砂漠化ってなんだろう (岩波ジュニア新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784005005468

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  • 砂漠とそうでないところの、「際」の部分をみつめるような、砂漠化の本。おもに植生、つまりそこにどんな植物が根付いているのかをクローズアップして、砂漠というものを説明してくれている。2007年の本で、その当時のデータですが、砂漠化していたり、する寸前だったり、しやすかったりする、乾燥、半乾燥、乾燥半湿潤地帯には、8億5000万人もの人が生活しているそうです。そういう頼りない植生地帯に暮らすことは、そんな多くの人々が、貧困に直結する環境に置かれてしまっているということだと思います。本書ではその環境から脱する処方箋を記すばかりではなく、砂漠化してしまうメカニズムを知ることで、砂漠化をさせないようにしていこうとする志向性が強いです。

  • ・植生(葉)の反射率は、クロロフィルやカロチノイドのある0.4〜0.5μm(青紫)と0.68μm(赤)で低く、その中間の緑色でやや高い。0.75〜1.3μmの近赤外域で強い(約50%)。
    ・植物の生育量をあらわす植生指数RVIは、衛星画像のバンド4(近赤外)のバンド3(赤)に対する比。2.5以上は砂漠化していない、1.2は砂漠化。
    ・C4植物は、葉肉細胞にCO2を凝縮する回路を持つ。C3植物より蒸散速度(要水量)が小さく、光合成の最適温度や光飽和点が高いため、乾燥地に適している。キビ、ソルガム(モロコシ、コーリャン)、トウモロコシなど。
    ・CAM植物は、夜間にCO2を取り込んで液胞に蓄え、昼間は気孔を閉じて水分の蒸散を抑える。厳しい乾燥気候下に適応するが、光合成能力は著しく低い。パイナップル、サボテンなど。
    ・乾燥地域などの砂漠化のうち、気候要因に起因するのは13%で、それ以外は人間活動によるもの。湿潤地域の砂漠化(土地の荒廃)はほぼすべてが人間活動によるもの。
    ・人間活動による砂漠化の主な原因は、過放牧、天水農業の過耕作、灌漑農地の不適切な水管理、森林の乱伐。乾燥地などでは原因の46%が過放牧。
    ・UNEP「砂漠化世界地図 World Atlas Desertification 1997」に土壌劣化の面積と主要原因データあり。
    ・ヤギは草を根元から食べてしまい、トゲの生えた樹木に登って葉を食べつくすため、最も砂漠化を招きやすい。
    ・乾燥地の65%は、畑よりは放牧地の方が持続可能な利用に適している。
    ・過度の伐採が大きな問題を起こしている地域は、南アフリカを除くサハラ以南と、インドの乾燥地。

  • [ 内容 ]
    いま、地球のあちこちで砂漠化がすすんでいる!
    どんな自然条件や人間活動が原因なのだろうか。
    食いとめる方法はあるのか。
    中国やアフリカ、南米での調査と、内蒙古での放牧試験などをもとに、メカニズムをわかりやすく解説し、緑を復活させるためのエコロジカルな土地管理の方法を提案する。

    [ 目次 ]
    1章 地球のあちこちで砂漠化がすすんでいる!
    2章 砂漠ってどんなところ?(砂漠はどうしてできるの? どんな景観なんだろう? ほか)
    3章 人間活動が砂漠化を招く(砂漠化の原因 土地利用別にみた砂漠化 ほか)
    4章 湿潤地域でも「砂漠化」はおこるか?(土地の荒廃 中国南部の水土流出 ほか)
    5章 砂漠化した土地の緑化を考える(砂漠緑化と砂漠化した土地を緑化することのちがい エコロジカルな土地管理 ほか)

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  • 分類=砂漠化・土地利用・緑化。07年2月。

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著者プロフィール

1946年、東京生まれ。東北大学大学院農学研究科修了。農学博士。専門は植物生態学。農林水産省農業環境技術研究所、東京農業大学地域環境科学部教授を経て、現在、東京大学大学院農学生命科学研究科・附属生態調和農学機構特任研究員、東京農業大学客員教授。現代の身近な自然は外来雑草(植物)で満ちあふれている。子どものころ、多摩川の土手で見たような「日本らしい自然」の主役であった在来雑草のよさを、多くの人に知ってほしいという思いから、「日本らしい自然」を再生する活動を各地で実施している。趣味は野生植物の観察と栽培。旅先でも通勤途中でもつい植物に目がいってしまう。著書に、『日本らしい自然と多様性』『砂漠化ってなんだろう』(ともに岩波ジュニア新書)、『砂漠化する地球の診断』『雑草たちの陣取り合戦』(ともに小峰書店)、『雑草生態学』(編著、朝倉書店)、『環境保全型農業事典』(共編、丸善)などがある。

「2014年 『雑草社会がつくる日本らしい自然』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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