「空気」を読んでも従わない: 生き苦しさからラクになる (岩波ジュニア新書)

著者 :
  • 岩波書店
4.01
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本棚登録 : 1013
レビュー : 111
  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784005008933

作品紹介・あらすじ

「個性」が大事というけれど、集団の中であまり目立つと浮いてしまう、他人の視線を気にしながら、本当の自分は抑えつけていかないと……。この社会はどうしてこんなに息苦しいのだろう。もっと自分らしく、伸び伸びと生きていきたい! そんな悩みをかかえるアナタにとっておきのアドバイス。「空気」を読んでも従わない生き方のすすめ。

感想・レビュー・書評

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  • ジュニア新書として異例の大ヒット!と帯に書いてあったが、その言に違わず、目から鱗の面白い本だった。

    読み始めてすぐに、理不尽な部活の先輩・後輩関係の話にちらりと触れられていたので、これはまさに子どもが悩んでいることだわね…と思い、「読んでみる?」と渡したところ、「読みやすい!面白い!まさにその通り!」てな感じで、先に読まれてしまった。

    日本は村社会、というようなことは以前から見聞きしていたが、この本では日本に生きる我々をとりまく人間関係を「社会」と「世間」というカテゴリーに分けて、わかりやすく説明してくれている。

    外国では「世間」という考え方は存在せず、存在するのは「社会」という考え方のみ。
    そして「世間」について、なぜこの概念が我々の中に色濃く残っているのか、中学生にも分かるように説明してくれている。

    読了後、この本の前に読んだ「温室デイズ」で描かれていたいじめの構造がよりくっきりと浮かび上がった。

    「社会」と「世間」、両者の違いは何なのか?
    中高生だけでなく、大人にもぜひ読んでほしい。
    それを知ることで、少し生き辛さから解放されるような気がする。2020.8.8

  • 空気を読む、一時期盛んに言われた事ですが今でも変わらず言葉に出さない「空気」というものに我々の社会は支配されております。
    空気を読めなかった人は、つまはじきにされたり、いじめに遭ったりします。これは簡単に対応出来る人にはピンとこない内容かも知れませんが、私のようなあちこちぶつかって上手く行かなかった幼少少年青年期を送った者にはよく分かります。
    この「空気」というものは日本的な「世間」というものの見えない圧力のもので、他の国ではこれは宗教が担っている領域だと書かれています。
    日本人が頼みごとを断るのが下手なのは、自分につながりがある「世間」からの反応を心配する余りの精神の動きだから。他の国だと神様からの頼みは断れないけれど、それ以外は等しく社会の構成員なので断る事も受ける事も自由という考えかたのようです。
    昔で言う「村八分」の状況になる可能性が有る強力な「世間」であれば従った方が得策だけれど、それ以外はきっぱり断った所で大した被害はないので、自分にとってどういうつながりなのかよく考えた方がよい。
    なるほど、確かに断ってもなんともない関係性でも頼まれるとなんとなく断りにくいというのは沢山沢山あります。特に断るのが苦手な僕は嫌になるほど体験しています。

    この本の素晴らしい所は、何も全部に対抗しろと言っているわけでは無くて、どれが一番楽かを見極めてマシな方を選びなさいと言っている所。また、強力な世間(会社、学校、親戚縁者)だけではなく、小さな弱い世間(サークル等)に属す事によって一つ一つの世間からの影響力を弱めて、ここから弾かれたらどうしようかというプレッシャーから出来るだけ自由になりなさいと言っている所です。
    特に中高の時にこの本読んだら気持ち楽になっただろうなと思います。実際その頃有っても手に取らなかったでしょうけど。

  • 生きづらさを手離すカギは「世間」と「社会」!?

