英語に好かれるとっておきの方法 4技能を身につける (岩波ジュニア新書 834)
- 岩波書店 (2016年6月23日発売)
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感想 : 19件
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784005008346
感想・レビュー・書評
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横山カズ
同時通訳者。翻訳家。1977年生まれ。関西外国語大学外国語学部スペイン語学科卒。英語を日本国内で独学し、IT・医療・機械・環境・国際関係・文学など多分野で同時通訳者として活躍中。リクルート・スタディサプリENGLISH,東進ハイスクール、学びエイド講師。JAL(日本航空)グループ等の大手企業では英語力向上と社内公用語化に貢献する。また、20代半ばまでは外国人向けクラブのバウンサー(用心棒・トラブル対応業務)を経験する。少林寺拳法、柔道、キックボクシング、総合格闘技、アームレスリング(2012年三重県大会優勝)など格闘家としての顔も持つ。2012年ICEE総合優勝。英検1級。著書:アルク『パワー音読入門』
「彼は単語帳を開いて単語の勉強をしている私を見て「小難しい言葉を覚えるのは後でいい! 英語を話したいなら,客の女の子達の喜怒哀楽をよく見ろ! すごく表情豊かだろう? そこで話している言葉だけをしっかり拾って覚えるんだ!」と言われたものです. これはすごい効果がありました.観察するのは別に女の子である必要はない気がするし,ちょっと極端な気もしますが,彼の言いたいことは理解できました.大切なのは感情と言葉をつなぐこと.これこそが自由に話すためには欠かせない要素だということをつかみ取ることができました.」
—『英語に好かれるとっておきの方法 4技能を身につける (岩波ジュニア新書)』横山 カズ著
「自分の気持ちを英語で表現できるようにするための方法としてお奨めなのが,物事に対して常に「感想」を持つことです. うれしい,悲しい,つらい,悔しい,怒りなど,毎日,心の中にさまざまな感情が湧きますよね.自分の気持ちが動いた時,少しでいいからその気持ちをメモしておくとよいと思います. 1行でもいいんです.その時は日本語で OK.あとでそれを英語に変えてみるのです. そして,その英語をくり返し音読する.毎日じゃなくても大丈夫です.自分の感情が高まり,強く感想を持った瞬間をのがさないように.そういうことをくり返しているうちに,その英語は自分の身体に入り込んでいきます.そして,心の中に同じような感情が湧き起こった時に,その英語は自然に出てきます.そう,その英語はその時の自分の心を映してくれるようになります.そうして自分だけの英語になっていくのです.」
—『英語に好かれるとっておきの方法 4技能を身につける (岩波ジュニア新書)』横山 カズ著
「いまインターネットなどを通して,日本人が目にする英語の単語というのは飛躍的に増えているかもしれません.でもこれから生涯かけて必要とされる語彙って限られているのだと思います.ですから,日常のなかで使うことの少ない単語まで含めて多くの単語を覚えることに力を注ぐのではなく,基本的な単語だけをまず徹底的に自分のものにする.そしてわからない単語に出会った時に,基本的な単語の知識で言い換えができるような能力をつければよいのです.」
—『英語に好かれるとっておきの方法 4技能を身につける (岩波ジュニア新書)』横山 カズ著
「たくさんの単語を知ることも大切ですが,一つのことを 100の表現で言えるより,発想を転換して 100のことを一つの表現で言える方法を追いかける方が,楽だと思いませんか? 一つの表現さえ知っていれば,それをさまざまなシチュエーションで使えるのですから.まるで「柔よく剛を制す」でしょう? 英単語の知識を詰め込んで,誰も使わないような難しい単語を使って話をしても,あなたの思いは伝わりません.話し手の使用する語彙が難しくなればなるほど,理解してくれる人の数は減っていくという現実があるのです.たとえそれがとても難しい話題を話し合う場だとしても,その場にふさわしい話し方さえ解っていれば,あとは自分なりの易しい英語で話せばいいのです.」
—『英語に好かれるとっておきの方法 4技能を身につける (岩波ジュニア新書)』横山 カズ著
