はじめての文学講義 読む・書く・味わう (岩波ジュニア新書 810)

  • 岩波書店 (2015年7月22日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (174ページ) / ISBN・EAN: 9784005008100

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

文学の楽しみ方を多角的に探求する本で、著者は書き手の視点やテーマ設定、読み手の文の味わい方について深く考察しています。純文学に苦手意識を持っていた読者も、この本を通じてその魅力を再発見し、文章や比喩の...

感想・レビュー・書評

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  • ⚫︎受け取ったメッセージ&感想
    文学のよさや効用の捉え方、また小説をどう読むか?書くか?がわかりやすく書かれている。
    ただただ読書を楽しんでいるだけでも十分だが、読み方を知ると、感動や著者のアイデア、表現技巧に感動や感心を深めることができる。文学をもっと自分に落とし込んだり、楽しむためのコツがいくつか見つかった。
    また、優れた比喩の例や、いくつかの本が紹介されていて興味を持った。

    ⚫︎あらすじ(本概要より転載)

    読むことを楽しむにはどんな方法があるの? 魅力的な文章を書くにはどうしたらいいんだろう? その両面から文学の面白さ、深さを構造的に探っていく。太宰治をはじめ多様な文学作品をテキストに読むコツ、書くコツ、味わうコツを独特の視点で指南する。渋谷教育学園渋谷中学・高校での「文学講義」をまとめた一冊。

    ⚫︎印象に残った内容
    ・小説を含め芸術は全て既成の考えや制度を挑発する
    ・思考の継続が想像力の礎となる
    ・物語はニ項式から始まる
    ・全ての本がニ項式の観点から見れば役に立つと言える
    ・恋愛小説が苦手なら、人と人との駆け引きであり、政治であると読む
    ・少し背伸びしたくらいの読書がちょうどいい
    ・小説のアイデアは普段の生活でのディテール探しから
    ・優れた比喩を書き留めるノート
    ・立ち上がってから歩き出す一連のことを書くのではなく、歩いている途中から、むしろ唐突な動きとして書き始める
    ・文学的リアリティは〈必然性〉+〈一回性〉



  • なんとなく手に取る。
    文学について、書き手は世界をどう見て、テーマを如何に設定し物語を紡ぐのか、読み手は文を如何に味わうのか、書かれている。

    非常に面白かった。
    純文学にやや苦手意識があったが、この本を読んでから楽しめるようになってきた。
    文章自体を楽しむこと、テーマについて思考すること、比喩の美しさを味わうこと、さまざまな文学の味わい方を教えてくれた。

  • 文学の楽しみ方を教えてくれる本。もちろんこの本に書いてある通りに楽しむ必要もない。
    文学を読むことに迷ったときの助け舟として読むのにちょうどよい。
    紹介されている本がとても気になるので次はそこから本を読んで見ようと思う。

  • 本当なら聴けなかった貴重な公演を、このような本を通して聴くことができるのはありがたい。
    しかも耳から入ると聞き逃すこともあるが、書き記されたものなら何度でも読み返せる。
    中村先生、渋渋の学生さんたち、ありがとう。

    本書により本を読むときに比較することの面白さ、重要さを理解できた。
    たとえ面白くなかった本でも、他の本と比べることで得るものはあるという。
    一冊の小説、一つの文の中にも比べるものはあり、ただ慌ててストーリーを追うだけではなく味わうのが醍醐味なのだなあ。
    その味わい方がたくさん書かれていて、とてもためになった。

    あと、恋愛小説を政治に見立てるのが目から鱗で、そんなふうに考えたことがなかったので新鮮だった。
    言われるとなるほどと思うことでも、教えられなければ全く発見できないこともあるから専門家の話は面白い。

  •  英米文学者(大東文化大教授)で小説家でもある著者が、中高一貫校の生徒たちを相手に行った「文学講義」をまとめた本。文学の味わい方から小説の書き方まで、文学をめぐる楽しみの勘所を駆け足で講義するものだ。

     ジュニア新書とはいえ、内容はなかなか高度で、大人の文学好きの鑑賞にも十分堪える。
     むしろ、「こんな話がいまどきの中学生・高校生に理解できたのだろうか?」と心配になるくらい。大学の教養課程の講義であってもおかしくない。著者は聴衆を子ども扱いしていないのだ。
     まあ、難関校(渋谷教育学園渋谷中学・高校)の優秀な生徒たちが相手だから、これでいいのか。

     印象に残った一節を引く。

    《心に残る比喩に出会う目的で、小説を読んでいくことだってありえます。興味をひかれる比喩に出会ったらノートに書き写す。一冊が埋まったら、その「引用集」はみなさんにとって、世界でたった一冊しかない珠玉の名文選集になるかもしれません。》

