日本らしい自然と多様性 身近な環境から考える (岩波ジュニア新書 654)

  • 岩波書店 (2010年5月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (208ページ) / ISBN・EAN: 9784005006540

みんなの感想まとめ

日本の豊かな自然と生物多様性の喪失について深く考察した一冊であり、戦後の政策がどのように影響を与えているかを探ります。著者は、縄文時代から現代に至る農業の変遷や、帰化植物が在来種に与える影響についても...

感想・レビュー・書評

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  • 国はなにしてくれる(怒り)
    戦後、日本の豊かな自然は急速に失われている
    それは国の政策によるもののようだ
    巻末に「細心な注意で編集いただいた・・・」の文言が物語っている。

    著者根本氏のような方のおかげで生物多様性の喪失が多少遅らせることができていることに感謝。
    帰化植物が在来種を狂わせるとは、なんだか帰化人と類似しているようなと感じてしまった。

    私には少々難しい内容もあったが、栽培が始まる前の縄文時代から鎖国による精農主義の展開など現代(2010年)までの農業の実情、雑草に対する見方や価値観を鎖国などの歴史と共に学べ、面白かった。

  •  岩波ジュニア新書らしい、ものすごく濃密で内容の詰まった新書。一体この内容をきちんと咀嚼していける高校生がどれくらいいるのか、いや普通に大人でもこれを理解できる人がどれくらいいるのかと思うほどの密度だ。

     ハイライトは、「日本人は自然を愛すると自認しているが、それは自分の好みにあった特定的な部分のみを偏愛するものであり、全体的な生態系を重んじていない」という問題の指摘である。
    「雑草という草はない」とは、牧野富太郎や昭和天皇の言葉として人口に膾炙しているが、この言葉の愛されようは、"自分の愛する対象の外"というカテゴリが日本人の自然認識に根強く存在していることをも意味している。

     よく言われる、「人間も自然の一部だから、人間が自然を壊したり外来種を持ち込んだりするのも自然の営みだ」という詭弁も、「何が自然かを決定するのは私だ」という傲慢さゆえに生まれるものだろう。

     筆者は、特定の生物種のみを愛護する日本人的自然愛には非常に否定的である。
     そして、そういう「自分の愛する対象を守る」という狭い目的でさえも、それを取り巻く「雑草」全てに対して、調査と学問的知識の蓄積を行っていかねば不可能であるという厳しい指摘を、粘り強くこの本で行っている。

     だが同時に、今の「大人」にこの指摘が伝わることを、著者はすでに諦めているようにも見える。
     著者が見据えているのは、まだ自然観が固着していないこどもたちであり、彼らが本当の意味での生態系の尊重を理解し実行してくれることにしか、希望はないと感じているのだろう。
     この本が、岩波ジュニア新書として存在している理由はたぶんそこにある。

     そして、これを読んだもう若くない私も、己の固定した「自分が愛玩する自然」から離れた生態系への理解と尊重を、何とかして育まねばならない。
     それは、まさに多様性を受容し尊重するという、われわれに突きつけられた課題そのものである。

  • とてもジュニア向けとは思えない難しさ。言葉の定義がゆるい。
    雑草を見分けられない。

  • 「私たち日本人」がどうのこうのと言いすぎていて、読む気にならなかった。
    1946年生まれの人だから?そもそも、日本人って何よ?

  • 原生林などのありのままの自然生態系はできるだけ近づかないようにする一方で、人間と自然とが共生する半自然生態系を管理して維持することが、美しいふるさとづくりの決め手であるという。
    半自然生態系とは、雑木林、茅場、水田のあぜ、ため池、用排水路の土手、谷津田周辺の刈り上げ場などのこと。半自然系の多様性を取り戻すためには、それぞれの在来植物に内在する人間による干渉に対する反応特性のデータベースを積み上げる必要があると主張する。

    ・水田を刈敷(田畑に敷きこむ若葉や草)だけで維持しようとすると、毎年水田の10倍以上の面積の山が必要になる。江戸時代の里山は、ススキやチガヤの生える草山、ハギや灌木、マツの幼木などが生える柴山が60%を占めていた。
    ・日本の畑作地や草地は火山灰土(黒ボク土)。雨量の多い日本ではカルシウムの流出が激しいため、酸性を示すものが多い。酸性の土壌では、アルミニウムが外に出てリン酸と結合してしまうため、リン酸欠乏になる。
    ・酸性の土壌ではアルファルファのような牧草が育たないため、明治以降も放牧による畜産が進まなかった。
    ・チガヤは世界の農業者が選んだ強害雑草18種のひとつで、インドネシアやフィリピンの森林伐採して略奪農業を行った跡に広がっている。