「住む場所が変わったからといって自分の英語がひとりでにリアルなものになるとは考えないでください.むしろ自分がどのように感じているかが大事なのです.変化はいつだって自分の心の内部から生じます.英語は自分の生の感情とつながって初めてリアルになります.その変化がある限り,英語を手に入れる手段はネットを含めて日本国内にもあふれかえっているのです.蛇口をひねれば水は出てきます. 徹底的に自分の情緒をとらえ,理にかなった練習をすれば,結果として英文が瞬間的に思いつくようになります.世に言う「流暢さ」というのはこんなものではないのでしょうか?」
—『英語に好かれるとっておきの方法 4技能を身につける (岩波ジュニア新書)』横山 カズ著
「 資格試験や入試では,当然一定の語彙レベルが要求され,スコアや級が上昇するほどより多くの語彙が求められます.そうした流れの中で「基本的な語彙は程度が低い」「基本的な語彙は使わない方がいい」「難しい言葉を多く使った方が高級である」と無意識に思いこんでしまうケースも多いです. しかし真実はむしろその逆です.抽象的で専門的な語彙ほど忘れやすくできています.大切なのは特定の言葉を忘れてしまった時に,それを別の言葉の組み合わせで説明できることであり,また忘れてしまった言葉について直接スピーディーに誰かに質問し,その説明を理解できる能力です.」
—『英語に好かれるとっておきの方法 4技能を身につける (岩波ジュニア新書)』横山 カズ著
「 逆説的に聞こえるかもしれませんが,瞬間的な使いまわしができて,単語を忘れることを恐れない人の方がストレスなく内容に集中でき,結果的により多くの英語に触れることになります.たくさん英語で質問でき,コミュニケーションの機会も自分で増やしていくことができます(これは本当に重要です!). 難しいことを小さな子供にわかりやすく伝えられる人は,コミュニケーションが上手いものです.語彙に頼りすぎると,当然子供に話は通じません.難しい言葉を使うほど,理解してくれる人は減っていきます.ふだんの生活で完璧にドレスアップして,持ってるアクセサリーをすべてジャラジャラつけたりはしませんよね.それでは空気が読めていないと思われてしまいます.英語も(そして当然日本語も)同じことです.」
—『英語に好かれるとっておきの方法 4技能を身につける (岩波ジュニア新書)』横山 カズ著
「 70億人が本音で感情にまかせて話した時に使われる語彙の大半は 2000語レベルでしょう! 語彙が最も多い人間が最も表現力が高いということはない.最も多くの人々に最も深く通じるのは,シンプルな語彙を最も柔軟に使いきれる人なのです. 文脈と気持ちは最大の味方なんです.シンプルな言葉ほど忘れにくく,よく使うんです.もちろん様々な言葉を凝らして表現することもできますが,まずはこんな言い方でよいので自分の気持ちを伝えていきましょう.」
—『英語に好かれるとっておきの方法 4技能を身につける (岩波ジュニア新書)』横山 カズ著
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2024.9.29 読了
パワー音読(POD)
1 チャンクchunk音読 意味のまとまりで
2 ノーマルnormal音読 確認しながら
3 ささやき音読 子音の意識
4 和訳音読 自分らしい日本語で
5 感情音読 英文と自分の感情を一致させる
6 タイムアタック音読
分量を減らし、回数を増やす -
〇新書で「学校生活」を読む⑧
横山カズ『英語に好かれるとっておきの方法 4技能を身につける』
(岩波ジュニア新書、2019年)
・分 野:「学校生活」×「行事を読む」
・目 次:
序 文(安河内哲也)
プロローグ Prologue
1章 偏差値30からの挑戦―海外に留学しないで英語を学ぶ
2章 私の英語独習法―英語4技能を身につけるために
3章 4技能を身につけるための使える技法群と練習法
4章 24時間使いまわせる「ふだん着」の表現
おわりの前に―プロローグの答え
最後に―そしてみなさんの始まりに
・総 評
本書は、筆者独自の英語勉強法である「パワー音読(POD)」について紹介した本です。筆者は同時通訳者・翻訳者として活躍する一方で、英語講師としても人気を博している人物です。
英語の「4技能(聞く・話す・読む・書く)」をどのように習得するか――これは中高生だけでなく、多くの大人たちにとっても悩ましい問題です。著者自身も幼い頃から「通訳になりたい」という夢を持ちながら、学校での英語学習に挫折し、夢を諦めかけた過去を持っています。そんな著者が、いかにして独自の勉強法を編み出していったのか――この本を読んで面白いなと思った点を、以下の3点にまとめます。
【POINT①】キッカケは酒場の用心棒?
