「空気」を読んでも従わない: 生き苦しさからラクになる (岩波ジュニア新書 893)

著者 :
  • 岩波書店
3.95
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本棚登録 : 2014
感想 : 193
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  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784005008933

作品紹介・あらすじ

「個性」が大事というけれど、集団の中であまり目立つと浮いてしまう、他人の視線を気にしながら、本当の自分は抑えつけていかないと……。この社会はどうしてこんなに息苦しいのだろう。もっと自分らしく、伸び伸びと生きていきたい! そんな悩みをかかえるアナタにとっておきのアドバイス。「空気」を読んでも従わない生き方のすすめ。

感想・レビュー・書評

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  • ジュニア新書として異例の大ヒット!と帯に書いてあったが、その言に違わず、目から鱗の面白い本だった。

    読み始めてすぐに、理不尽な部活の先輩・後輩関係の話にちらりと触れられていたので、これはまさに子どもが悩んでいることだわね…と思い、「読んでみる?」と渡したところ、「読みやすい!面白い!まさにその通り!」てな感じで、先に読まれてしまった。

    日本は村社会、というようなことは以前から見聞きしていたが、この本では日本に生きる我々をとりまく人間関係を「社会」と「世間」というカテゴリーに分けて、わかりやすく説明してくれている。

    外国では「世間」という考え方は存在せず、存在するのは「社会」という考え方のみ。
    そして「世間」について、なぜこの概念が我々の中に色濃く残っているのか、中学生にも分かるように説明してくれている。

    読了後、この本の前に読んだ「温室デイズ」で描かれていたいじめの構造がよりくっきりと浮かび上がった。

    「社会」と「世間」、両者の違いは何なのか?
    中高生だけでなく、大人にもぜひ読んでほしい。
    それを知ることで、少し生き辛さから解放されるような気がする。2020.8.8

  • 空気を読む、一時期盛んに言われた事ですが今でも変わらず言葉に出さない「空気」というものに我々の社会は支配されております。
    空気を読めなかった人は、つまはじきにされたり、いじめに遭ったりします。これは簡単に対応出来る人にはピンとこない内容かも知れませんが、私のようなあちこちぶつかって上手く行かなかった幼少少年青年期を送った者にはよく分かります。
    この「空気」というものは日本的な「世間」というものの見えない圧力のもので、他の国ではこれは宗教が担っている領域だと書かれています。
    日本人が頼みごとを断るのが下手なのは、自分につながりがある「世間」からの反応を心配する余りの精神の動きだから。他の国だと神様からの頼みは断れないけれど、それ以外は等しく社会の構成員なので断る事も受ける事も自由という考えかたのようです。
    昔で言う「村八分」の状況になる可能性が有る強力な「世間」であれば従った方が得策だけれど、それ以外はきっぱり断った所で大した被害はないので、自分にとってどういうつながりなのかよく考えた方がよい。
    なるほど、確かに断ってもなんともない関係性でも頼まれるとなんとなく断りにくいというのは沢山沢山あります。特に断るのが苦手な僕は嫌になるほど体験しています。

    この本の素晴らしい所は、何も全部に対抗しろと言っているわけでは無くて、どれが一番楽かを見極めてマシな方を選びなさいと言っている所。また、強力な世間(会社、学校、親戚縁者)だけではなく、小さな弱い世間(サークル等)に属す事によって一つ一つの世間からの影響力を弱めて、ここから弾かれたらどうしようかというプレッシャーから出来るだけ自由になりなさいと言っている所です。
    特に中高の時にこの本読んだら気持ち楽になっただろうなと思います。実際その頃有っても手に取らなかったでしょうけど。

  • “「空気」は絶対ではないのです。変わるのです”

    “自分の人生を決めるのは、自分であって、「他の人が評価するかどうか」ではないからです”

    空気読めない
    という言葉に違和感を感じてた
    愛読してる東京新聞の広告は
    「空気は、読まない」である

    誰かへの忖度
    誰がへの気づかい
    その誰かは誰?
    モテるため
    誰にモテたいの?
    みんな?みんなって誰?

    この本は鴻上尚史さんが、ジュニア層に向けた岩波ジュニア新書で発行されている
    語り口がやさしくて、話を噛み砕いて説明してくれるから、とてもわかりやすい

    鴻上尚史さんが、噛み砕いて噛み砕いて
    若い層に伝えたかった事なんだと
    いうことがとてもわかる

    表紙の絵もなかなかいい
    傘はなんでさす?
    雨が降ってるからさす
    雨が降ってるかは
    自分で確かめて、自分には傘をさす必要があるのか判断して、傘をさすんだ
    周りの誰かに決められるんじゃない
    雨がやんでると思ったら
    自分の傘を閉じればいい

    もっと自分の行いや振る舞いは自由なんだよ

    自分で考えて、自分の決断で決めた事をするならば
    誰かがその人の決断でやってることを
    笑ってバカにすることなんて
    できないはずだと思うんだけど

    評価を周りに求めず
    自分で決めるんだよ
    みんな、そういう自由を持ってるはずなんだよ


  • 日本にしかない「世間」と、世界中にある「社会」の話。明治維新後に崩壊しつつある世間は、それでも「空気」を生み出して、私たちを縛る。そこから逃れるためには、①複数の弱い「世間」に所属する②たまに会う人達との関係(いわゆる「社会話」ができる関係)を育んでおくこと。何の気にもなしに読み始めましたが、すぐに前のめりになりました。またもやジュニア向け新書、恐るべし!

