地方自治のしくみがわかる本 (岩波ジュニア新書 823)

  • 岩波書店 (2016年2月19日発売)
3.53
  • (2)
  • (5)
  • (7)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 128
感想 : 7
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784005008230

みんなの感想まとめ

地方自治の仕組みを理解するための一冊であり、身近な行政サービスから地域の未来まで幅広くカバーしています。著者は、地方自治が私たちの暮らしにどのように影響を与えるのかを丁寧に解説しており、特に住民が主権...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 財政の基本的知識を得たくて、神野直彦『財政のしくみがわかる本』を読んでいた。同書は主に国の財政について述べたもので、そこからさらに地方財政・地方自治に興味が湧いたため、次に曽我謙悟『日本の地方政府』を手に取った。網羅的ではあるものの、基礎知識から一歩踏み込み、現状の問題点に視点を向けた内容だった。その手前で、『財政のしくみがわかる本』レベルの内容がいいなと思い、「岩波ジュニア新書」で探したところ、そのままずばりの題名で出てきたのが本書。「岩波ジュニア新書」は、「小中学生から大人世代まで,幅広く読める入門新書」と説明されている通り、ほとんど知識がない状態からでも全体像を理解できる。

    と思っていたら、あとがきで、『財政のしくみがわかる本』に触発されて書いた、とあった。自分の辿った道のりは、作者の意図通りだったのかもしれない。

    テーマは地方自治ではあるが、神野直彦の『財政のしくみがわかる本』同様、民主主義への信念をひしひしと感じる語り口だった。基礎的知識がわかりやすく、網羅的に述べられている中にも、著者自身の思いや問題意識が散りばめられており、自立した批判的思考を持つことを促しているようにも感じられた。

    冒頭、「秩序を守って安全・安心を提供することのできない政府には、やがて誰もしたがわなくなっていき、それぞれの個人や集団は、実力によって自らを守ろうとして、社会はバラバラになっていきます。日本の戦国時代は、そのような自力救済の時代でした。」と述べてあり、そうか、今は戦国時代なのかと、笑い事ではないけれども思わず笑ってしまった。

    2021年12月現在、時事に即したもので興味深かったのが、外国人の参政権に関する記述。つい数日前、東京都武蔵野市で、住民投票に外国籍の住民の参加を認める条例案が否決された。ことの経緯は詳しく把握していないが、議会外でヘイトスピーチが繰り広げられたとも聞く。
    「1995年に最高裁は、憲法が外国人に地方参政権を保障したものではないが、法律で地方参政権を認めることが憲法上禁止されているものではないと、許容説の立場で判決」したため、「外国籍住民の地方参政権は、国会が法律で決めることだということが明確に」(p.45)なったものの、その後議論は進んでいない。社会が不安定化し、閉塞的な空気が充満すると、その鬱憤晴らしとして排外主義が横行するのを見る都度、なんともやり切れない気持ちになる。歴史を知り、そこから学ぶことの重要性はもちろんだけれども、攻撃的になるとき、人は自分を守っているのでもあるだろうから、その人の本当の痛みや苦しさに向き合い、受け止め、共に解決する社会を作る一人でありたいと思う。

    また、先に読んでいた『日本の地方政府』との違いで、おや、と思ったのが、地方議会の首長と議員の選出方法について。本書では、現在の「二元代表制」を支持し、「議会は、常に首長の政策には批判的な視点でチェックしていくことが必要で、首長とのあいだで一定の緊張感を保つことを前提としている」(p.60)とあるが、『日本の地方政府』では、首長と議会の政党制にズレが生じるとして問題視していた。そもそも現在の地方議会が二元代表制となったのは、戦後の占領軍の強い意向であったらしいが、その意図がどこにあったのかを詳しく知りたい。

    その他にも、公務員にはストライキが認められていないこと、小泉政権時代の三位一体の改革が地方に押し付けたことなどは、現在に続く問題点であると理解できたし、新潟県巻町の住民投票のくだりには、その苦労と住民の意志に涙が出そうになった。

    パンデミックの中で、政治に関心を持つようになった人は、私も含めて多いだろうし、国会中継を見る人も増えたように思う。一方、本書で紹介されている19世紀イギリスの法学者であり政治家のジェームズ・ブライスの言葉「地方自治は民主主義の最良の学校である」は、政治や社会に興味を持てば持つほど、同意できる言葉のように思う。

    地球規模で考え、足元から行動しよう、という言葉も聞く。世界はますます繋がって、良いことも悪いことも相互に影響しあっており、一国だけで成立することはもはや不可能。社会問題に関心を持ったとしても、その問題は大きすぎて、立ち尽くしてしまうか、また見て見ぬふりの姿勢に戻るか、となってしまう心情もよくわかる。でも、やっぱり諦めたくない、自分にできることをしたいという気持ちもあるので、まずは自分の生活する地域のことをもっと知ろうと思う。著者は、三重県在住で、自身の身近な事例もそれぞれに紹介してあり、自分が地域と地方自治について知り・考えることの親しみやすさをも示してくれている。その出発点に立とうとするときに、携えたい一冊。

  • 地方自治とは何か、ジュニアとはあるものの大人教養書としても大いに役立ちそうな一冊でした。良書です。地方自治は日本国民にとって最も身近な存在だからこそ理解が必要だと思っていましたが、これ一冊で十分な知識が得られると思います。

  • 良書。

  • 東2法経図・6F開架 318A/Mu38c//K

  • 自治体と関わっている職業なのによくわかっていないのでとりあえず購入。
    地方自治の大まかな流れがわかって助かる。特に財政状況の見方などはよくわかった。自分の住む地域をよりよくしていくための地方自治。住む地域によってその方法は異なっていく…

全6件中 1 - 6件を表示

村林守の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×