著者独自の勉強法が生まれたキッカケは、外国人が集まる酒場でのバウンサー(用心棒)のアルバイトでした。そこでは、お酒に酔ってトラブルを起こす大柄な外国人を止めることが仕事でした。著者は、ケンカに巻き込まれて何度も大ケガを負いながら、次第に「感情が昂っている時」は「使う言葉はシンプルなものだけに限られてくる」ことに気付きます。この経験を通じて、著者は「誰もがわかるような簡単な単語を使い、イントネーションやアクセントを強調する」ほうが「心の奥底から湧いてくる自分の感情を相手に伝えやすい」ことを発見し、そのための手段として“音読”の重要性を認識していくことになります。
【POINT②】英語学習では自分を「主人公」にする!
英語4技能を学ぶ上で、著者が最も大切だと思うのは「自分の情緒や感情を〈英語で「思う」力〉」だと言います。例えば、英語を読んだり聞いたりする際は、自分が関心を持っているテーマのものをテキストに選び、そこから「自分の心に響く表現」(=自分で言ってみたい/書いてみたい表現)を探してみたり、テーマに対する思いを「I wonder~(~かなあ)」で言う練習を続けてみたりすることで、本当に使うために必要な「言葉の宝さがし」を楽しみながら、自分自身の英語を作っていくことができます。英語習得においては、自分を主人公にして「心」(=感情・情熱)を中心に据えることが大事だと著者は指摘します。
【POINT③】英語は「興味と情緒」で学べ!
著者の唱える「パワー音読」は「感情」・「スピード」・「反復」・「集中」の4つの力(power)を利用して音読を行う勉強法です。その一部を紹介すると、テキストには「自分の感情にフィットする表現が含まれている文章」を選び、イントネーションやアクセントに注意しながら、それを強調したり、トーンやスピードを変えたりしながら、より強く「自分の感情」を表せるように読む練習を重ねていきます。著者は、この勉強法において重要なのは「興味と情緒」であり、興味があるからこそ自然に音読の回数が増え、英語が自動化していくとして、狙うべきは「考える英語」の先にある「考えない英語」であると指摘しています。
本書の勉強法を一言でまとめると「好きこそものの上手なれ」という言葉にまとめられるでしょう。単に与えられた文章(≒教科書・問題集の文章)を読む/聞くのではなく、自分の「興味と情緒」を惹く文章をテキストにすることで、より「(自分で)話してみたい/書いてみたい」という気持ちを持てるのだと思います。また、本書には“24時間使いまわせる「ふだん着」の表現”として、さまざまな英文が紹介されています。こうした表現をサラッと言えるようになると、より英語でのコミュニケーションも楽しくなるのではないでしょうか。最後に、私のお気に入りの表現を1つ紹介して終わりたいと思います。
There are so many inconsistencies that I don’t even know where to start.
