦しみを背負うこと、それが愛であると告げている。
・異なる民族、異なる習俗、異なる宗教、異なる文化は、それぞれ自己に固有の善の観念あるいは価値の観念をもっている。それを他者に強制的に押しつけて他者を自分に同化しようと試みることによっては、平和な世界が実現されるはずがない。 -
この本を教えられたのは50代の若さで去った書評家〈狐〉が後に残しっていった「〈狐〉が選んだ入門書」(ちくま新書)だった。もう15年ほども昔の話だ。
それにしても、〈狐〉に導かれて読んだ岩田靖夫のこの「入門書」は、驚くべき本だった。
ヨーロッパ思想史を「ギリシア哲学」と「キリスト教」という二つの大河の交錯する流れでとらえながら、至る所に目を瞠るべき「深み」を用意して読者を引きづり込む牽引力は、生半可な本では味わえない。
とりわけ、最後にたどり着いたレヴィナスをめぐる章段は、目から鱗の、ことばどおりの納得でだった。
ゴチャゴチャとはブログに書いたので、できればそちらをお読みいただきたい。
https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202002220000/ -
ジュニア新書は玉石混交だが、これは石かな。いや、大人向けならば悪くない。しかし中学生には難しすぎだし(文章も引用が多く、文脈もなしではそれ無理だろ、という文が多い)、著者の意見が全面に出てる割には意見なのか事実なのか分かりづらいし、タイトルがミスリードだし。
といっても、今の新書はタイトル詐欺がたくさんあるからそれは普通とも言える。
ちなみにタイトルは、ヨーロッパ思想入門とあるが、実際は「キリスト教とヨーロッパ思想についての、思ったこと」といったところか。哲学を学んだ人は批判的思考ができると思っているんだけど、著者の批判的思考は残念ながら自分には向かわなかったのかなー、というのが一番の感想。 -
第二部までは面白かった。第三部は、すでに哲学をかじった人にとっては入門レベルなのだろうが、何もかじっていない自分にとっては???だった。理解力が最近のジュニアより劣っていることがわかった。
-
・中世ヨーロッパのスコラ学がキリスト教神学とアリストテレス哲学の結合だということはよく言われているが、著者はここでもう一歩踏み込んで、今日に至るまでのヨーロッパ思想の源泉がギリシアの思想とヘブライの信仰にあることを明らかにしたうえで、両者の結合ないしは反発を通じてヨーロッパの哲学が発展していく道のりを描く。それは魔術からの解放の歩みとも言えるだろう。
・とりわけギリシアの思想を論じた第一部と、ヘブライの信仰を論じた第二部の出来が素晴らしい。これらと比べたとき、アウグスティヌスからレヴィナスまでのヨーロッパ哲学を100ページ弱の中に詰め込んだ第三部は欲が張りすぎたせいか散漫な印象で、前二部とうまく接続されているとも言いがたい。
・ロールズがヨーロッパ哲学として紹介されていることに疑問を感じたが、「彼は、基本的にアリストテレスの能力主義を前提としながら、しかし、能力は各人に理由もなく偶然(contingent)に与えられたものだから、『私』のものでなく『社会の共有財産』であると考えて、有能な者の稼ぎ出した富を社会的弱者のために費消するような社会を構想するのである」(p.132)という一文を読んで疑問が氷解。もしかするとロールズの政治哲学こそがヨーロッパ思想の(すなわちギリシアの思想とヘブライの信仰との結合の)最も正統な継承者なのかもしれない。 -
デカルトの生涯
「人間は、実人生において自分に重大な関わりのあることについて推論するときには、判断を誤ればたちまちその結果によって罰を受けるので、文字の学問をする学者が書斎で巡らす空疎な思弁よりも遥かに多くの真理を発見できるだろう。」
書物に対して充分時間を費やした人間が、世界に社会に飛び出す動機としては最高にカッコいい。
ただ全体としては
ヨーロッパ思想"入門"と銘打っておきながらこんなに大正義に偏ってていいのか?
知識不足の自分にも、「ヨーロッパはギリシア思想から続く人間の平等が支柱。人類への最高の贈り物」
なんて言ってしまうのはあからさまな説明不足としか思えない。
入門書なんだし安心して読めるようにある程度全体的な光の当て方というものに気を使ってほしかったな。 -
ヨーロッパ思想のふたつの礎石であるギリシアの思想(人間はみな自由で平等な存在者である)とヘブライ信仰(唯一の絶対的な神がすべての創造主である)を踏まえたうえで、ギリシア悲劇やイスラエル人の歴史、イエスの教え、思想家/哲学者のアウグスティヌスからレヴィナスまでを時系列を追って要点を絞り分かりやすく解説している良書。
ジュシア新書というラインなので(そしてカント、ハイデガーなど数ページでは思想を紹介できない)深くはないけれど大まかなラインを知るには事足りる。
今純粋理性批判をこつこつ読んでいるんだけど解釈が間違っていないことを知れただけでも大きな収穫だった。 -
ヨーロッパの思想は、ギリシャ・ローマの人間思想とキリスト教の二輪だ、ということを覚えた。
岩田靖夫の作品
本棚登録 :
感想 :