  • 生きづらさを手離すカギは「世間」と「社会」!?

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    この本では、「世間」と「社会」はどう違うのか、どうやって生まれたのかを歴史との関係から紐解いています。

    そして「空気読めよ」の「空気」の正体と、そこからなぜ生きづらいと感じるのかが詳しく書かれています。
    「世間」と「社会」という、生きづらい世間を、泳いで渡るコツを教えてくれるこの1冊。

    10代でこの本に出会えた方は、「ラッキー!」とさけびましょう。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    岩波ジュニア文庫というだけあって、中学生が読んでもわかりやすい内容です。
    「世間」と「社会」という、難しそうな概念も、スルスルと頭に入ってくるから驚きです。

    特に中学生のころに「『空気』を読んでも従わない」に出会えた方は、とてもラッキーです。
    なぜなら、中学生以降の人生を生き抜くためには、「世間」「社会」「空気」の正体にについて知っておくことが、本当に大事だからです。

    この本を読むと、生きづらさを生む「世間」や「社会」という考え方は、日本の歴史のなかで日本人のなかに染みついてしまったものなので、簡単には変えられない概念だということが、よくわかります。

    でも「なんだ結局、世間とか社会なんて変えられないんじゃないか」と、落ちこまなくても大丈夫です。
    著者はちゃんと、「世間」と「社会」のルールをうまく逆手にとって、生きていくコツを教えてくれています。

    正直、生きづらさを生む「世間」から離れるときには、勇気がいります。
    けれど、しんどいまま「世間」のなかで生きるのと、すこしの勇気で「世間」から抜け出したあとの「社会」で生きるのでは、あなたはどちらがいいですか?

    この本を何度も読み返して、自分で考えていけばきっと、その「こたえ」はあなたの中に生まれていくはずです。

  • 児童書だとは読み知っていたが確かに児童書だった。鴻上さんが小中高生宛に優しい文章で話しかけてくれる。ただそれだけではない何かが感じ取れ、それはなぜか最近になって「星の王子さま」を読んでいたときの感覚と重なるものを呼び起こさせてくれたのだ。本書のほうがもっとわかりやすい具体的な話ではあったけど。

    こうして「幼少期に出会うことができればよかったのに。」という書物に出会えたことは、そのタイミングを逃したがゆえの残念さはさておき、素直に喜びたい。何かの機会に人に薦めたくなる本としてその年齢対象が広がる形で自分にも訪れてきたわけだから。

    (そもそも自分が幼少であった頃にこの本は存在していなかっただろうし、このままの語彙では昭和の時代には伝わらない(苦笑))

    なんとなく自分ではつかめていた内容もこうして体系立てては話せない。しかも誰にもわかりやすい平易な言葉で…となるとなおさら難易度は増す。良い一例は見せてもらえた訳なのだからこれを元に自説というか自分にとっての信念のようなものも整えてゆかねばと改めておもふ。


    さて。

    「星の王子さま」同様、要再読だな!

  • 子供の朝読書用に、新聞の書評を読んで、購入。
    先に一読。

    こういった内容、周囲の捉え方は、学生時代から、知っておいて欲しい。

    親が話して聞かせることも大切だけれども、読書という形で、
    第三者の大人の意見に触れて、自分なりの感覚を、どんどん磨いてほしい。

  • 大人なら1時間くらいで読めます。
    日本社会に蔓延る世間とは何か、日本以外の国々との違いからまとめた本。たしかに若い方がこの本を読めば救われるケースは多々あるように感じた。

  • 鴻上氏の本は何冊か読んだか、ジュニア向けということもあって、わかりやすく書かれていた。「世間」「空気読む」「同調圧力」の力が強い日本の中で、自分らしく生きるためにどうしたらいいのか、いくつかの提案がされている。大切なのは「自尊意識」。

  • 著者のいう世間と社会のフィルターを通すと、自ずと自分の捉え方のクセというか習慣に気付く。

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著者プロフィール

著者等紹介
鴻上尚史[コウカミショウジ]
1958年8月2日生まれ。愛媛県新居浜市出身。早稲田大学法学部卒業。劇作家・演出家・エッセイスト・小説家

「2023年 『ヘルメットをかぶった君に会いたい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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