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    この本では、「世間」と「社会」はどう違うのか、どうやって生まれたのかを歴史との関係から紐解いています。

    そして「空気読めよ」の「空気」の正体と、そこからなぜ生きづらいと感じるのかが詳しく書かれています。
    「世間」と「社会」という、生きづらい世間を、泳いで渡るコツを教えてくれるこの1冊。

    10代でこの本に出会えた方は、「ラッキー!」とさけびましょう。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 岩波ジュニア文庫というだけあって、中学生が読んでもわかりやすい内容です。
    「世間」と「社会」という、難しそうな概念も、スルスルと頭に入ってくるから驚きです。

    特に中学生のころに「『空気』を読んでも従わない」に出会えた方は、とてもラッキーです。
    なぜなら、中学生以降の人生を生き抜くためには、「世間」「社会」「空気」の正体にについて知っておくことが、本当に大事だからです。

    この本を読むと、生きづらさを生む「世間」や「社会」という考え方は、日本の歴史のなかで日本人のなかに染みついてしまったものなので、簡単には変えられない概念だということが、よくわかります。

    でも「なんだ結局、世間とか社会なんて変えられないんじゃないか」と、落ちこまなくても大丈夫です。
    著者はちゃんと、「世間」と「社会」のルールをうまく逆手にとって、生きていくコツを教えてくれています。

    正直、生きづらさを生む「世間」から離れるときには、勇気がいります。
    けれど、しんどいまま「世間」のなかで生きるのと、すこしの勇気で「世間」から抜け出したあとの「社会」で生きるのでは、あなたはどちらがいいですか?

    この本を何度も読み返して、自分で考えていけばきっと、その「こたえ」はあなたの中に生まれていくはずです。

  • 子供の朝読書用に、新聞の書評を読んで、購入。
    先に一読。

    こういった内容、周囲の捉え方は、学生時代から、知っておいて欲しい。

    親が話して聞かせることも大切だけれども、読書という形で、
    第三者の大人の意見に触れて、自分なりの感覚を、どんどん磨いてほしい。

  • 児童書だとは読み知っていたが確かに児童書だった。鴻上さんが小中高生宛に優しい文章で話しかけてくれる。ただそれだけではない何かが感じ取れ、それはなぜか最近になって「星の王子さま」を読んでいたときの感覚と重なるものを呼び起こさせてくれたのだ。本書のほうがもっとわかりやすい具体的な話ではあったけど。

    こうして「幼少期に出会うことができればよかったのに。」という書物に出会えたことは、そのタイミングを逃したがゆえの残念さはさておき、素直に喜びたい。何かの機会に人に薦めたくなる本としてその年齢対象が広がる形で自分にも訪れてきたわけだから。

    (そもそも自分が幼少であった頃にこの本は存在していなかっただろうし、このままの語彙では昭和の時代には伝わらない(苦笑))

    なんとなく自分ではつかめていた内容もこうして体系立てては話せない。しかも誰にもわかりやすい平易な言葉で…となるとなおさら難易度は増す。良い一例は見せてもらえた訳なのだからこれを元に自説というか自分にとっての信念のようなものも整えてゆかねばと改めておもふ。


    さて。

    「星の王子さま」同様、要再読だな!

  • まだ視野の狭い子供にとっては役に立ちそうな気付きを与えてくれる本だった。

  • 「世間」に縛られて生きてる日本人。だから、芸能人の不倫が話題になったりするんだな。皆がランドセルで入学し、運動会や合唱コンクールで繋がりを強化し、黒いスーツで就活し、早く帰ると悪いと思う。プレゼントを貰ったらお返しをし、「世間」に嫌われないよう自分を押し殺す。
    鴻上さんは、そんな世間をぶっ壊せとか言ってるんじゃなく、自分で考えて嫌じゃない選択をすることで、自分も楽になるし、世の中も変わるよ、と語りかける。
    うちの子どもがランドセルじゃなくリュックで通学してたら、「(知り合いや兄姉の)キレイなランドセルあるから、使わない?」と本当に親切心から言ってくれた人が何人かいた。別に体制に反抗するとか、ポリシーがあってというわけでなく、単純に身体が小さいし、本人もリュックで良いというから(もちろん、「他の子はみんなランドセルだけどいいの?」と訊いた)そうしただけだったし、学校からも何も言われなかったのに、なぜ他人がそんなに心配してくれるのか不思議だったが、そういう人たちは、私(あるいは子ども)をある程度仲間だと思ってくれていたのだなあ、とちょっとありがたいとすら思ってしまった。日本人らしいな、とも。
    「世間」にも強い世間と弱い世間がある、というのは新鮮だった。強い世間としっくりきてる人の強さってすごいものな。大企業OB会とか経団連とか、高偏差値の学校の同窓会とかが偉そうなのもそういうことね。
    鴻上さんの言うように、どうしても嫌だったら、嫌と言い、自分らしく生きる人が増えていくことを願って止まない。ベビーカーを電車で畳めとか、子どもを泣かすなとか、障害者は出歩くなとか、(欧米人じゃない)外国人は出ていけ、とかも、「世間」が弱まれば、それぞれの人を「個」として尊重できるんじゃないかと思う。

