“正しい”を疑え! (岩波ジュニア新書 957)

  • 岩波書店 (2022年9月24日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (198ページ) / ISBN・EAN: 9784005009572

作品紹介・あらすじ

「自分の考えが絶対に正しい!」と他人に意見を押しつけSNSを炎上させる人。その一方で、たやすく人の意見に流されてしまう人々も…。不安と不信が蔓延する社会において、私達は何を拠り所にすればよいのでしょうか。自分を信じて自分らしく生きるためのヒントを人気作家・真山仁さんが語ります。特別書下ろし。

みんなの感想まとめ

現代社会における「正しさ」を見直すためのヒントが詰まった一冊です。著者は、SNSの影響を受けやすい若者や大人に向けて、自分の意見を疑う力や客観的に物事を評価する重要性を説いています。特に、戦争やコロナ...

感想・レビュー・書評

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  • 私は真山仁氏の小説をまだ読んだことがない。
    この本はジュニア向けに書かれた本で、書いてることは正しいと思う。しかし、SNSが支配する現代。これを実行するのは、特に若者には至難の業だと思う。先日の兵庫県知事選でもそれは如実になっていた。
    本の中に日本人と中国人の違いに詐欺に関して「悪いやつ」「騙される方が悪い」と考えが分かれるとあったが、性善説を唱えるのは今や世界中で日本人だけかもしれない。最近は日本も変わってきているが…
    疑う力を養うのにクリスティの小説が最適とあったのにはなぜか微笑んでしまい、また、クリスティの小説が読みたくなった。

  •  非常に共感できる内容だった。論の立て方とか本自体の良さというより共感度で星5つです笑
     私が最初に著者の真山さんと同様の考えに至ったのは先の戦争の体験談からでした。子どもの頃から、あの戦争は間違いだった、負けると分かっていた、戦争には反対だったという話をたくさん読んできました。子どもの頃は、そのまま受け取り戦争は良くないっ!と思っていましたが、大人になってふと「こんなにみんなが反対していたのになぜ戦争は起きたのか」と疑問に思うようになりました。みんなが反対なのに起きたのなら、今だっていつ起きるかわからないということになります。戦争をしたにはした理由があると思ったのです。本書でも、そのことに触れています。
     コロナのことについても同様の考えを持っていました。専門家がマスクや手洗い、うがい、消毒をした方が良いというのは、コロナの実態がまだわからないから、しないよりはした方が良いという意味で言っているんだろうなと思っていました。したら、かからないとか、しなければかかるということではないだろうと。学校閉鎖も、安倍さんはオリンピック招致のためにパフォーマンスをしたかったんじゃないかなと。学校ならいう事を聞かせやすいしね。3月だったから影響も少ないと見込んだのに、想定外に収まらなかったので引くに引けなくなって長引いてしまったのかなあと。
     クリスティも好きで全巻読んだので、この本にはもう共感しかありません!笑

  • 今年の参院選で、SNSによりポピュリズム的な主張が広がり、自分自身の考え方が正しいのかも客観的に評価する力をつける必要があると肌身に感じた。
    各政党の主張を聞くと、それぞれの正義があり、だまそうと思って主張しているわけでもないように感じていた。その中で、本当にいま必要なことは何かを見抜く力が主権者に求められているのではないかと感じ、本書を取りました。
    中高生をターゲットとした岩波ジュニア新書で、非常に読みやすく、一気に読み切ることができました。中高生だけでなく、有権者である大人がもっと読むべき本です。
    自分の「正しさ」を客観的に見直し、どう磨いていくかが書かれた1冊です。

  • 2024年4月1日読了。小中学生の読者向けに、「『正しいを疑う』とはどういうことか?」について説明する本。結局、「正しいを疑う」が一番できていないのは今の大人たちなので本来は本書を読むべきなのは大人なのだろうが、それは言っても仕方ない。難しいテーマではあるが語り口はやさしくわかりやすい。自分の正しさは人類普遍の正しさではない、身近な家族であっても「正しさ」をすべて共有しているわけではない、など分かってはいるのだが自分でもついかっとなったり相手のことを「頭が悪い」と決めつけてしまったりすることはよくあること…。若者たちが柔軟に、生きやすい世界を作っていけるよう、自分も常に健全な疑問を持ちつつ、アタマやわらかく生きていきたいものだ。

