俳句のきた道 芭蕉・蕪村・一茶 (岩波ジュニア新書 940)

  • 岩波書店 (2021年9月21日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (248ページ) / ISBN・EAN: 9784005009404

作品紹介・あらすじ

古典を知ったら、俳句がますますおもしろくなる! 今につながる俳句400年の歴史、その流れをつくった江戸の三俳人は、それぞれ伝統を大切にしながら、つねに新しい表現に挑戦しました。個性ゆたかな俳人たちはどのように生き、何をめざしたのでしょうか? 名句、名言、そして俳句のこころをたっぷり味わえる一冊です。

感想・レビュー・書評

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  • クリーンヒット⚾ 『俳句のきた道 芭蕉・蕪村・一茶』 | 教文館ナルニア国
    https://www.kyobunkwan.co.jp/narnia/archives/weblog/33318

    俳句のきた道 芭蕉・蕪村・一茶 - 岩波書店
    https://www.iwanami.co.jp/book/b589314.html

  • 芭蕉、蕪村、一茶の足跡をたどることで、それぞれの俳句への姿勢を明らかとする。
    連歌、俳諧から俳句へと過渡期にあったころのことが、それぞれの人生を見るとわかってくる。
    文化人のありようなどもわかって面白い。

  • 〇新書で「学校生活」を読む⑱

    藤田真一『俳句のきた道 芭蕉・蕪村・一茶』(岩波ジュニア新書、2021年)

    ・分 野:「学校生活」×「歴史を読む」
    ・目 次:
     はじめに――俳句の苑へ
     第一章 芭蕉――同好のよしみ
     第二章 蕪村――時空のみやび
     第三章 一茶――葛藤のまなざし
     おわり――句兄弟へのいざない

    ・総 評
     本書は、江戸時代に活躍した俳人――松尾芭蕉・与謝蕪村・小林一茶について、その俳句の特徴を彼らの人生と関連させて解説した本です。著者は関西大学名誉教授などを歴任した古典俳諧の研究者です。
     この本で取り上げられている三名は、江戸時代における「元禄文化」(松尾芭蕉)・「宝暦・天明文化」(与謝蕪村)・「化政文化」(小林一茶)を代表する文化人として、歴史の教科書にも載っており、名前だけは聞いたことがあるという人も多いのではないでしょうか。本書では、さらに一歩踏み込み、彼らの俳句がどのように生み出されたのかといった“背景”に注目しています。この本を読んで面白いなと思った点を、以下の3点にまとめます。

    【POINT①】松尾芭蕉――旅に生き、旅に死んだ俳人
     代表作『奥の細道』で知られる松尾芭蕉は「後半生をほぼ旅に終始した」俳人でした。しかも、その旅は特定の目的地に向かうものではなく、全国の美しい風景や由緒ある名所を自らの脚で歩き、そこで現地の自然に触れて俳句を詠んだり、旅先で出会った人びとと俳句を詠み合ったりしたのです。時には住み家まで手放し、無一物となって全国をまわったからこそ、芭蕉は「何気ない、ふつうに送る日常生活」から俳句の面白さを発見することを大事にするとともに、近しい人であっても見知らぬ人であっても「共感をもとめて生き抜いた」と著者は指摘しています。

    【POINT②】与謝蕪村――画家として、そして俳人として
     与謝蕪村という人物は「画家であるかたわら、俳句もたしなんだ」と評されるように、画家としても名声を得た人物です。そのため、芭蕉のように旅に出ることはかなわず、画家の仕事をこなす一方で、俳句の師匠として弟子たちと句会も開催しなければならないなど、多忙な日々を送っていました。それ故に、蕪村の俳句は「目前の景色から跳躍して、過去へとさかのぼる」ような「体験にもとづくというより、想像にまかせて俳句を案じる傾向」が強かったと言います。また「人間のいとなみ」に注目した俳句=「人事句」を得意とし、それは画家としての蕪村にも見られる特徴であったと著者は指摘しています。

    【POINT③】小林一茶――雪国の故郷で「葛藤」を抱えた俳人
     小林一茶は、幼少期から継母との関係が上手くいかず、半ば追われるように北信濃の故郷を出ました。その後、俳人として名を成して故郷に戻りますが、父親の遺産をめぐるトラブル、家族の相次ぐ不幸、さらには大火によって住み家まで失うという苦難に見舞われるなど、彼の人生は「葛藤」の連続でした。そんな一茶の俳句は、一般的には「なつかしさ」の文脈で用いられる「故郷/ふるさと」という語句を用いた俳句で田舎の人間関係の冷たさを詠んだり、風流とされる「雪」の語句に対して、雪国育ち故の「恐怖におののく怯え」を詠んだりするなど、特有の「シニカルなまなざし」があったと著者は指摘します。

     歴史の勉強における「文化史」の分野は、大量の人物名と作品名を覚えなければならないという点で、苦手とする生徒が多いのが現実です。ただ、本書が解き明かしているように、教科書に名を遺すような人たちは、自らの人生を賭けて作品を残しており、その人間ドマラを紐解いてみれば、文化史という分野のイメージもまた変わってくるのではないでしょうか。たった十七文字で構成される「俳句」という作品の裏に、どのような人生が込められているのか――そんな視点で作品を見てみるのも面白いと思います。
    (1418字)

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著者プロフィール

1949年、京都生まれ。近世文学、俳諧研究。著書に、『蕪村』(岩波新書)、『蕪村 遊心』(若草書房、文部大臣奨励賞)など。

「2016年 『蕪村の名句を読む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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