    《小説を書いていると、必ず何回かは“弱気”になるんです。登場人物に言わせた台詞が、ちゃんと意味が伝わっているかなと不安を覚えて、説明的な一文を加えたり、場合によっては、作品のテーマらしきことを記してしまうことがあります。(中略)ところが、なぜか批評ではそういう弱気になった箇所こそが引用されます。抽象度の上がった、まとめのような表現はよく引用されます。(中略)
     ですから、読んでいて作品が自らを説明しているような、わかりやすいと感じられる表現は要注意です。弱気になっているところかもしれないですから。それよりは、言葉が混沌と渦巻いて、いっきょに意味が浮上しない、なにやら濃密な空気が漂うところが、小説のもっとも味わい深いところなのです。》

  • 本を読みながらふと目を上げて見る景色も、また読書。という教えを読んでから、本をじっくり味わう癖がつきました。

    以下、この本の好きな部分の記録

    ★読書の楽しみというのは組み合わせの広がりである。
     →2、3冊の本を読んだ時に、共通する主張や、考察の更なる深まりを発見することができる。

    ★富士山と月見草
    →片方だけではありきたりでつまらないものでも、意外性のある組み合わせによって、互いを引き立て合い、普段は気づかないような魅力に気づくことがある。読者をはっとさせるものこそ、良い小説である。

  • 2021.2.23 読了
    作家視点の文学論を生徒のように体感できる貴重な本であった。ダブル・ビジョンの視点は朧げながら意識していたものの言語化されていなかった部分が明瞭になった感覚を受けた。記述の面からも文学の深みを追求したいと思えた。

  • 文学を読み進める上で、重要な事が書かれている

    なんとなくこの文章良いな
    と思う原因について、細かく具体例を出しながら解説してくれる

    文章を読むにあたって、
    対比や時間の圧縮、5感の刺激など、
    聞いたことはあるが改めて解説されると、ふーむとなる

    最後の章に、ダメだとされている文章が出てきた
    あそこが、面白かったからもうちょいほかの事例も見たかった

    肝心なところで矛盾した表現をすると、いっぺんに作品の持つ気圧が下がってしまう

    リアリティとは1回性

  • 文学とは対比である。
    あるものをただ見ているだけで得られることは少ない。何かと対比させることで新たな認識が得られる。(例えば、普段は自明過ぎて疑いようのない「生」だが、「死」を連想させる戦争や災害などと対比させることで、「生」の不確実性が実感できる。)
    その際、対比させる何かは、対比させられるものと、ある程度距離がなければならない。というのも、別の距離のある文脈に並置することで、それぞれの持つ従来の意味と役割から離れ、新たな活力を得られるからだ。

  • 「富士には、月見草がよく似合う」の一文に凝縮されるような、ダブル・ビジョンを探し出すのが物語の面白さ。

    この内容は、スケザネさんの物語を楽しむカギの一つで出てきたことと同じかなと受け取った。

  • 著者が渋谷教育学園渋谷中学高等学校でおこなった講演をもとにまとめられた一冊。

    前半では、太宰治の「富士山」と「月見草」(『富嶽百景』)からはじまり、ジャンニ・ロダーリ(『ファンタジーの文法』)や梶井基次郎(『檸檬』)などの例をあげ、一見すると関係のなさそうな二つのものが物語には必要だとし、ひいては文学は日常的な価値観、現実認識を変容させると説く。

    後半では、小説を読むため、書くためのアドバイスが書かれている。

    数時間で読める本だが、とくに前半の「ファンタジーの二項式」には目を開かされた。また、あらすじを追うno
    ではなく、表現そのものを味わうことの大切さも改めて思い出させられた。本書でかかれているように、「興味をひかかれる比喩に出会ったらノートに書き写す」のもよいかもしれない。

  • 読書中にこの書き方カッコいいなと思うこともあれば、冷めるなあと思うこともあります。小説を学問として見ず、感性に合う合わないで判断していた節がありますが、本著を読んで振り返れば、カッコいいと思った箇所は本書で説明されている「二項式」でした。冷めた箇所は「幻想性にあふれた小説こそ、具体性との照合は大切」の言葉に反したものだったと思います。

    趣味としての読書なので、読んでいる時の気分が一番大事と思いながらも「この本なんか最高にいい」の理由が説明できる、学問的視点を知れました。

  • 文学に詳しくないけど、文学講義のとっかかりとして良い本のような気がする。
    中高生に向けた講演なので、教科書的な読み方の話ではなく小説を「読む」テクニックについて話している。同時に書くテクニックにも触れているが、書き出しの話は面白かった。書き出しは重要。

  • 「二項式を立ててみて見えてくるものがある」というのはよくわかる。「恋愛小説が苦手、なら、政治小説として読んでみる」などいろいろ面白い。タイトルどおり、「はじめて」の「文学講義」として、文学というものを考えてみる入門として、とてもいい。

