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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784005007981
みんなの感想まとめ
哲学の深淵を探る一冊であり、特にカントの思想に触れることで、自己の道徳観や倫理観を見直す機会を提供します。読者は、彼の言葉を平易に解説した内容を通じて、難解な哲学を理解する喜びを感じることができます。...
感想・レビュー・書評
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今年はカント生誕300周年。高校生の頃、カントと聞くだけで「難しい!」「何回読んでも分からない、倫理科目のテスト対策に、キーワードを暗記しとけ」といった印象を抱いていたが、読書会仲間が紹介してくださったので、「今回こそは読まねば」と一念発起。
哲学者ジュニア新書とはいえ、大人の自分にとっても非常に歯ごたえのある一冊であった。200ページ弱、これは手軽に読めると気楽に構えていたが、、、ボーっと読んでいくと、サッパリ理解できない。何度も前のページに戻って読み直し、パラグラフごとの概略を抑え、頭に入れてから次に進む・・・大学入試の現代文科目のような集中力を持って、何とか読み切った。久々に脳の筋トレになった。
真面目に考え抜いたカントの言葉を、平易で素直な語り口に変換した結果、私自身としては以下の結論となった。
・自分が生きるうえで最高の道徳ルール(信念)を作っておくこと
・そのルールを人に押し付けるのではく、自分の中でブレないように持ち続けること
・よこしまな、したたかな策略ではなく、利他の精神で他人に接すること
・人を利用したい、ズルいことをしたい、逃げたいといった、自分の中の悪に向き合うこと
・完璧は達成できないものだが、理想を持ち目指し続け「善く」生きること
駆け引き、疑心暗鬼、ストレスを抱える日々の中で、カントが「満点の星空」を見上げていた時のような瞬間、一切の利害関心から解き放たれる「美」の瞬間が、私自身にも毎日訪れたら良いなあ・・・詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
・一回通読。純粋理性と実践理性のキーワードをなんとなく知った気になっている状態から、最高善というテーマを通じて、カント哲学の全体像に対する理解を一段階深くしてくれる
・認識論、倫理学、美学の大きな方向性を打ち出すと共に、国際法や人権意識の基礎構築をした、人類史上最も偉大な哲学者の1人であるカント。彼ですら、30代にルソーのエミールに出会うまでは、大衆を軽蔑し優越感に浸っていたと自身を省みている。そこから50代以降に代表著作を連発する姿には、勇気づけられる
・進化論や原子論が進捗した現代的視点から見ると、人間中心な面に少し引っ掛かる気持ちも否定できないが、まずは、ヘーゲルやニーチェ、ハイデガーやドゥルーズなどの次世代哲学者がどう批判しているかを学びたい -
カント哲学の入門の入門みたいな感じ
具体例ですごい分かりやすく説明してくれていてとても良かった!
カントの執筆順にその背景も踏まえて説明されていて、流れがすごく分かりやすくて納得できた
哲学初心者すぎるのですけれど、気持ちとか概念とか抽象的なものを、分類して命名し、論理的に説明しようとするのすごすぎて圧巻。
カント哲学本当に抜けが無くてすごいなと思いました。
これは?こういう場合は?ってところまで詰められていて、納得。
永遠平和のためにでは、まさしく現代において問題となっていることにも述べられていて、先見性に驚き。これが歴史に名を残す天才なのかー!と思いました。
かっこいい...哲学をしっかり学びたくなりました... -
カントがどんなところに生まれ、環境や歴史、そして著者の背景や生活から始まるこの書。
哲学とは「考える」そのものなんだと説いている。
指示待ち、教えられたことだけ、そんな言葉が聞こえる現代。
考えて照らし合わせ行動する実証する、カントの哲学から何かヒントがありそうだ。 -
岩波ジュニア新書なのに難しかった。それが正直な第一印象。似たような言葉が多く、知らない意味で使われる言葉も多い。それでも読み切ったのは、話の随所に「今の自分」と重なる部分を見つけられたからかもしれない。
システムエンジニアとして仕様書を読み込む一方、現場の動作がわからないことに悩んでいる。カントがルソーの『エミール』に影響を受け、「知識より体験が先」という発想に目覚めた話は、耳が痛かった。
「感じることは受動的、考えることは能動的」という区別、そして誰も見ていなくても正しく行動できることが本当の道徳だという定言命法。「天知る地知る我ぞ知る」という言葉が浮かんだ。職場でも家庭でも、言われてやるのではなく自分で考えて動ける人間を育てることの難しさと重なった。
230年以上前に書かれた「常備軍は廃止すべき」「他国に武力干渉するな」という言葉が、今もそのまま問いとして生きている。哲学とは答えを出すものではなく、答えのない問いと付き合い続けることなのかもしれない。
難しかったけれど、読んで損はなかった。疲れた。 -
自分に向かって「自己の完全性」と「他人の幸福」を追求しているだろうかと問う。
自分の中で1番しっくりきた。
大学生どころか、素人の大人の入門としても大変ありがたい本だと思った。分かりやすい。「分かる」という意味につけても、「分ける」ことができるという話はそういうことかと膝を叩いてしまった。