  • コミニュケーション論は初めから半分見落としているのがわかる。

    SNSが普及した社会では、簡単に関係が切れる。安心を手軽に得られると同時に、社会から脅迫されている。関係性が意気投合のみだったら流動性を失って世界が閉じる。「それでいいんだよ」は危険な言葉だ。

    「相手がなにを考えているのかを知ることからコミニュケーションが始まるのなら、文学がそれだと思う」と、読書中のメモに書いたがそのあとに著者もそのように書いていた。自分の考えをはっきり捉えるために、他者の考えに反応することが大事というところがよかった。

    島国村社会だけでいられなくなった日本人に必要なのが文学小説だった。他者を疑うのではなく言葉を疑う力を持たなければならなかった。漱石などはこういった苦悩にさらされて、同時に対処しようとしてきた。現代では誰でもが開国に応じて生きていくために小説が重要だったのだ。

    それによって僕自身がモリモリのアルゴリズムにならなければならないのだ。正解を作るという言い方だけでは嘘や口のうまさ、画像イメージが使われてしまいがちだからだ。

    自作の解を作り上げられていないから、自信がないとか正さに依存してしまうとか、時代は狂ってしまう。

  • 批判的思考力を身につけることや、氾濫する情報の中から「正確」なものを選び抜く能力、情報を受け取ったときの他人の反応を正しく予測し、「報道されない事実」に目を向けることで情報発信者の意図を想像すること、これらの力を身につけることが情報化社会を生きてゆくためには不可欠だと言われています。

    国家間の戦争から、SNSで炎上する個人間の意見対立まで、その根本には「自分の主張が正しい」という信念や、「間違っている相手を正そう」とする(間違った)正義感があります。
    世間にまん延する(自分にとって居心地の良い)「正しさ」を疑うためには、歴史的な背景を含めた正確な知識が必要だと言われますし、そのための「教養」をみにつけるための書籍もよく店頭で目にします。

    しかし、筆者はその「正しいを疑う視点/能力」を身につけるための方法の一つとして、「小説をよむ」ということを紹介しています。
    社会を見る目、人の発言や行動を分析する力、価値観の多様性、異なる文化が衝突する理由、その解決策など、様々なものを小説は教えてくれるというのです。

    評論や教養書を読んだ方が良いんだろうな……と思いつつ、ついついエンタメ小説に手を伸ばしてしまうことが多い私にとってはとても慰めになる一冊でした。
    小説の効能は
    ・想像力を豊かにする
    ・いろんな人生を疑似体験できる
    ・気になることがあれば立ち止まって考える余裕がある
    ・多様な価値観があることを実感できる
    と盛りだくさんで、楽しみながら「力」を身につけることができます。

    (本文p.140)
    小説はフィクションですが、それは単に架空の筋立てであるということであって、人間とは何かを見つめ、様々な人間の生き方を読者に伝えるという意味では「人間の真実」を描いています。つまり、小説で起きる”正しさ”の衝突は、現実の社会でも起きるということです。

    「読書って何の意味があるの?」と思っている人や、逆に「本ばっかり読んで!」と叱られている人に、ぜひ手に取ってほしい一冊です。

  • ある程度ものを考えている大人にとっては、ごく当たり前のことが書いてあるので、特に読んで驚いたり、知的興奮を感じたりすることはなかった。
    中高生向けに書かれているのだから、中高生には刺激的なのかもしれない。
    しかし、岩波ジュニア新書を自ら手にとって読んでみようと思う中高生はかなりレアになっている今日この頃。(学校や教師から「読め」と言われて読むのなら別だけど、それでも読まない者はいる。)それをあえて読むような中高生なら、これくらいはわかっているんじゃないかな。「いいね!」が少なくても気にしない、って言われて「おお、そうか!」と目から鱗が落ちるような中高生は岩波ジュニア新書をそもそも読まない。そこにこの本と読者層のミスマッチがあるように思う。
    抜粋して授業なんかで読ませてたらいいかもしれない。

    アメリカ人と中国人は似ている、というところと、アガサ・クリスティーを二度読みすると凄さがわかるというところはなるほどと思った。

  • 『ハゲタカ』作者の中高生向け新書。
    “話せばわかる”ではなく、話してもわかり合えないけれど妥協点を探そうというつもりでコミュニケーションを取るというのは良かったな。

