- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784005007547
作品紹介・あらすじ
女性の書き手による女性が主人公の小説を、女性の目線で読み解いていくことを通じて、今を生きる少女たちが「子どもから大人になる過程」で出会うさまざまな経験や悩みを浮き彫りにしていく。主人公たちの抱える「生きづらさ」を多面的にとらえながら、多感な10代の生き方を模索する。巻末には、ブックリストを付す。
感想・レビュー・書評
-
10代の女の子たちが日常的に向き合うテーマを大きく4つに分け、それぞれに向けた小説を紹介する。全44冊で巻末にリスト付き。
若い女性を主人公にした作品ばかりで、作家さんも若い女性が中心。
主人公たちがいかにして問題を解決していったか、引用を巧みに取り入れて解説する。
1、「学校」。キーワードは「スクールカースト」「いじめ」「不登校」
教室を「宇宙船」にたとえる著者は、視点をぐっとひいて外から見てみることを勧める。
ちっぽけな内側とは違い、様々な価値観や尺度をもつ世界がある。
それを知ることで少し自由になるだろうと。少しはね。
ここで大切なことは、自分を過剰に「ダメだ」と決めつけるのは、実は謙遜ではなく「傲慢」。自分を特別だと思う自意識の裏返しだという。
そう、これは私も言いたかった。
自分はダメだと言う人は、自分のことしか頭にない。
自分のことでいっぱいだから、ひとの好意を簡単に踏みにじる。
ダメで当たり前。カッコ悪くても無様でも構わない。ちっぽけな自分を受け入れること。
ひいてはそれが、他人を受け入れることにも繋がる。
もうひとつ。教室に馴染みにくかったからと言って、その後の人生も上手くいかないなんてことは、全然ない。教室のルールと、社会のルールはまた違うのだから。
以下、「恋愛」「家族」「いつか大人になったら」と続く。
共通して言えるのは、問題を相対化するということ。
大人だったら旅に出たりと物理的に距離をとる選択肢もあるが、10代では難しい。
そこで、違う世界をみてみることに役立つのは、これらの様々な小説だ。
「学校」で紹介された本を挙げてみよう。なかなかハードな選書群だ。
•「平成マシンガンズ」三並夏(河出書房新社)
•「底辺女子高生」豊島ミホ(幻冬舎文庫)
•「檸檬のころ」豊島ミホ(幻冬舎文庫)
•「初恋素描帖」豊島ミホ(メディアファクトリー)
•「温室デイズ」瀬尾まいこ(角川文庫)
•「黄色い髪」干狩あがた(朝日文庫)
•「蝶々の纏足・風葬の教室」山田詠美(新潮文庫)
•「ともだち刑」雨宮処凛(講談社文庫)
•「西の魔女が死んだ」梨木果歩(新潮文庫)
•「つきのふね」森絵都(角川文庫)
•「ガールズ・ブルー」あさのあつこ(文春文庫)
•「蹴りたい背中」綿矢りさ(河出文庫)
ただでさえ現実が辛いのに、更に辛くなるこれらの本を読むかどうか。
読めるほどのメンタルを持っているなら、悩まないのではないか。
10代の自分だったら決して読まないし、これからも読まないと思う。
読み方の指南がやはり必要で、本書はそのためにもお役立ちだろう。
10代の頃ってとかく「もうダメだ」と自分を追い込みがちだけど、取り返しのつかないことなんて実はさほど無い。
気がついたら反省して、次は気をつけるように修正していく。過ちがあれば素直に謝る。これは大人も子どもも同じ。
上手く出来ない自分を抱えつつ、痛い思いをしながら他人と関わり一生懸命生きていく。そこが、価値のあることなのだ。って、今だから言える。
初読でなぜレビューをあげなかったか、再読してすぐ判明した。
苦手分野に手を出すとこういうことになるのね。
何一つ頭に入らなくて、言葉がただ流れていく。
そんなわけで、これまでで一番ハードルが高かった。
何とか頑張って4度も読んだから、褒めてやってね。
女性の悩みに寄り添う女性の本のガイドブック。興味のある方はぜひ。 -
自分のことはもちろん、周囲との付き合い方について考え、悩み、一番大きな変化の時期である思春期の女子たち。そんな彼女たちを対象に、「学校」「恋愛」「家族」そして「自分自身」にそれぞれ章立て、多くの本を紹介しながら女子の生き方を考えていく。
こうあるべきといった表現は一切なく、女子に寄り添い、乗り越え方を一緒に紐解いてく。ひとりで抱え込みがちなぐるぐるした感情も「それでいい」とまるっと肯定してくれる姿勢に、きっと思春期の時期に読んで良かったと思える本が見つかるはずです。
巻末には引用した作品+αがまとめられたブックリストが掲載。多彩な選書で興味深い(まさかの『江古田ちゃん』!乙女とは裏腹に逞しく成長しそう笑)。 -
子供にとっては学校だけが世界に見えてしまう。そしてその学校という枠から逃げるという発想を描くことは難しい。学生時代にこの本を読んでいたらもう少し楽に学校生活が送れていたかもしれない。子を持つ親としては自分の子供にも読んでもらいたい本である。
-
女子向け読書案内。
高校生のときにこの本を読みたかった!
