3・11後を生きるきみたちへ――福島からのメッセージ (岩波ジュニア新書)

  • 岩波書店 (2012年4月21日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784005007103

作品紹介

地震列島・原発列島に住む私たちは、これからどんな生き方をしていけばいいのか?どんな社会をつくっていけばいいのか?福島第一原発南西の川内村で、3・11の大地震とつづく原発事故を体験した著者は、東電・政府・自治体や住民の動きを目を凝らして見てきた。その見たもの・聞いたこと・考えたこと。

3・11後を生きるきみたちへ――福島からのメッセージ (岩波ジュニア新書)の感想・レビュー・書評

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  • 「3.11」は完全に固有名詞となってしまった

    その人災の構造について
    とても分かり易く
    とても丁寧に
    ご自分が見たこと
    ご自分が聞いたこと
    ご自分が経験したことを
    もとに
    どのように行動したのか
    どのように思ったのか
    どのように考えたのか
    そして
    今、こう考えたらいいだろう
    を 読者に
    それも これからを生きていく若い人に向けて
    平易な言葉で
    語りかけておられる

    若い人には むろんのこと
    日本のこれからが
    気になる人と
    共有したい一冊です

  • 2014.2.21
    たくき よしみつ
    7章は感情的。白黒分けれるものは少ないという事例に使えるかも。

  • 「勝ち犬・負け犬じゃない、狛犬だぜ!」(We183号)の話を聞いた槙さんから、僕の師匠ですと、たくきよしみつさんの『狛犬かがみ』の本をもらった。それを、はぐはぐと読み、福島の石工、寅吉や和平、かっけー!と思っていたところ、たくきさんの「狛犬ネット」にたどりついて、利平・寅吉・和平の3代が彫った狛犬と、その生涯をまとめた『神の鑿』を購入。

    送られてきた本には、たくきさんの著作やCDの一覧が入っていて、大人にこそ読んでほしいと書かれていた岩波ジュニア新書を図書館で借りてくる(立ち読み版)。

    福島第一原発から20~30キロ圏になる川内村に住んでいたたくきさんが、3・11の地震と続く原発事故を、福島の中から、つつみ隠さず書いている。自分よりも、これから長く生きていく若い人たちに、一緒に考えてほしいと。

    「「想定外」という嘘」「見捨てられた人たち・見捨てた人たち」「徹底して隠された汚染の事実」「川内村全村避難劇の裏側」など、あの日何が起きたのか、というところから、たくきさんは書きおこし、壊されたコミュニティ、放射能よりも怖いもの、エネルギー問題の嘘と真実、といった章を連ねて、3・11後の日本を生きるという終章へと、たくきさんが目にしたこと、耳にしたこと、調べぬき、考えぬいたことが綴られている。

    たくきさんの書く内容は、3/31の「逃げ遅れる人々 東日本大震災と障害者」の上映会と講演会で見聞きした話とも重なるところがあった。伝えられていないこと、知らなければ、なかったことになるかもしれないことが、たくさんある。

    たくきさんは、あとがきにこう記している。
    ▼問題があまりにも深く、複雑なため、一度読んだくらいでは理解できないと思います。もやもやが残ったり、これはおかしいんじゃないかと反発を感じたりした部分もたくさんあるかもしれません。
     そうした疑問を感じることが大切なのです。すこしでも納得できない、わからないと感じたことは、テーマ別にとことん自分でも調べ、考えぬいてください。(p.224)

    そして、重要なこととして、二つ、「人生において、すっきりとこちらが正解だと決断ができる場面は少ないということ」、「「目的」と「手段」を混同するな、ということ」を挙げている。

    ▼ようするに、電気は何かを使うための「手段」にすぎず、電気だけで何かをつくりだすことはできないのです。石油はエネルギー源であると同時に、現代文明を支えている重要な材料資源でもあります。石油が枯渇した世界では、いくら電気だけあっても今の文明は成立しませんし、そもそも発電装置や送電網などがつくれないので、風力発電、太陽光発電という技術も使えなくなります。(p.176)