  • ・日本では「話せばわかる」はずだから、コミュニケーションが重要と考える。外国では「話しても分からない」からこそ、互いの妥協点を見つけるためにしっかりと話し合うことが必要と考える。つまり根本的にコミュニケーションの捉え方が違う(p.6)。
    ・島国という地理的条件、長く続いた鎖国。日本では国民が均質で同一の価値観を有する社会になった。つまり、「多様性」から最も遠い文化の中で生きてきた。(p.12)
    ・自分の信じている神こそが世界最高だ。多くの「迷える子羊」に最高の神様を教えてあげたい。異教徒の目を覚ましてあげることこそが、信徒の使命=正しいこと、だと考える。
    ・日本人と中国人は明らかに価値観が違う。人生の優先順位も違う。似ているのは容姿くらい。(略)ある街で白っぽいキクラゲを黒く塗って「黒いクラゲ」として売って大儲けした男が詐欺で捕まった。薬効があるといわれている黒いクラゲは昔から高級品。このニュースを知った多くの中国人は「そんな簡単なことで高く売った奴はすごいな」と。詐欺を働いた悪人じゃないかというと「だまされる奴が悪いんだよ。そのアイディアを考えた奴はすごい」と感心する。(p.78)
    ・中国人は家族や仲間を大切にするが、そうでない人に対してはかなりドライ。また、政治の話をすると、圧倒的な自己正当性を主張する。世界で一番強く正しいのは中国だと(世界の中心は中国と=中華思想)、ごく普通の人が当たり前に主張する(p.80)
    ・中国人はアメリカ人に似ている。他国にはあまり興味がなく、常に自分たちは絶対に正しく良い国だと胸を張っていう。
    ・世界は今、「ポスト真実」(世論の形成に、真実ではなく個々の感情が優先される時代)が到来した(p.120)。SNSを通して世論が暴走する。
    ・人の数だけ「正しさ」がある。自分の価値観をもとに「正しい」と考えるのは自由ですが、それを他人に押しつけてはいけません。お互いが多様性を認めていれば、価値観が異なる人とも仲良くできるはずです。自分と違う「正しい」を訴える人は魅力的に見えます。視野を広げてくれるからです。ひとつの物事に複数の「正しい」があるとするならば、皆が認め合いながら「落としどころ」を探す大切さが見えてくるはずです。(pp.164-165)

  • ジュニア新書だったのね。子ども達に向けての一冊。
    読みやすくて良い。
    情報には発信者の期待がこもる。
    「情報」には情に報いる、という意味がある。なるほど、すごく納得した。それを念頭においてニュースとか見ると、なかなか面白い。