  • 渋渋の生徒向けの講演を加筆して収録したもの。
    第二部は生徒の質問に対して答えたものなので、どうということはなかったのだけど、第一部は興味深く読むことができた。
    特に
    ・文学が描き出そうとするのは善と悪の単純な構図をこえた向こうがわ
    ・文学とは日常の当たり前に思える発想を揺さぶる不穏なもの
    ・文学は政治的あるいは経済的な事象や通念の前提に問いを突き付ける
    というのは、普段生徒に伝えたいと思っていることが綺麗に言語化されていて、膝を打つような感覚を覚えた。
    細部まで気を配った文章で、ジュニア向けと侮っていたが滋味深い一冊だった。

  • ダブルヴィジョン(だっけか?)の視点は、なるほど示唆に富む感じ。確かに、一見何の関係も無さそうな項目の間に、何がしかそれを結び付ける物語をひねり出すっていうの、まさに小説が生まれる過程、って感じがします。でもまあ、そもそもそれを言ったのは著者じゃなく、誰かからの受け売りってことだったから、本書はそれをかみ砕いて分かりやすく講じる、という体裁。原著に当たるつもりもあまりない以上、本書でそれに触れられたのは良かった。

  • 中学生相手にした文学論の講演を元に、文学の楽しみ方、読む・書く方法を説明したもの

    難関校でしかも興味のある参加者のみという条件ではあるものの、中学生相手ということもあり、比較的わかりやすく、文学に対する興味を持たせつつ行われる内容はなかなか参考になった。

    【参考になった点】
    ・文学とは日常の当たり前の発想を揺さぶるの
    ・「本を読むとき、何よりも細部に注意して、それを大事にしなくてはならない」
    ・毎週書評(新聞3紙、雑誌2冊)を読んで、気になった書評1つについてその理由を紹介する
    ・恋愛小説を政治小説として読む
    ・気持ちが昂揚して、あるいは整理がつかなくなって、思わず本を閉じてしまうような本はかけがえのないもの
    ・つじつまが合わないところなど哄笑に包み込んで奔流のごとく奇抜な語りで押し切るのが小説
    ・読んでいて作品が自ら説明している、わかり易い表現は要注意(作者の弱気の現れ?)

    【内容:アマゾンから転記】
    読むことを楽しむにはどんな方法があるの? 魅力的な文章を書くにはどうしたらいいんだろう? その両面から文学の面白さ、深さを構造的に探っていく。太宰治をはじめ多様な文学作品をテキストに読むコツ、書くコツ、味わうコツを独特の視点で指南する。渋谷教育学園渋谷中学・高校での「文学講義」をまとめた一冊。

  • ふむ

  • 小説のテクニックを味わうことに、やや偏っている印象がある。しかしながら時間の限られた講演の中で、小説の展開やプロセスについて語るのはほぼ不可能だと思われるので、著者は可能な限りのことをしたのだろう。けして悪い本ではない。

  • writing

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著者プロフィール

1946年、東京都に生れる。立教大学大学院博士課程修了。現在、大東文化大学教授。訳書等に『喜びのおとずれ C.S.ルイス自叙伝 冨山房百科文庫 7』(クライヴ・ステープルズ・ルイス著、早乙女 忠・中村 邦生訳、冨山房、1977年・新装版・1994年、ちくま文庫(筑摩書房)・2005年)、『逃げるが勝ち 文学のおくりもの 26』(ロレンス・ダレル著、山崎 勉・中村 邦生訳、晶文社、1980年)、『さようならの事典』(窪田 般彌・中村 邦生 編著、大修館書店、1989年)、『つまずきの事典 人生の危機から生れた名言・名句』(中村 邦生編著、大修館書店、1993年)、『たのしく読めるイギリス文学 作品ガイド150 シリーズ文学ガイド 1』(中村 邦生他編著、ミネルヴァ書房、1994年)、『罪深き愉しみ 現代アメリカ文学叢書 8』(ドナルド・バーセルミ著、山崎 勉・中村 邦生訳、彩流社、1995年)、『たのしく読める英米青春小説 作品ガイド120 シリーズ文学ガイド 9』(高田 賢一・中村 邦生編著、ミネルヴァ書房、2002年)、『ぼくのうちに波がきた 大型絵本』(キャサリン・コーワン著、マーク・ブエナー画、中村 邦生訳、岩波書店、2003年)、『月の川を渡る』(中村 邦生著、作品社、2004年)、『〈虚言〉の領域 反人生処方としての文学  ミネルヴァ評論叢書〈文学の在り処〉(中村 邦生著、ミネルヴァ書房、2004年)、『風の消息、それぞれの  森への招待-軽井沢浅間山麓-,泣き塾-練馬大泉ジャンクション- 他』(中村 邦生著、作品社、2006年)、『いま、きみを励ますことば 感情のレッスン 岩波ジュニア新書 577』(中村 邦生著、岩波書店、2007年)、『名作はこのように始まる 2 ミネルヴァ評論叢書〈文学の在り処〉 別巻 2』(中村 邦生・千石 英世編著、ミネルヴァ書房、2008年)などがある。

「1995年 『罪深き愉しみ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

中村邦生の作品

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