戦後日本の経済と社会――平和共生のアジアへ (岩波ジュニア新書)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784005008186

作品紹介・あらすじ

アジアの平和と安定のために、日本がとるべき道は何か?民主化、高度成長、その歪みと克服、…自らの戦後の歩みから、学ぶべきでしょう。多くの課題に取り組みながら、独自の資本主義や企業文化をつくりあげ、さらに3・11からは新しい課題にも直面しています。その歩みをたどり、アジア諸国との共生の方法を考えます。

感想・レビュー・書評

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  • 戦後日本史がよくまとめられていて、高校の授業ぶりに日本史に触れたが教科書で知っている話5割といった感じで興味深く読めた。
    高度成長した理由など時間を空けてまた読み直したい。自民党、官界、財界の権力システムなど深くは理解できてない気がする。
    高度成長期を支えた経営者として何人か紹介されている。名前だけなんとなく知っている程度だったので、簡単な生い立ちと創業理念のようなものを知れてよかった。特に気になったのはシャープ創業者早川徳次さん(「誠意と創意工夫」を理念。松下電器がマネシタ電器、アイデア先行のシャープはハヤマッタ電器)、ホンダ創業者本田宗一郎(トヨタ、日産、マツダ、富士重工の寡占体制に遅れて参入。1973cvccエンジン開発)
    現代のアイデアと実力主義の経営者として、ヤマトの小倉昌男、大和ハウス工業樋口武男、キヤノン御手洗冨士男
    社員の意識変革促す経営として、京セラ稲盛和夫
    タイトルに「平和共生のアジア」とあるようにこの本ではこれからの中国との関係について述べている。尖閣諸島の問題について台湾総統の言葉「領土問題を棚上げにし資源を共有することだ」を紹介したいる。どこの国にも偏狭なナショナリストはいるが根気強く交流していくこと必要。
    海洋水域の境界線の引き方が日中で異なる方法を使っているというのは知らなかった。日本はEEZ、中国は大陸棚説。どちらの方法も国連海洋法に違反していない。
    この本が出版された2015年から状況はいろいろ変わっていると感じた。アジアの中の日本の影響力、経済はどんどん小さくなっているような気がする。またロシアのこともあって各国は右傾化しているのかもしれない。安易に共生と言えないような。近現代史の本を読むとすぐに答え合わせをしたくなってしまいたくなるが、この本はこの時点の歴史観としてよくまとまっている。読めてよかった。

  • 開発目標17:パートナーシップで目標を達成しよう
    摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB99808442

  • 植木洋先生 おすすめ
    20【教養】332.10-I

    ★ブックリストのコメント
    現代日本の出発点となった戦後復興にはじまり、高度経済成長とそのひずみ、日本型資本主義の興隆とその欠点、そして現在の中国と日本との経済関係など約70年間の経済・社会の流れがコンパクトにまとめられている。

  • 副題「平和共生のアジアへ」~Ⅰ戦後の復興と民主化1日本の戦争経験から何を学ぶか(「脱亜入欧」論の誤り/日本の反戦思想/戦争の不条理/今日に残る敗戦の影)2政治と経済の民主化(政治体制の転換/財閥解体/農地改革/労働運動の合法化)3戦後復興期の経済運営Ⅱ高度経済成長とそのひずみ1政治の季節(「全面講和」か「単独講和」か/日米安保条約をめぐる対立)2予想を上まわる高度成長(「所得倍増計画」の提起/社会の急激な変化)3高度経済成長がもたらしたひずみ(環境汚染/病原豚事件/農村の変貌/交通事故の増加)Ⅲ日本型資本主義の特徴1アメリカ人の見た「日本が高度経済成長を実現した要因」(『フォーチュン』に見方/政・官・財の「鉄のトライアングル」)2アメリカ人の知らない日本型資本主義(権力のバランス/社会の平等性/高い貯蓄率と教育の重視/平和の配当)3鉄道文化-社会文化と企業文化の結合(鉄道会社の多角経営/定時運行と安全運転)4バブル経済の発生と崩壊(株と不動産の値上がり/バブル発生のメカニズム)Ⅳ企業の知恵とロマン1経済成長を支えた企業システムと企業文化(企業一家主義/現場主義と根まわし)2日本型経営の欠点3日本型経営の変容4経営者に見る創意工夫と志(高度成長期を支えた経営者/アイデアと実力主義の経営者/社員の意識変革をうながす経営/脱原発の名経営者)Ⅴ平和共生のアジアへ1中国とどうつかいあうか(尖閣諸島(釣魚島)問題をめぐる確執/東シナ海と南シナ海における領有権争い/中国の変わったところと変わらないところ/日系企業の中国展開)2日本のODAとアジア(ODAと人材育成/バングラデシュとタイのこれからと日本)3アジアで共有する理念(フクシマの教訓/アジアの架け橋に)~表紙の写真は胡耀邦が被爆地・長崎に贈った乙女の像。彼の絶対譲れない線は脱原発! あとがきに「本書で論じた内容は,あくまでも私個人の見方です。…本書に誤りがあったならば,それについてのいっさいの責任は私に着せられるべきです。」と書いている。確かに,北朝鮮のロケット発射はわざわざ「事実上のミサイル」とうるさく報じ,日本のロケットに積む人工衛星の仕事は事細かく報じている。尖閣諸島の事も,論調はどこも同じなのが気持ち悪い。日清戦争のどさくさ紛れに釣魚島の領有権宣言を発したというのは反則だね。2015年7月に安倍や菅が示した中国のガス田施設写真は日本のEEZ外での話だったわけで(初めて知ったか忘れていたか),国民を煽っているよね。P108「声明の発表時に一ドル二四〇円であった円相場は,1987年2月には一ドル一四〇円台にまで低下しました。」??「円ドル相場」か「ドル」って書けば良いのに,円が下がった様に書いちゃいましたね。1949年生まれで社会学博士の君の責任だね。今頃青くなっているかもネ

  • 新着図書コーナー展示は、2週間です。通常の配架場所は、3階開架 請求記号:332.107//I74

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著者プロフィール

神戸大学大学院国際文化学研究科教授。
1977年一橋大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。神奈川大学、学習院大学の講師を経て、1982年からアジア経済研究所に勤務。その間、1984〜86年在中国・日本大使館専門調査員、1992〜93年香港大学アジア研究センター客員研究員、1993〜94年カリフォルニア大学バークレー校東アジア研究所客員研究員、1995〜96年一橋大学経済研究所客員教授。1996年から現職。社会学博士。1990年度「発展途上国研究奨励賞」受賞。
著書:China's Conversion to a Market Economy, Institute of Developing Eco-nomies, 1993(単著)。『中国経済の多重構造』アジア経済研究所、1991年(編著)。『「社会主義市場経済」をめざす中国』アジア経済研究所、1993年(編著)。『大陸・香港・台湾からみた中国経済』アジア経済研究所、1994年(共編)。『原典中国現代史 第3巻経済』岩波書店、1994年(共編)。『中国経済の国際化と東アジア』アジア経済研究所、1997年(編著)。『途上国の経済発展と社会変動』緑蔭書房、1997年(共編)。『中国経済と外資』アジア経済研究所、1998年(編著)。『現代中国事典』岩波書店、1998年(共編)。『21世紀中国の課題』東方書店、2005年(共編)など。

「2007年 『知と実践の平和論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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