    ▼政治・行政が税金を使うことは、幸福になるための手段であって、目的ではありません。
     ところが、いつしか、より多くのお金を使うことが幸福なことだと勘ちがいしてしまうのです。そのまちがった政治・行政でもうかる一部の人たちがいて、その人たちが、人びとをそういう考え方に導いていることが問題です。(pp.214-215)

    そんな「もうかる」方向に、「森の除染はもうかる」があったりする。補償金や賠償金の線引きの具合で、いらぬ対立や軋轢がうみだされもしている。お金がいかにコミュニティをゆがめ、不健全なものにしてしまったかという、読んでいて気の滅入るような話のなかで、郵便や宅配便の仕事が事故後のはやい時期に復活したというくだりは、心にのこった。

    ▼事故後一ヶ月少々で、川内村では郵便とヤマト運輸(クロネコ)が復活しました。そのおかげで私も仕事がつづけられたのですが、郵便局員やクロネコの配達員のうち何人かは、いわき市や富岡町の海沿いに住んでいて、津波で家を流されていました。それでも、人のいなくなった川内村に、毎日山を越えて郵便物や荷物を運んできてくれたのです。
     彼らは自分たちの仕事の公益性を十分に承知していて、仕事をすることがとうぜんとおもい、誇りももっていました。仕事というのは、本来そういうものだと私は思います。
     彼らがけんめいに働く姿は、福島の再生に向けての希望でした。(p.87)

    こういう風に仕事をみているたくきさん自身は、「自由な人生の終わりを意味すると思ったから」(p.203)と、学生のときに就職することを考えなかったそうだ。組織の最下部に入り、上司の命令に従ってその組織がもうけるために毎日過ごすなんてことは、とうてい受け入れがたいと思っていたという思いは、今も変わらないという。

    そんなたくきさんは、企業の安定性とか生涯賃金とか、そんなことで、この先何十年もの人生を決めていいのか?と問いかける。それは「おもしろい人生」なのかと、「生きがいのある人生」なのかと、問いかける。

    その問いは、原発をどうするのか、汚染されてしまった世界でどう生きるのか、どんな社会をつくっていくのか、という問いかけにもつながっている。

    「自分に嘘をつかず、直面した問題から安易に逃げず、精一杯考えて、その状況の中で最善だと思う生き方を貫くこと」(p.226)、それしかないのだというメッセージが、強く強く響く。

    (4/8了)

  • 岩波ジュニア新書だが、大人向けでもある。平易な表現でバイアスなく記載されているので、疲れない。第6章「エネルギー問題の虚と実」が一番しっくりきた。

  • あの地震の後の福イチ原発のこと、そこから綻び漏れた「嘘」と「真実」 ジュニア文庫だけあって、わかりやすい。 
    苦しくてつらいけれど、自分で考えて決める未来であって欲しいと著者は言っているような気がする。
    こういう本がきちんと発行されて、きちんと読める。そしてそのことをきちんと議論できる。そんな世の中であって欲しい。

  • 369.36 タ 登録番号9104

  • 地震列島・原発列島に住む私たちは、これからどんな生き方をしていけばいいのか?どんな社会をつくっていけばいいのか?福島第一原発南西の川内村で、3・11の大地震とつづく原発事故を体験した著者は、東電・政府・自治体や住民の動きを目を凝らして見てきた。その見たもの・聞いたこと・考えたこと。

  • 今、政府はなしくずしに、原発の再稼動を進めている。
    どうして、がむしゃらに突っ走るのか。
    その答えがここに書いてある。

    野田首相のいう
    「責任」が、
    誰に対する責任なのか、
    彼のいう「国民のため」が
    どういうことなのか、
    はっきりする。

    たくさんの人に読んでほしい。
    たくさんの人に気づいてほしい。

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