さわっておどろく!――点字・点図がひらく世界 (岩波ジュニア新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784005007134

感想・レビュー・書評

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  • さわって、本当におどろいた。
    自分の触覚の鈍さに!

    点字に興味があって、いつか学んでみたい、と思ってきた。
    本書の表紙や口絵は点字や点図で書かれている。
    それをなるべく目で見ないようにして、指先で触ってみたのだが、「サ」なのだか、「シ」なのだか、さっぱり感じ取れないのだ。
    本書の中に、中途失明者が点字を習得することが難しい、とあるが、本当にその通りだと思う。

    「触常者」で、歴史学者の広瀬さんは、歴博で触る展示を作ってきた人。
    すごいバイタリティのある人だ。
    さわる方法もたくさんあって、どう感じ取れるかも変わってくるという話には、蒙を啓かれた思いがする。

    後半は点図で教材を作る天文学者、峯重さんの取り組みが紹介される。
    点図を作る「エーデル」というソフトがあるそうで、その使い方の紹介もあったが、やはり興味深かったのは点図を作る作業とはどのようなものかを説明したところだ。
    触覚では一度に触れる面積が限られるため、図には全体像を説明するキャプションを入れる工夫をしているとか、どの点を残し、どの点を省略すると伝わるのかとか、感じ方の個人差が大きいので、何人ものモニターの協力を得て、何度も修正を重ねるとか…。
    これまた目から鱗がボロボロ落ちる。

  • 「触常者」と「見常者」の共著。前半は視覚障がい者をめぐる考察。後半は点図作成の苦労(工夫)。全く違う内容だが、面白い。前半は人間としてのありかたについて考えさせられるし、後半は人に伝えるということの本質について考えさせられる。

    ・「見る」と「触る」の違い:繰り返しと懸命に。
    ・ユニバーサルの本質は人間の感覚の多様性が尊重されること。
    ・日本は点字投票を制度化した世界初の国(1925年。大正14年)
    ・生徒へのインタビューから:宇宙137億年の歴史の中で、「無駄な時間なんてない」「障害者だって胸を張って生きていけばいいんだ」
    ・点図作成の秘訣は、画像の似顔絵をつくること。

  • カバーと口絵を是非触ってみてください。

著者プロフィール

自称「座頭市流フィールドワーカー」。
1967年、東京都生まれ。13歳の時に失明。筑波大学附属盲学校から京都大学に進学。2000年、同大学院にて文学博士号取得。専門は日本宗教史、触文化論。01年より国立民族学博物館に勤務。
現在はグローバル現象研究部・准教授。「ユニバーサル・ミュージアム」(誰もが楽しめる博物館)の実践的研究に取り組み、“さわる”をテーマとする各種イベントを全国で企画・実施している。
『目に見えない世界を歩く』『さわって楽しむ博物館』『それでも僕たちは「濃厚接触」を続ける!』(編著)『知のスイッチ』(共編著)など、著書多数。

「2021年 『ユニバーサル・ミュージアム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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