「中国残留婦人」を知っていますか (岩波ジュニア新書)

著者 :
  • 岩波書店
4.13
  • (2)
  • (5)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 37
感想 : 4
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784005006915

作品紹介・あらすじ

取材先で出会った一人の中国残留婦人の一生をたどり始めた著者は、時代や戦争に翻弄されながらも強く生きる姿に圧倒される。中国残留婦人というものが生まれた経緯、また戦後の中国や、日本に帰国してからの暮らしなど、表だって語られることの少ない歴史に光をあてながら、戦争体験を語り継ぐ意味と平和の大切さを訴える。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 敗戦で軍人、つづいて実力者が真っ先に逃げた。国民党進駐軍は小でも公的地位あったものは市中引き回しの上、公開処刑。末端公務員も囚え内戦の危機が迫ると密殺した。棄民の女子供は満州の曠野に…(吸い込まれた)「12歳までが残留孤児、13歳以上は自分の意思で残ったものとみなします」中国人と結婚などして保護され引揚船があることを知らなかったり辿り着けなかった者は多い。「日中国交正常化」以降も侵略の加害者側とされ、帰国条件の親族の身元引受も「自分の意志で満州に(開拓団募集に応じ)渡ったのだからなりたくない」と拒否され

  • まだ不勉強だった頃、残留婦人の裁判を傍聴に行ったことがある。小さな法廷、それでも平日だったせいか人が少なかったのを覚えている。

    中に入る勇気がまだなくて、そのあと何回か傍聴に行ったきりになってしまった。

    その後残留孤児の方と話す機会を得たり、中国(私は南ばかりだけど)に会いたいひとができて中国語を勉強している今だからこの本とちゃんと向き合えるのかなって思う。

    映画のことも知ってたけど、なかなか見る機会がなくこの本を読んだ今だからこそ見たいなと思う。

    ほんとこの国は人を捨てる。国民(っていう言葉は好きじゃないけど)の幸せとかは割とどーでもよくて一部のお金が割とある人たちが更にお金を儲けることっていうのがこの国にとっての国益なのだ。

    今も何も変わっていない日本という国。
    国っていったら共産党の一部のひとたちだけが利益を得ている中国も同じ。

    でもそれに負けずに人は優しい。泣きそうになるくらい。

    あたしも中国で長勝さんのような人に出会った。そういうひとたちに会いたいから通ってた。

    だから希望は捨てきれないし、繋げていきたい。

    著者が栗原さんに出会ったようにあたしが出会ったひとたちの記憶を未来へ。

  • 369.37 ア 登録番号8380

  • 「大陸の花嫁」として満州に渡った女性、栗原さんの人生。しかし当時は嫁候補としての募集だとは知らず、国の為に女性も満州で労働に従事するといった文句で募集していたそう。その後の撤退、子ども殺し、大勢の自決、ソ連兵によるすさまじい暴力、略奪など。復讐する中国人もいれば、栗原さんを助けた夫のような中国人もいて、そしてその後の社会主義、文化大革命など混乱期の中国でよく生きぬいてこれたなぁとため息。初めて帰国した時の、飛行機の窓から眺めた煌びやかな日本を見たときの栗原さんの思いはどんなものだったのか。そしてようやく日本に念願の永住を果たすも、棄民扱い。国はいつだって国民を守ってくれない。

全4件中 1 - 4件を表示
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×