学校のこと、友達のこと、家族のこと、恋愛のこと。
自分が高校生のときに感じていた、あの息苦しさ、焦燥感、理不尽さに対する怒り、大人や社会への不信感。そんな感情に寄り添ってくれる本を紹介してくれています。
忘れかけていた感情を、懐かしく思い出しました。そして、わたし自身、あの頃読んだ本は、逃げ場であり拠り所であり、道しるべでもあったなあと今更ながら感じています。
10代で出会う本は、存在感がでかい!
また著者の方の解説もとてと心地よい。なにも否定せず。それでいて理論的で。
紹介されている本は勿論のこと、その本を紐解くための参考文献たちも気になります。
そしてなにより、物語の読み方というのを教えてくれます。
大人でも、どんどん本が読みたくなってしまう! -
こういう、本から色々なことを読み解く新書は好き。
本の文章を分析することで、自分にとって救われるようなことが書いてあると分かる。
今、ローティーンの自分が読んで感じることと、時間が経ってから読んで感じることは違うと思う。
でも、「女の子」がどういう風にこの「社会」を生きていくのか、生き抜くことが出来るかというのは変わらないと思った。 -
7歳から12歳まで学校に行かず家で過ごし本を読みまくった著者が、思春期の女の子の心の中を探るキッカケとなるような本を紹介してくれてます。
内容はみな、けっこう重いです。でもだからこそいいのかもしれません。世の中にはいろんな家庭があり、いろんな人生があるんだよと。
自分とは真逆の真面目な本ばかりの巻末のリストの中に『臨死‼︎江古田ちゃん』を見つけて急に親近感を覚えました。
江古田ちゃんはムスメも大好きです(笑)
あと表紙のイラストが最高。
物語を読むときは、女の子はだれでもお姫さまになれるんです。 -
「はじめに」に目を通して、グイグイ読んでしまったら、第1章から躊躇なく読むべし。
思春期の女子にフォーカスし、彼女たちを等身大に映す、本を紹介。しかも著者は女性限定。
女の子はこうでなければ、という観念はいっさいなし。どんな生き方も受け止めてくれるような本ばかりだ。
私のオススメは、朝日文庫「黄色い髪」の紹介部分。主人公夏実は、自分の読書ノートに「中学生はあまり本を読まないほうがいいのでは」と書く。つまり、多感な時期ほど感受性が強く、感動する1冊を読んだら、それで頭がいっぱいになってしまうはずなのだ。
スイスイ何冊も読めるオトナは、1冊に心を揺さぶられない、ある種冷淡な生き物なのではないか、ということ。
ううむ、そうかもしれないとギクリ。時間の制約もあるし、とても感動したところで、さっさと次の本に手を伸ばせばならぬ。さらには、どれだけ心を動かされようが、明日から突然会社を辞めるわけでもなく、通勤電車の中で、心だけ本に投影し冒険に繰り出すのだ。
そう考えると、中高生のほうがよっぽど1冊に向き合っているといえる。 -
この本参考に展示やってみよー
-
図書館で借りたティーンズ向けの読書指南を一気読み。
とてもステキな本。
もっと手元に置いておきたいけれど、
この本に出逢うべき女の子のために、早く返さなくちゃ。 -
女性作家による女性が主人公の小説を読み解き、今を生きる少女たちの生きづらさや葛藤を浮き彫りにする。
教室、恋愛、家族、大人をキーワードに導き出されるものは、どうしようもない現実。しかしその先には希望もあることも示唆する。その力が小説にはある。
この著者はとても大事なことを忘れていると思います。
10代の頃って、周りにすごく影響を受けやす...
この著者はとても大事なことを忘れていると思います。
10代の頃って、周りにすごく影響を受けやすいのですよ。
もっと酷い状況の主人公たちを知ることで、そちらに似せようとするかもしれないのです。
よって、この選書群は非常に注意して取り扱わないといけません。
大人のワタクシでも、娯楽として読めませんもの。
ああ、「読書教育」の成されていないことが残念でたまりません。
それだけでなく、もっと色々。。
ラノベは一冊も読んだことがありません。
一人称のアドベンチャーゲーム、ですか。手軽な現実逃避ですよね。
小説が害毒になることも大いにありです。
良いものを選ばないといけませんよね。
そうそう、ほとんど話題にもなりませんが男子として生まれた大変さもあるのですよね!
ど...
そうそう、ほとんど話題にもなりませんが男子として生まれた大変さもあるのですよね!
どうして誰も言わないんでしょう。
そちらは辛くて当たり前なのでしょうか。
女子の大変さばかりがクローズアップされるのもおかしな話です。
お嬢さんおふたりとは、心配の種も尽きないことでしょう。お察しします(+_+)
でも女の子って、見よう見まねで母親のようになっていくものですよ。
女子は「女の子」として育てるのが上手くいくそうです。「人として」じゃなくて・(笑)
なーんて言うと上野センセーあたりに叱られそうなのでこの辺でやめておきますね。