カラー版 神戸―震災をこえてきた街ガイド (岩波ジュニア新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784005004898

作品紹介・あらすじ

大震災から一〇年、モダニズムと庶民の街はいま、どうなっているのだろうか。繁栄のはじまりの地・兵庫、文明開化の窓口・三宮、変貌した商店街・長田。はなやかな歴史と痛切な記憶が、光と影となってただよう。アートにかける若者、復興へ力をあわせる人、震災体験を伝えようとする人の姿もまじえ、神戸を歩き、学ぶためのガイドブック。

感想・レビュー・書評

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  • 優等生的な神戸まちガイド。人気のスポットの紹介などはほとんどないが歴史にも地理にも政治にも経済にも社会にも言及があるので子どもには退屈だろうが大人としては勉強になる。ぱぱっと日本の都市を知りたいときは今後このシリーズを読もうかな。副題のとおり震災に焦点が当てられている。岩波ジュニア文庫だから仕方ないがたまに出てくる筆者のイデオロギーはいらない。

    (要約)
    神功皇后や有間皇子の「有馬温泉」の逸話などで知られるように,畿内に近い兵庫は古代より日本史に登場する重要な地域である。神戸周辺の開発は奈良時代の仏僧行基による港の整備にまでさかのぼることができる。12世紀の平氏政権はこれを引き継ぎ,大輪田泊(兵庫港)に福原京を築いて都にしようとした。その後も神戸周辺の地域は時の権力と結びつき,日宋貿易・日明貿易の窓口として栄えた。開国時に開かれた神戸港も海軍や財閥(鈴木商店)との結びつきが強く,その繁栄は国家権力のサポートによるところが大きい。「神戸市株式会社」などと言われる戦後の行政による積極的な開発(ポートタワーやメリケンパークの建設など)や,都市計画にもとづく整然とした街並みなどにもその傾向があらわれている。神戸は現代でも日本有数の海港都市であるが,震災以降はアジア諸国の台頭などもあってその地位は低下傾向にある。
    古くから栄えていたのは西の兵庫港で,東の神戸港の繁栄は開国後のことであった(もともと神戸とよばれていたのは小規模な村落で,いまの「元町(もとのまちの意)」のあたりにあった)。よって,下町の長田や,光源氏や在原行平が落ち延び,一の谷の合戦が戦われ,和宮が隠れたとされる夏のリゾート須磨・舞子など,前近代の逸話や古くからのムードが色残る地域は神戸以西に多い。
    神戸以東で前近代に広く知られた地名は「六甲おろし」を活用して日本酒の名産地となった灘くらいである。異人館で知られる北野などは言うまでもなく近代以降の開発による。新開地はその名のとおり湊川のつけかえ工事が行われた20世紀初頭以降の盛り場であるし,ターミナル三宮の繁栄は戦後~高度経済成長期まで待たなければならない。
    神戸は以上のように政権との結びつきにより積極的な開発を行ってきた港町であるから,ハイカラ好みかつ開放的で,重層的な文化が育っている。安藤忠雄の建築,メセナによる文化活動の充実,「日本で初めて」というお国自慢の豊富さ(食文化ならパン,ケーキ,チョコレート,コーヒー,紅茶,ラムネ,ソース,肉まん。ジャズなどの音楽や洋服・帽子などのファッション,サッカーやボートなどのスポーツ)など。一方で,政権が不安定化するとそれに巻き込まれて荒廃したり,無理な開発がたたって自然災害によるダメージを受けたりすることがこれまでに数多くあった。前者の例としては,応仁の乱による荒廃や,神戸大空襲(『火垂るの墓』の舞台は三宮周辺)などを挙げることができる。後者の例としては阪神・淡路大震災が広く知られるが,江戸時代より六甲山がはげ山となるほどの開発が行われていたことから神戸は天井川を有しており,水害にも悩まされてきた。太平洋戦争直前の阪神大水害では現在のフラワーロードにあたる街路などが水没する事態となり,700人以上が死亡した。

  • [ 内容 ]
    大震災から一〇年、モダニズムと庶民の街はいま、どうなっているのだろうか。
    繁栄のはじまりの地・兵庫、文明開化の窓口・三宮、変貌した商店街・長田。
    はなやかな歴史と痛切な記憶が、光と影となってただよう。
    アートにかける若者、復興へ力をあわせる人、震災体験を伝えようとする人の姿もまじえ、神戸を歩き、学ぶためのガイドブック。

    [ 目次 ]
    1 神戸はどんな町
    2 兵庫の800年
    3 海沿いを歩く
    4 山の手を歩く
    5 灘・東灘を歩く
    6 下町に生きる

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