    正しいを疑う力を身に付けるぬは「小説」を読め!
    面白いし、有効手段の一つだな。

    「何になりたいか」じゃなくて「何をしたいか」を追い続けるという思考は、目から鱗だった。

    この方の小説、元々好きなんだけど、こういう想いがあっての作品だったのだ、ということがわかって良かった。

  • 世間で広く言われることをそのまま鵜呑みにせず、自分で考えて行動せよ、と。

    著者が推薦するように、アガサ・クリスティーの「そして誰もいなくなった」を読んで、誰が嘘を言っているのか、誰が犯人なのか、よく考えながら読んでみよう。

  • リアル本にて。
    コーチャンフォー若葉台店にて見かけ、今の情報が氾濫している世の中で子供たちが生き抜いていくために何か伝えてあげられることがないかと思い、購入。
    著者の真山仁さんは、小説家で「ハゲタカ」が有名だが、まだ読んだことはなかった。
    ただ今回、この新書で、「小説を通じて社会を良い方に変えたい」と書かれているのを見て、俄然読んでみたくなった。
    日本においては「正しく」あることで安心を得ようとする人が多い。しかしその「正しさ」は、「世間の多くの人と同じ考え方をしている」という意味である。むしろ物怖じせずに「わからないから教えて」と言う姿勢の方が、新しい環境にも馴染みやすく、不安も解消されるのに。おそらくみんな頭ではわかっているけど、恥ずかしくてそれができない。SNSの緩い繋がりのような易きに流れてしまう。
    私の尊敬する技術者の言葉に、「迷ったら難しい方を選べ」という教えがある。体現できているとはとても言えない。ただ、人間関係でもソフト開発でも、簡単に手に入るものは簡単に失う。
    楽しようとせず、時間をかけちゃんと話を聞き、違和感を放置せず話し合い、自分のことも伝えて、違いを受け止める。子供たちに偉そうにこれを言える状態に、今の自分はいない。まずは子供たちとのコミュニケーションで、本書のような姿勢を取っていきたい。
    また本書では「知見なき意見は無責任」という言葉が紹介されている。これは、意見を述べる際、脊髄反射で意見するのではなく、まずしっかりと調べるべきである、ということ。調べるハードルがどんどん下がるなか、むしろ意外と調べないままになっている気がする。おそらくいつでも調べられるという甘えがあるんだろう。
    そして本書では、小説家らしく、正しさを疑うために小説を読むことを推奨している。これは私もずっと思っていたことなので、全面的に賛成。一方で、真山仁さんはさらに一歩進んで、
    ・アガサ・クリスティーの
    ・ミステリーを
    ・二回読む
    ことを勧めている。
    それぞれちゃんと理由があって、妥当なものに思えたので、まずは「そして誰もいなくなった」でも読んでみよう。(ハゲタカと悩む)
    最後に、後書きに痺れる言葉があったので、こちらも引用しておきたい。
    「私にできることはあなたにもできる。私のノウハウを授けたんだから、あなたのほうがずっと有利だ」
    いつか子供たちにも言いたい。

  • 発信者の意図を正しく理解することが大切だと感じた。
    言葉尻だけを取り上げて、批評するのではなく、なぜそう言ったかを背景を知ることが大切。

    それぞれの立場での正しさがあるため、コミュニケーションを通して、お互いを理解し、妥協点を探る必要がある。そのためのコミュニケーション。

    クリスティを読んでみたい。

  • 子供にも読ませたい

  • 背ラベル:158-マ

  • 「誰かが示してくれる〝正しい″にすがって不安を膨らませるのではなく、自分を信じて精一杯生きる素晴らしさに意識を向けてほしい」の一文に作者の想いを感じた。人と人は話し合いでも分かり合えない。その上でどう人の嘘を見抜くかについても言及。推理小説アガサ・クリスティを勧めていた。読んでみようかな。

  • 中学受験の記事で紹介されていたし真山仁なので読んでみた。悪くないけど賢い中学生向けとか歪みかけた高校生向けのような印象。アガサクリスティを読んでみたくなる。

  • とてもよかった。疑う練習、ぜひやってみたい。

  • 2023年度中学受験の国語で設問となった作品。小説家なのに?と思い読み進めたら、真山氏の心構えに触れられた。「正しい」に依存したがる日本人、東日本大震災やコロナを経て、自分の考えは正しいを押し付ける人が危うい、と平易な言葉で理由をしたためる。違和感やひっかかりを大事に、知性をもって疑えるために、書物を通じた疑似体験で疑う力を養っていきたいと思えた一冊。

  • 自分が当たり前だと思っていることにこそ、才能が隠されている。
    承認欲求は時に邪魔になることを覚えておく。自分は自分を持つこと。
    コミュニケーションは相手を理解するためにある。分かり合えないから、語り合う。
    自身の正しさをSNSに頼り判断することは危険である。
    歴史書の大半は勝者が書いている。その正しさは勝者の視点である。
    相手を理解することは、相手と同じ考えを持つことではない。
    交渉で重要なことは、落とし所。
    話しても分かりあえないから交渉する。が世界の常識。話せば分かりあえる。は世界の非常識。
    疑う力を養うには、本当にそうなのか。と問いを立てるために必要。人の話や情報に接した時に感じる違和感を大切にする。
    情報発信者には意図がある。
    情報を見極める時には、何を伝えていないか。何を隠しているか。を探る。
    世の中に絶対はない。
    自分とは異なる意見があることを受け入れる広い視野と懐の深さを持つ。

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著者プロフィール

1962年、大阪府生まれ。同志社大学法学部政治学科卒業。新聞記者、フリーライターを経て、2004年、企業買収の壮絶な舞台裏を描いた『ハゲタカ』でデビュー。映像化された「ハゲタカ」シリーズをはじめ、 『売国』『雨に泣いてる』『コラプティオ』「当確師」シリーズ『標的』『シンドローム』『トリガー』『神域』『ロッキード』『墜落』『タングル』など話題作を発表し続けている。

「2023年 『それでも、陽は昇る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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