  • 「空気を読む」って言葉は、いつ頃から使われ出したのか、「KY」という言葉が世に出たのも随分前だと思うが、もはや日常的に使われる言葉となっている。

    この言葉への着目は、空気を創るほうの立場である劇作家の著者ならではであるかもしれない。

    日常語となるほど、この言葉は現在社会に浸透していて、今の人たちは、多かれ少なかれこのことに「生きづらさ」を感じているというのが前提の本である。

    この現象は、歴史的な背景などにも影響された、日本独特の現象であることを著者は明かしていく。

    「ジュニア新書」として発刊されているように、特に若い世代に向けて、「仕組みを知って、もっとラクに生きて行こう!」と温かいまなざしで、わかりやすく、丁寧に語りかけている。

  • 鴻上さんの言うところの「世間」は山岸敏男さんの「安心社会」、鴻上さんの「社会」は山岸さんの「信頼社会」とほぼ同じ概念を指していると考えて良いと思います。そして、「世間」においては親切で仲間を助け、また好むと好まざるとに関わらず「つきあい」を大切にする日本人が、「社会」(世間の外)においては非常な「個人主義」となる理由も解き明かされています。
    そして、そこまでは鴻上さんはこの本では論点にはしていませんが、昨今の日本の社会の問題の多くが、かつての「世間」が崩壊しているのに、日本人に染み付いた行動様式は「社会」に適応するようにうまく変われていないことに発していると思う次第です。
    若者向けの書籍ですが、良書と思います。さすがは鴻上さんです。

  • 「世間」は日本人特有の概念で「現在、将来と関係ある人達」、「社会」は「世間」と反対、つまり関係ない人達。
    「世間」という大きなものが、くだけて、日常的になり、いろんな場面にいろんな形で現れるようになったのが「空気」。
    この本を読めば具体的にわかり、納得できます。

    抑圧する「世間」強すぎる「空気」を問題にし、
    「社会」とつながっていく。

    また、スマホとの上手な関わり方についても考えています。
    〈スマホをまだ人類はちゃんと使いこなせてないのです。
    私達は、スマホという強力な呪文を覚えたばかりの魔法使い見習いみたいなものです。
    自分を孤独にもできるし、可能性を広げることもできるし、そして、人を追い詰めて殺すことも、追い詰められて死にたくなることもできるのがスマホなのです〉

    スマホのことで悩んでいる人は読んでみてください。

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著者プロフィール

鴻上尚史(こうかみ しょうじ)
1958年愛媛県生まれ。早稲田大学法学部卒業。作家・演出家・映画監督。大学在学中の1981年、劇団「第三舞台」を旗揚げする。87年『朝日のような夕日をつれて87』で紀伊國屋演劇賞団体賞、’94年『スナフキンの手紙』で岸田國士戯曲賞を受賞。2008年に旗揚げした「虚構の劇団」の旗揚げ三部作戯曲集「グローブ・ジャングル」では、第61回読売文学賞戯曲・シナリオ賞を受賞。代表作の著書に『不死身の特攻兵』などがある。2019年9月20日、「AERA.dot」連載で度々SNSで話題となっていた連載、『鴻上尚史のほがらか人生相談』を刊行。

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