財政のしくみがわかる本 (岩波ジュニア新書 566)

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  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (198ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784005005666

感想・レビュー・書評

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  • 国の財政について最初の一冊として薦められた本です。確かに一知半解で聞いていたことがどんどん分かって気持ちいいです。このレベルのことは共通認識しておかないと確かに議論は成立しない。

    基礎的な用語について説明と、本来どういう意味で、今はどうなっていると書いてある。経緯についてはジュニア向けだと大部になるのであえて割愛されているのだろう。

  • 【要約】


    【ノート】

  • 978-4-00-500566-6 198p 2007・6・22 1刷

  • こういうのなーんにも知らなかったので、ちゃんと勉強できてよかった。また、もっと知りたいのに記述が足りないと思う部分もあり、もう少し別の本も読んでみたいものです。

  • 桃太郎さん、桃太郎さん、お腰に付けたものは何ですか。
    日本一の黍団子だ。

    江戸時代:一つください。お供します。
    明治時代:一つください。家来になります。

    →土地や労働を取引するようになったのは明治時代。

  • (1)財政、予算、税金、お金の使い道、国の借金、国と自治体の関係について分かりやすくかかれている。

    (2)国が借金していることでの問題が2つある。
     1つめは財政の使い道というのは、国民の生活を支えたり、国民の経済支えたりする公共サービスを出していくことなのだ。だが、借金返しに予算の4分の1ものお金が使われているため、国民の生活を支える公共サービスや、企業が生産活動をおこなうための前提条件をつくりだす、という財政が本来やるべき仕事ができなくなる。(p135〜136)
     2つめは、財政の大きな任務である所得再配分に反することだ。所得再配分とは、豊かな人に税金を重くかけ、貧しい人には現金を給付して、国民の所得の格差を小さく、できるだけ平等な社会にしていこうという役割をしている。だが、財政の借金が大きくなると、この所得再配分の機能を果たせないだけでなく、一般の国民から税金をとって豊かな人々にお金を配分する逆再配分という現象がおこる。(p136〜137)
     対処法としては、租税構造をできるだけ公平にしておくことが大事だ。公債費が多くなれば、豊かな人々に多くのお金が分配されるので、税金もお金もちの負担を増やしておけば、景気が回復してくると、お金持ちが増え税収も自然に増える。これを自然増収といい、それによって財政再建もできることになり、所得再配分もできている。
    そして、支出を減らさないこと。公共サービスの量を確保しながら、借金を返していくということ。(p138) 

    (3)どんなところに私たちの税金が使われているか、税金の仕組みを知れた。
     財政のことを勉強するには良い内容だと思い、より日本の財政に興味がでてきた。(半歩崎由紀子 20150105)

  • なかなか面白かったです。「しくみ」だけではなく財政に対する「考え方」を身に付けることができる良書。ただし専門用語がポンポン出てくるので中学生が読むのは難しいでしょう。高校生でもなかなか…。また神野先生はやや偏った考えの持ち主のため、そこら辺を理解した上で読む必要があります(神野先生の考えが駄目という意味ではありません。為念)。そういう意味では、読者対象は大学生~社会人ということになりそうですが、分からないながらも早い段階(中高生)でこうした良書を読んでおくと、社会をみる眼が鋭くなると思います。

  • 『地方財務』の特集で、地方自治体の財政担当者の多くがお勧めの本に挙げていたが、本書を読んだきっかけである。確かに、ジュニア新書ではあるが、中身はかなり濃密だった。公共支出の基準としての「ニーズ」と「ウォンツ」という概念など参考になった。
    しかし、財政における借金についての考え方には賛同できなかった。国債を持っているのは金持ちであり、逆進性のある消費税増税で借金を返すのは逆再分配になると主張しているが、国債の多くはゆうちょ銀行などの金融機関が持っている。財政破綻が起これば、そういう金融機関に貯金や預金をしている一般国民にも多大な悪影響を及ぼすことについてはどう考えているのだろうか。また、公共サービスは維持しつつ、租税構造を公平にし金持ちから税金を取ることで借金増に対応するとしているが、所得捕捉の仕組みの構築ができないこと、高所得者への増税にも量的な限界があることなどを考えると、やはり、広く薄く集める消費税の増税しか財政健全化の道はないように思われる。

  • 財政のしくみについて、簡単な言葉で丁寧に解説されている。日本の財政のしくみや特徴を学ぶことができた。消費税増税の是非等を考える際に非常に参考になった。

  • 財政のしくみがわかる本
    そもそも財政とは何かということをわかりやすく解説した書。財政とは、民主主義に基づいて、社会の構成員の共同意思決定のもとに運営される経済のことをいう。市場社会はよく「企業」「家計」「政府」という3つの経済主体の関係で説明されるが、企業や家計をまとめて一つの社会にする活動(統治)をする政府の経済のことを財政という。
    市場社会においては、利潤の追求をしてよい領域(ウォンツ)と、利潤を追求してはいけない領域(ニーズ)を分ける必要があるが、近年の日本ではこの区別がつかなくなって社会的な混乱が起きていると指摘されている。
    日本において財政と言えば、やはり膨大な財政赤字に関することかもしれない。マスコミ等をみても財政再建は喫緊の課題だと喧伝されている。しかし、日本においては国民から国民に借金をしているという内国債のため、そんなに心配する必要はないという印象を受けた。また、財政学の伝統的な考え方の「量出制入原則」に従うという意味でも、財政再建ばかりに焦点を当てるのはどうかと思った。
    財政的に心配ないのであれば、財政再建を目的とするのではなく、国民のニーズに応えることを目的とし、ニーズを満たすことで合意を得ながら増税することによって長期的に財政再建していくことが現実的なのかもしれないと感じた。

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著者プロフィール

神野直彦(じんの・なおひこ)
日本社会事業大学学長、東京大学名誉教授(財政学・地方財政論)
『システム改革の政治経済学』(岩波書店、1998年、1999年度エコノミスト賞受賞)、『地域再生の経済学』(中央公論新社、2002年、2003年度石橋湛山賞受賞)、『「分かち合い」の経済学』(岩波書店、2010年)、『「人間国家」への改革 参加保障型の福祉社会をつくる』(NHK出版、2015年)、『経済学は悲しみを分かち合うために―私の原点』(岩波書店、2018年)
1946年、東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得満期退学



「2019年 『貧困プログラム 行財政計画の視点から』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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