高校時代に倫理の授業を受け、その後もセンターでは倫理を選択するほど倫理が好きだった。中でも、カントの思想は当時から好きだった。ボランティアや人助けなど、理由などなくそれをしなければいけない。その考え方が潔すぎてカッコイイと思ってた。
純粋理性批判を図書室で借りたけど難しすぎて挫折した。でも、今でも読みたい気持ちはある。
そんな中でこの新書には本当に救われた。(永遠平和のためにを読んでたのも救いだった)
カントの考えは理想論かもしれない。
でもさ、理想に突き進んでく人間が一人くらいいてもいいじゃん。なんて、私は思った。 -
御子柴善之(1961年~)氏は、早大第一文学部卒、同大大学院博士後期課程満期退学。ボン大学留学等を経て、早大文学学術院教授。専門は、カント哲学を中心とする西洋近現代哲学。
イマヌエル・カント(1724~1804年)は、プロイセンのケーニヒスベルク(現ロシアのカリーニングラード)に生まれた、近代哲学の祖ともいわれる哲学者である。『純粋理性批判』、『実践理性批判』、『判断力批判』の三批判書で批判哲学を提唱して、認識論における、いわゆる「コペルニクス的転回」をもたらし、デカルト以来の大陸合理論(知性重視の概念分析/独断論)とロックらのイギリス経験論(経験重視の概念分析/懐疑論)の対立を調停したといわれる。その思想は、フィヒテ、シェリング、そしてヘーゲルへと続くドイツ古典主義哲学(ドイツ観念論)の基となり、カントによる超越論哲学の枠組みは、以後の西洋哲学全体に強い影響を及ぼしている。
本書は、難解といわれるカント哲学のエッセンスを、概ね以下のような流れでわかりやすく解説している。
1章:カントの生きた時代とカントの生涯
2章:『純粋理性批判』・・・人間の理性が<分かる>ことと<分からない>こととを「批判する(独語のKritik=分ける)」ことにより、人間の知の限界を確定する。人間の認識は、経験に依存する(ア・ポステリオリな)認識と、経験に依存しない(ア・プリオリな)認識に分けられる。ア・ポステリオリな認識は人間に分かるが、それは「(因果関係のある)自然」に限られる。
3章:『実践理性批判』・・・「自然」(人間に分かること)を超えて、人間が<すべき>ことと<すべきでない>ことを分ける、すなわち、<善>と<悪>を分ける必要がある。善と悪を分けるのは、それを行った人間の意志のあり方であり、その意志の形式がア・プリオリなものが普遍的な善である。人間は意志の「自由」(の可能性)を持っているが、善を行うときはその自由が実現し、悪を行うときはその自由は実現していないと考える。「道徳」と「幸福」が両立した状態を「最高善」というが、道徳は「自由」である一方、幸福は「自然」である。
4章:『判断力批判』・・・現実には人間・世界が多様である以上、道徳法則に関わる「自由」の世界と、自然法則に関わる「自然」の世界を結び付けて、普遍的な最高善を実現することが可能かという問題が残る。しかし、人間が「自由」な意志に基づいて決めたことは、それが行為として実現するのは「自然」の世界である。そして、目的論的自然観に基づけば、自然の目的は人間にあるのであり、更に、自然は人間が普遍的に共有する目的としての最高善のために存在するといえる。すなわち、「自由」と「自然」は人間を通して結びつき、両立し得ると考えられる。
5章:『永遠平和のために』を中心とした1790年代のカント・・・三批判書を踏まえて現実世界に目を向け、現実世界に生きる人びとが、ともに生きることによって<道徳的に善く生きることで幸福になること>という最高善を実現する方法を具体的に示している。
本書はジュニア向けの新書だが、大人こそカントの説く「自分で考える勇気」が必要なのであり、そのための一助となる有用な一冊と思う。
(2020年11月了) -
「批判 (Kritik)」は現代的意味の批判ではなく「限界・境界を確定する」という意味なのだそうです。つまり,「理性の守備範囲の確定」というのが純粋理性批判の目指すところ。
ジュニア新書ということで,筆者の労は理解しているつもりですが,何を解決させようとする流れなのかを見失う,あるいは迷子になる感じがしました。
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私たちは,勉強が進み,さまざまな経験を重ねる中で,いろいろなことが<分かって>きます。なにかが<分かる>とは,それと他のものとを<分ける>ことができることでしょう。たとえば,ある漢字が分かるとは,それを他の漢字と見<分ける>ことができることでしょう。そうすると,私たちが最後に<分かりたい>ことは,なんでしょうか。それは,私たちになにが分かりなにが分からないかを<分ける>,その限界がどこにあるかではないでしょうか。この問いに答えるのが『純粋理性批判』です。(p.20)
…私たちの認識において,すべてが「経験」に由来するのではなく,その経験を可能にするア・プリオリな形式がつねに「ともに」働いているのです。(p.49)
意志をもった行動を「行為」と言いますが,行為の善と悪を分けるのは,意志のあり方なのです。(p.80) -
カントの倫理に関する考え、その結論に至る純粋理性批判からの論理の流れが大体理解できました。
読んでる最中にロシアの戦争がはじまり、現状と重ね合わせながら読み進めました。
自分の行動が普遍的なものであり得るかを常に問い続けるべし、というのがカントが個々人に向けて示した道徳的に生きるための指針でした。
本の中では「ズルいことはするな」と説明されていましたが、これがとてもしっくりきました。
またカントは道徳に導く良心は人々の中に普遍的に存在すると考えていたのですが、ロシアでの抗議活動を見ればそれも納得できました。