(ツッコミ所が多すぎてどこから言えばいいかさえ分からない)
(1728字) -
830-Y
閲覧新書 -
音読と量の確保
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「大丈夫、大丈夫」と背中をずっと押してもらいました。
・英語を話すことは、伝えようとする物事の核となるイメージを持つこと。
・着地点が明確で、意図と行動が伝わればいい。
自分が話すときも、通訳するときも忘れないようにしたい。
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請求記号 S830.7-ジユ-834(新書)
資料番号 300558368
新潟医療福祉大学図書館 蔵書検索(OPAC)
https://library.nuhw.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=1000095075&opkey=B158833863128001&start=1&totalnum=1&listnum=0&place=&list_disp=50&list_sort=0&cmode=0&chk_st=0&check=0 -
中高生向けの英語勉強法。友達を作るために英語を学んでいるのではない人には遠回りかと思う。
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どういった人をターゲットにしているのか、いまひとつわからない本です。
英語に対する思いは伝わってきますが、上手くなるための本ではないです。
幅広い読者を想定したのかなあとも思います。 -
著者は通訳者、翻訳家ですが経歴が面白く格闘技をバリバリにやっていて用心棒的な経験もあるとのこと。
そんな著者の若い頃のエピソードはなかなか面白かった。
この著者が言う英語上達法はとにかく音読ということでした。 -
思いが大切ってことですね。
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Not really
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読む、聴くという「受動態」スキルだけでは英語を使いこなせるようには遠回りだと思う。「言えるものは聞き取れる!」のは、その通り。女の子に"I would die for you."より"I would kill for you."の方がぐっと来るとか、若者に伝えるエピソードも上手い。
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○英語4技能を身につけるのは怖くない!今からでも遅いなんてことは全くないんだ!
社会のグローバル化がまことしやかにささやかれ、ますます重要になる「英語」。
学生の多くは苦手意識を持っているわけだが、最近では「読む・聞く・書く・話す」の4技能を身につけることが重要だ、と言われるようになってきた。
TOEIC試験運営の国際ビジネスコミュニケーション協会も、「TOEIC SWテスト」を「英語で話す・書く力を測るテスト」として受験機会の提供をしている。
さてその4技能を身につける方法を記したのが、この本だ。
「英語に好かれる」とあるが、果たして、英語が自分を好きになってくれることはあるのだろうか??
この本を読んだ上での答えは、「No」だと思う。
その代わり、自分で努力した結果、自然と英語と自分との距離が近づいてくることはあるのだな、と思った。
筆者は筆者の体験として、幼少時に両親から英語より日本語、と言われ、ずーっとそれを根に持っていたわけではないが、実現できない苛立ちを抱えていた。大学に行っても結局そうだったが、バウンサーと呼ばれるアルバイトに出会い、外国人と話す中でよくよく聞いてみると簡単な英語でストレートに自分の想いを伝える彼らの姿があり、そこからは猛特訓したのだという。筆者の中にあった自己肯定感(self-esteem)が、”自分の心の礎にあれば、失敗や困難に出遭ってもそこから再び立ち上がり挑戦する「本当の強さ」を発揮することができる”(p9)のだそうです。このことには人生においても英語においても同感。
あとは、「英語で思う力」をコアにして、情緒と英語を一つにし、インプットとアウトプットを繰り返す中でふだん着の英語を身につけていく、ということだ。
日本人は概して自分の気持ちを回りくどく伝えがちな人たちだと思うが、外国人のように感情や理解したことをストレートに言葉に載せて伝えるのが、英語の上達の近道なのかもしれない。
そして、才能は数をこなして作るものだ、ということも筆者は言っている。
これも同感。結局天才なんていないんじゃないかな、考えたもん勝ちなんじゃないかな、と私も思っている。
あとは、筆者の体験談に基づいた生の英語を、実例文をもとに学習しよう。
結局、近道もなにもなく、好かれるためには自分から英語を好きになり、お近づきにならないといけないんではないかな。
著者プロフィール
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