財政のしくみがわかる本 (岩波ジュニア新書 566)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (198ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784005005666

感想・レビュー・書評

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  • 字ばっかりの本を久しぶりに読んだ気がします。

    一見難しそうだが、重要なこと(新聞等で話題になるようなトピックス)を理解できるように、取捨選択して書かれています。

    財政の基本を知らなかった私にとっては、目から鱗の一冊でした。

    建設公債の原則
    繰上充用制度
    会計年度独立の原則
    などの言葉を知らないが、財政に詳しくなりたい方には手頃かと思います。 

  • 神野直彦『財政のしくみがわかる本』(岩波ジュニア新書, 2007)
    ▼ 高校生くらいでも読める財政(学)入門書。
    ▼ 第2章の税の話が明快。
    ▼ 第5章の国債の話が面白い。日本政府の国債はほぼ内国債であり、また資産も多くあるので、大した問題ではない。問題は、政府が予算の1/4を借金返しに充てている点、またそのことが所得再分配に反してしまう点にある、と。

    「財政の借金が大きくなると、財政がこの所得再分配の機能を果たせないどころか、逆再配分の機能をもってしまうということです。なぜなら、国債をもっているのはお金持ちの階層です。したがって、国民からとりたてた税金を、国債の借金返しに使えば、一般の国民から税金をとって豊かな人々にお金を再配分してしまうという現象になるのです。
     現在日本でおこなわれようとしている、財政再建のために消費税を増税しようという政策は、この典型です。なぜなら、消費税は負担が逆進的で、貧しい人に負担が大きく、豊かな人に負担が小さいからです。税金で貧しい人々に負担を求め、国債をもっている豊かな人々にお金を配分するということになるわけです。
     つまり、本来の財政は、国民のお金を右のポケット(豊かな人々)から左のポケット(貧しい人々)に移すのが役割なのですが、財政再建のための消費税増税では、左のポケットからお金をとって、右のポケットに押しこむという逆再配分がおこなわれる危険性があるということです。」(137頁)

  • 言い回しがジュニア新書にしては難しく、例示も中高生には分かりづらいように感じたが、当のティーンエイジャー達はどうなのだろう。

    挿入されているグラフはひと目でメッセージが伝わる価値のあるものだったが、アクセスしやすい出典であれば、なお良かった。

    政府や自治体のお金の原則が分かりやすかった。

  • こういうのなーんにも知らなかったので、ちゃんと勉強できてよかった。また、もっと知りたいのに記述が足りないと思う部分もあり、もう少し別の本も読んでみたいものです。

  • 予算、税金、地方自治との関係など、私たちの生活目線で財政について分かりやすく解説されていて、大人が読んでもためになる本であると思った。
    納税義務者として知っておかなければいけないことが、まだまだたくさんあるということを実感し、源泉徴収制度で麻痺した税負担感覚をしっかりと持つ必要があると思った。

  • この本は、財政の仕組みが理解しやすい。
    全体的な理解ができる。

  •  財政について、外観できる入門書。ジュニア新書ではあるが、シニアというかかけだしの公務員にも役立ちそう。もっとも、官僚には耳の痛い点が少なくないかも。

     「江戸時代に共同の財布はあったか」。家産官僚制と依法官僚制下の「財布」の意味合いの違いを示す。
     公務の中身を、1)秩序維持の施策、2)生活を支えるセーフティ・ネット、3)市場経済が動いていくための条件整備の施策、に位置づけ(38p)。
     そのうえで、市場原理にゆだねてよい領域と、市場原理にゆだねる両機ではないものとを≪あいまい≫にすることの是非を問う。

     財政が膨張する要因を、家と生業の分離、労働市場の二極化に求める。共通することは、家族・企業が労働力をささえてきた安全装置(セーフティ・ネット)が、二つながらに支持基盤たりえなくなった点に求める。

     著者は労働市場に市民みんなが働きにいく時代を、「産業構造を大きく知識社会の方向に転換していくことすらも不可能にしかねない」(180p)と危惧する。
     最後に、市場社会の政策には、効率と同時に、公平と公正という価値基準が重要であるということを「忘れてはいけない」(186p)とする。

  • タイトル通り、財政のしくみがわかる本です(笑)
    財政とは?財政の役割とは?財政の何が問題なのか?など、非常にわかりやすく解説してありました。
    財政の特徴…歳出が先に決まり、それに基づいて歳入を決める量出制入は、経済学部出身の僕は知りませんでした(笑)
    現行の所得税率を批判している所は共感できます。しかも欧米先進諸国のデータも掲載しているので信憑性は高いです。
    蛇足ですが、広井良典さんも日本の所得税率の設定を批判しています。ついでに言えば消費税の増税にも噛み付いています、一律負担は公平負担と言いますが、実は逆進性を伴っている。などなど。。
    あと、日本の財政赤字は外国債を発行していないため、国家破綻を起こさないらしい!
    終盤では民主主義のありかたを熱く語っています、ボトムアップの行政サービス提供を考えるべきだ、等々。とにかく一読の価値あり!
    目からウロコ、瞠目に値する良書です☆
    特に思ったのは。
    東大の学院教授がここまで日本政府にダメ出しするとは酔狂ここに極まり(笑)

  • 当学講師、羽方康江女史推薦!!

    まぁ、近頃新聞読んでもニュース見ても、政治関係のものには大概お金の動き(黒い意味ではなく)が絡んでいます。
    自分たちの払っている税金がどういう仕組みで集められ、使われているのか、参政権をもつorもっている身として、知っておくに越したことはないのでは?

    ジュニア新書なのでそこまで難しくないうえ、非常に分かりやすく、他国との比較を踏まえ、現代日本の財政的課題への見解(「大きな政府」論者である著者の立場から見た)も示されているので
    財政に興味を持った人に入門の書としておススメです。

  • [ 内容 ]
    自治体の財政赤字がふくらみ、国の借金も世界最高になっている。
    なぜ、赤字になったり、借金が増えるのだろう?
    国や自治体の予算はどのように決まるのだろう?
    税金の体系はどうなっているのだろう?
    それらの疑問に答えながら、財政のしくみと今かかえている問題を解説し、地域のニーズを実現する財政のあり方を考える。

    [ 目次 ]
    1 財政って何だろう
    2 予算って何だろう
    3 税はどんなしくみになっているのだろう
    4 どんなところにお金を使っているのだろう
    5 借金は財政にどんな意味をもつか
    6 国と自治体の関係
    7 いま財政がかかえる問題
    8 財政の未来像をえがく

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著者プロフィール

神野直彦(じんの・なおひこ)
日本社会事業大学学長、東京大学名誉教授(財政学・地方財政論)
『システム改革の政治経済学』(岩波書店、1998年、1999年度エコノミスト賞受賞)、『地域再生の経済学』(中央公論新社、2002年、2003年度石橋湛山賞受賞)、『「分かち合い」の経済学』(岩波書店、2010年)、『「人間国家」への改革 参加保障型の福祉社会をつくる』(NHK出版、2015年)、『経済学は悲しみを分かち合うために―私の原点』(岩波書店、2018年)
1946年、東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得満期退学



「2019年 『貧困プログラム 行財政計画の視点から』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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