最後に、「永続する平和は実現できないような気がするが、目指し続けなくてはいけない」というメッセージに共感しました。
そのために、自分にできることをやろうと思いました。 -
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【電子ブックへのリンク先】
https://kinoden.kinokuniya.co.jp/hokudai/bookdetail/p/KP00072162
※学外から利用する場合は、以下のアドレスからご覧ください。
SSO-ID(教職員)又はELMS-ID(学生)でログインできます。
https://login.ezoris.lib.hokudai.ac.jp/login?url=https://kinoden.kinokuniya.co.jp/hokudai/bookdetail/p/KP00072162/ -
本書はカントの思考の全体像をコンパクトに提示する本である。最初に読むべきカント入門というよりも、ある程度カントについて興味を持って読み始めたけどわからなかったという読者のための本であるように思われる。本書の特徴はカントの思考に用いられる言葉の一つ一つを具体的なニュアンスを拾い上げながら解きほぐしていくことにある。とはいえカントの言葉遣いに全く馴染みがない読者にとってはなぜこんなことを説明するのかという疑問を抱くかもしれない。そういった意味でカントを読もうとして挫折した人のための本であると思うのである。
ツイッターなどで評判の良い本書ではあるが、カントへの最初の入門書としてよりも印象的だったのは、戦争の世紀にあって国連草案の基礎として取り上げられるカント思想を生き生きと提示していることである。カントがその哲学全体にわたって描き出そうとしている人間像を通して人権の基礎となる人格論の見通しを与えてくれる本として本書をお勧めしたい。
カントの人格論は当然の如く語られながらもその具体的内容を提示してくれる本は少ない。人格論の理解抜きに人権思想を語ろうとも、カントが人格論において語ろうとした尊厳の姿を見定めることはできないであろう。二十一世紀に入って分断と戦争の世紀としてカントの世界市民思想が注目を浴びた時期がある。しかし専門家にとっては自明の理として、自説を述べるときに通りすがりに前提視されている印象が強かったのだが、本書においてようやく、なぜカントの世界市民思想がいま私たちが振り返るべき、あるいは新たに見出すべき思想であるのかを明確に語る本が出たように思う。ここから初めてカント自身の人格論に向き合うことができる、そういう地点を明示してくれている本なのである。
カントは難しい、それはドイツ語で読んでもそうであるとはよく語られることである。しかし難しいことを確認しても思想的には一歩も進むところはない。しかしその独特の言葉遣いと思考の道行きに馴染んでいくことを通して、生き生きとしたカントの思考に触れることができるであろうことを本書は明示してくれている。一通り読んで理解することができたら、本書をもう一度読み解くこと、そしてカント自身の書を読むことを求める本書は、良質なカント哲学入門といえよう。 -
岩波ジュニアならと思ったけど、結構難しかった
概要を学び直す意味では60%理解できた感じ
私はルールに捉われがちなので義務論者から抜けきれない功利主義ワナビっていう自己認識 -
正直あまりよく理解できたとは言えないが、カント哲学の入門書として分かりやすく構成されているということは感じられた。
ざっくりとだけど、人間には悪に傾いてしまう弱さがある点を認めたうえで、無限の先にある理想的な世界に向かって進んでいこうとする気持ちをみんなで持ちましょうよとやさしく呼びかけてくれているような感じがした。
各章ごとにカントの代表作である「純粋理性批判」「実践理性批判」「判断力批判」「永遠平和のために」について要点を説明してくれている。
「理性批判」というのは、「理性の欠点を指摘する」という意味ではなく「理性で理解できる部分とそうでない部分を区別して理性の限界を確定する」といった意味らしいです。
またカントいわく、「哲学することこそ自分で考えること」だそうです。
そういった感じで最初は理解とか認識みたいな根源的な概念から始まり、ちょっととっつきにくさを感じたが、最後には世界平和を考えることにまで到達し、むしろこの辺で自分事として引き寄せて感じられたような気がする。 -
カントの哲学に対して、普遍性と理屈に執着する無慈悲な哲学というイメージを勝手に抱いていたのですが、イメージがコペルニクス的に転回しました。人々の権利に寄り添った、愛のある人だと思いました。入門書として、大人世代からしたらかなりわかりやすくまとまっているとは思いましたが、ジュニア世代にはちょっと重そうだな、とも思いました。
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134/カ/
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カント哲学の入門として、内容の充実生と分かりやすさのバランスが良い。
『純粋理性批判』等の難解な書物を読むにあたって、準備運動の序の序として勧めたい一冊。
これだけでカントの作品が苦もなく読めるというものではないが、入門書で何から読んだらいいか分からない場合は、この本から始めるべきであろう。
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