  • 岩波ジュニア新書ってこんなに細かく書いてあるのか。
    内容はおもしろいんでもう少しテキトーに書いた方が一般受けすると思う。

  • そこらへんの草花の名前がわからない自分を反省。

    本当の意味で、環境に注目なんか、していないんです。だって、花の名前も知らないもん。「緑があるね、いいね」くらいの気持ちしかなかった。でも、それじゃダメなんだ。ただ、ちょっと専門用語連発で難しかった。それも自分がこの分野にきちんと興味がないから?

  • 岩波ジュニア新書であるから小学校高学年からを対象に書かれていると思われる。身近でよく知っている植物を引き合いに出しながら「生物多様性」の概念をわかりやすく解きほぐしていると思う。
    実はこれも僕の郷土教育への関心から入手した本である。

  • 新着図書コーナー展示は、2週間です。
    通常の配架場所は、3階 請求記号471.7/N64

  • 現在の日本における自然界の現状、そしてその在り方に関する本。日本の植物にいかに多くの外来種があるのかを知って愕然とする。

  • ヤングアダルトの分類だったのでもっとわかりやすく書かれているかと思っていた。

  • ある程度人の手が入った「半自然」が多様性を作り出すというのは面白い話。ただ「日本らしい」とか「美しさ」とかいう単語が気になるといえば気になる。帰化植物が現代の環境に合うものとして繁栄するのはいけないことなんだろうか?在来植物の多様性を守ることは必要なんだろうか?とか考えてしまったけど、もしかしたらそれは英語の覇権の中で少数言語を守ることと等しい構図なのかもしれない。
    もともとあまり関心を持っていなかった分野でもあり、具体的な詳しい話がなかなか頭に入ってこなかった。知識があったらもう少し楽しめるのだと思う。

  • 登録日:6/28

  • 「岩波ジュニア新書」というレーベルなので,子ども向けにやさしく書かれているのかと思って手に取ったら,よっこらどっこい,「半自然生態系」「陣地強化-拡大型」「アレロパシー」「密度依存的ギャップ(DOG)」などの概念を駆使して,生物多様性や雑草を含めた生態系についての著者の研究が詳細に描かれていた。

    かなり多くの雑草の名前が出てくるので,ふだんから雑草の名前に馴染んでない方にとっては,読みにくいかもしれない。自称,“雑草初級”(?)のぼくにとっても知らない名前がたくさんでてきた。改めて植物辞典やネットを参照しつつ再読したい(たぶん,著者もそれを望んでいるのだろう)。

    著者は第6章で『生物から見た世界』という本にでてくる「環境世界」という概念に言及し,現代の日本人が多くの植物を「雑草」として自らの環境世界から排除してしまっていること指摘している。その理由として,①国民が自然と接する機会が減ったこと ②小・中学校の教育のなかで植物の名前を覚える機会が少ないこと,を挙げている。

    多様性に富む植物をこれからの子供の環境世界の知覚の対象とするために,著者は自らの研究対象でもある「河川堤防のチガヤ群落」での環境教育を提案している。適切に管理されたチガヤ群落では多様な生き物が生存でき,また堤防法面は自然観察の場としても適している。こういった身近な自然を入門コースとして活用し,原生自然の保護(尾瀬の湿原など)を中級,里地・里山あるいは阿蘇の草山などの半自然生態系の保全を上級コースとしていくのが著者の狙いだ。

    実際にこの狙いが成功するかどうかは分からないが,里山のような日本の原風景ばかりに目を向けるのではなく,もっと身近にある自然,たとえば堤防法面や道路沿い,線路沿いなどの自然観察から生き物の世界に入っていくことは,いまの子どもたちにとって分かりやすいのではないかと思う。

    おもしろく,内容が濃い本だった。一回では理解しきれなかったので,必要に応じて再読したい。

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著者プロフィール

東大

「2020年 『在来野草による緑化ハンドブック』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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