野生動物と共存できるか―保全生態学入門 (岩波ジュニア新書)

著者 :
  • 岩波書店
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本棚登録 : 84
レビュー : 15
  • Amazon.co.jp ・本 (209ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784005005369

作品紹介・あらすじ

ラッコが駆除された。漁業に被害を与えるという理由だったが、それで増えると思った漁獲量が減った。なぜだろう?怖いクマや爆発的に増えるシカと、ほんとうに共存できるのだろうか。いま、新しい学問・保全生態学がさまざまなチャレンジを試みている。私たちが野生動物とどう関わればいいかを考える手引きとなる一冊。

感想・レビュー・書評

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  • ジュニア新書ということで子供むけに書かれた内容。
    しかし生態学を知らない大人が読むにもわかりやすくてよくまとまった内容だった。
    子供向けなのに「科学的な知見から」ということを徹底していたところがよかった。

    私は大学である程度生物学を勉強したので、「生態学全般」に関してこの本を読むことで新たに発見したことは多くなかったけれど、恥ずかしながら個々の事象については新たに知ったことが多かった。
    子供たちにこの本の内容を知ってほしいのはもちろんだが、ジュニアと言わず様々な人が読む価値があると思った。

    アイヌの人々の考え方と保全生態学の考え方に通じるものがある、という記述に共感した。『カムイ・ユーカラ』(山本多助)を今度読もうと思った。

  • ジュニア新書といえども馬鹿にできない良書。
    基礎部分や具体例、解決方法など分かりやすくかいてあるバランスのとれた生態学の本

  • <閲覧スタッフより>
    私たち人間は、「数が増えすぎた」「仕事に被害が出る」といった身勝手な理由で野生動物たちを駆除してきました。絶滅に追い込まれてしまった動物たちの歴史や野生動物を守る保全生態学が分かりやすく解説されています。
    --------------------------------------
    所在記号:新書||480.9||タカ
    資料番号:20088873
    --------------------------------------

  •  以前読んだ、同じ著者の「動物を守りたい君へ」がとても良かったのでこちらも子供に読み聞かせしました。同じように良書でした。こちらの方が焦点が絞れているとも言えます。
     とても良いのは総合的だということです。基本的には生き物の話であるわけですが生態学ということで、社会科的な視点が必要になっています。たとえば、スリランカやモンゴルの暮らし、そこの人々の考え方や、ほんの少しだけれど歴史も。この本を読むと、多面的なものの見方をしなければいけないとか、人は社会全体で間違った通念を持ってしまうことがあるといった、とても大切なことが生き物という親しみやすい具体例を通して学べます。「かわいい!」とか「かわいそう!」とか表面的な衝動で終わってはいけなくて、詳しく検討して意見・行動すべきである、ということは知性に本質的なことだと思うんです。
     難易度が、親が適度に解説を加えながら小学生に読んでやるのにちょうどよいです。中学生なら自分で読むのにいいでしょう。
     「ラクダはラクダだが、ホルゴルはラクダではない。」

  • 学生に教えてもらったのはこの著者の別の本だけど、タイトルを見ると本書も気になるので本棚に入れておく。

  • 保全生態学入門のサブタイトルどおり理解しやすく目的を達成できた。
    第1章の生物が消えていくの中で、農業基盤整備事業を農業基本整備事業と書き違えたり、暗渠排水の説明が咀嚼不十分からか間違っていて気になった。

  • 古本で購入。

    生物の保全には生態の保全が必要、つまりその生物を取り巻く環境の保全こそが重要。
    そこで力を発揮するのが、「保全生態学」。
    本書はこの保全生態学の基本について丁寧に書かれてます。

    今どんな問題が起きているか、絶滅とは、保全生態学とは、その実践とは、生物に対する価値観とは…
    そういったテーマごとに多くの具体例で話をしてくれるので、とてもわかりやすい。

    設定されてる読者層が中学生くらい(たぶん)のジュニア新書らしいつくり。
    語りかける文体なので、非常にとっつきやすいです。

    ただこの「ジュニア新書」、侮るなかれ。
    読んだことのある人はわかると思うけど、「どこが『ジュニア』だ」と感じさせるしっかりした内容の本が多い。
    本書もそのひとつ。

    ウニや貝を食べて漁業被害をもたらすラッコを駆除したら漁獲高が減った。
    サケの遡上による海・川・山のつながり。
    オオカミをめぐる自然観・動物観の変化。

    こういう内容はそれなりに知識を得てきた大人でも知らない、おもしろくて興味深いことだと思う。
    大人にこそオススメ。

    本書には、筆者の野生動物への愛と尊敬が満ちている。
    「どうにかこの想いを知ってもらいたい」という熱のあるいい本。

    筆者は動物を好きになってもらいたいと言う。
    それは「かわいいから好き」だというのではなく、理解してほしいということ。
    人間にとってどんな生物であるかは関係ない、その存在自体に価値があるし尊ぶべきだ、というわけですな。

  • アイヌの考え方(動物の神)が好きです。自然現象の神格化は受け入れやすい。

  • 野生動物とわたしたち人間とのつながりについて、とても分かりやすく書かれていた。日本のみならず、世界の野生動物や植物についても、興味関心を広げていきたいと思った。

  • 子供が読んだので語ろうと読む。自分の小学校時代に子供だけで山に冒険しに入りニホンカモシカを見た時は感動した(実は小学校にもシカが時々出没するほど田舎だった。熊に遭遇しなかった事が幸い)。小中で好きだった人の父親はハンターだったな…などと懐古。以降は本からの引用です//飼育動物と野生動物。メダカ。農業基本整備事業…田んぼに大きな変化。外来生物。農業被害、ラッコ、ウニ、昆布、漁獲高減。生息地の破壊。1900年は20億未満。世界中の島々…ヤギ…捕鯨のため。

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著者プロフィール

たかつき・せいき
1949年鳥取県生まれ。
東北大学大学院理学研究科修了、理学博士。
東京大学、麻布大学教授を歴任。
現在は麻布大学いのちの博物館上席学芸員。
専攻は野生動物保全生態学。
ニホンジカの生態学研究を長く続け、
シカと植物群落の関係を解明してきた。
最近では里山の動物、都市緑地の動物なども調べている。
主著『野生動物と共存できるか』『動物を守りたい君へ』
(岩波ジュニア新書)、
『タヌキ学入門:かちかち山から3.11まで』(誠文堂新光社)、
『となりの野生動物』(ベレ出版)、
『唱歌「ふるさと」の生態学~ウサギはなぜいなくなったのか?』
(山と渓谷社)、『シカの生態誌』(東京大学出版会)他多数。

「2017年 『都会の自然の話を聴く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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