「よく見る人」と「よく聴く人」 共生のためのコミュニケーション手法 (岩波ジュニア新書 975)
- 岩波書店 (2023年9月22日発売)
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感想 : 28件
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Amazon.co.jp ・本 (206ページ) / ISBN・EAN: 9784005009756
作品紹介・あらすじ
目の見えない研究者と耳が聞こえない研究者による対話。目の見える人や耳が聞こえる人が多数を占める社会の中で、手話や触覚など様々な手法で世界とつながる二人が自らの経験を語り合う。人はそれぞれ違って当たり前、わかり合うために「工夫」が生まれるという著者達が共生のコミュニケーションの可能性を考える。
みんなの感想まとめ
異なる感覚を持つ二人の研究者による対話が展開されるこの作品は、見えない人や聞こえない人の視点を通じて、私たちの理解を深める手助けをします。それぞれの文化や感覚の違いを知り、互いに工夫しながらコミュニケ...
感想・レビュー・書評
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見えない人にも、聞こえない人にも、それぞれの文化があります。見える人、聞こえる人は、それを知らないだけ。
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広瀬さんの言葉。
「見る人、聞く人、さわる人。各人がそれぞれ得意なやり方で世界と触れ合い、生きていく。最近、僕は「五感で楽しむ」の代わりに「互換で楽しむ」という語を用いています。互いの感覚の使い方を知り、その違いを交換しつつ、豊かな人生を歩む。そんな「互換」の奥深さ、おもしろさを身をもって語れるのが障害者です」
広瀬さん、相良さん。お二人のこれまでの歩みを読んで、正直「障害って何だろ?」って考えさせられました。お二人に共通するのは、持てる感覚で工夫して、考えて、人と関わりながら常に前に進もうという意欲。エネルギーが満ちています! -
中途失聴の聴覚障害者、「よく見る」相良啓子さんと、全盲の視覚障害者、「よく聴く」広瀬浩二郎さん。共に国立民族学博物館で研究する二人のリレートークと対談。
幼稚園教諭を目指して学んでいた短期大学の在学中に失聴した相良さん。失意の中で、自分は人と接しながらできる仕事がしたい、と、大学院進学、留学で世界を広げる。
卒業後はJTBに就職し、在職中にヘルシンキの世界ろう連盟(WFD)でのボランティアを半年間経験した後、イギリスの大学で研究助手を勤めた。その後国立民族学博物館(民博)で手話言語学研究の研究者となり、現在に至る。
相良さんの人生は波乱万丈だが、悩みながらも自分の思いに正直に向き合い、思い切っていばらの道に飛び込んで道を開いてきたことがよくわかるエピソードだった。
一方の広瀬さんは、中1の終わりで全盲となる。中学で盲学校に入学した広瀬さんは、これまでと異なる文化にとまどいながらも、さまざまな経験と気づきを経て京都大学に進学する。その後大学院、留学を経て、文化人類学者として民博に就職し、現在に至る。
面白かったのは、大学で入部した居合道部のエピソード。居合は、多様な型に従って刀を操作する武道なので、見様見真似ができない広瀬さんは、型を習い覚えるのに時間がかかってしまう。しかし、型を習得し自分なりのスタイルで磨き上げていく段階になると、目の見える人よりぐっと有利になるのだという。自分の心と対峙し、仮想敵に向かう居合においては、逆に視覚情報があると惑わされてしまう、ということらしい。
エピソードを読んでいると、広瀬さんは自分のいる環境でやりたいことを広げていくタイプのように感じる。語りつくせない苦労はたくさんあったと思うが、軽快な語り口で、ハプニングさえも面白がる気質が垣間見えて、楽しく読んだ。
本書の最後には、相良さんと広瀬さんの対談が掲載されている。テレビをどう「みる」のか、ろう者や視覚障害者を取り上げた最近のドラマを見てどう思うか、ろう者や視覚障害者向けの映画館でのサービス、ICT(情報通信技術)によりコミュニケーション手段がどう変わったのか、無人化サービスが増えてきた中で困ったことなどなど。
当たり前なのだけれど、相良さんと広瀬さんでは、同じ技術でも不便に感じることが真逆なのが面白い。例えば、駅でインターフォンでのやりとりをしないといけない場合、相良さんは結局窓口に人を呼び、筆談し、と大変なのだが、広瀬さんは音声で返事が来るとほっとするという。その代わり、「そこのカメラに障害者手帳を示してください」と言われても、「そこ」がどこかがわからなくて苦労するのだとか。
現在の社会は、目が見えて耳が聞こえる人向けのサービスになっている。だからそのサービスが使えない人は「できない人」「かわいそうな人」とくくられて、特別な対応をしなければいけないような空気になってしまう。でも、男性と女性、大人と子ども、老人、日本人と外国人のように、違う特質や文化を持つ人たちが同じ社会で暮らしている、ということを理解すれば、これだけ技術が発達した今なら、もっと大勢の人が暮らしやすくなる工夫をすることは可能なはずだ。足りないのは技術でなく「気づき」なのだろう。
本書は、「見える」「聴こえる」人に対して異なる文化を見せてくれる。また、そういう視点だけではなく、進路に悩む若者たちにとって、相良さんや広瀬さんの人生を知ることは、自分の道を広げる良い機会になるに違いない。いろいろな人に読んでもらいたい本である。 -
「5-1=6」
五感から一つ感覚を削ぎ落とすと、今まで備わっていなかった感覚が芽生える。という広瀬氏は全盲。そして共著者の相良氏は中途で聴覚を失った。それぞれの生い立ちから、出会い、学び、そしてみんぱくで研究をはじめ、社会に発信し、この本が出来るまでのお話。 -
先月、大阪の民博で開催された、現代の吟遊詩人たちの特別展を見てきた。
(私は大阪千里の民族博物館が好き。子ども時代は無感想でしたが、大人になった今はとても好きで、もっと近所にいたら年パス持って講座もバンバンとっていただろうと思うし、千葉の佐倉にある民俗博物館も大好き。民博違いだけど、どっちも好きな施設)
その中で漂泊する日本の吟遊詩人たる、琵琶法師や瞽女の展示が面白く興味を惹かれた。
展示の中に自身も視覚障害を持つ民博の先生のドキュメンタリー映像があり、そういう繋がりからこの研究がなされて特別展に繋がったのだなあとわかった。
そして失礼ながら、そういう立場の方がここに勤めておられるのか、と驚いて印象に残った。
数週間後、図書館で中高生用の本をパラパラ見ている中に本書があり、不思議なタイトルに点字入りの表紙、面白そうだなと手に取ると、まさにその民博の先生の共著ではないか。
縁がある。すぐに借りて読んでみた。
本書は現在、民博で仕事をしておられる、視覚障害のある広瀬さんと、もうお一人は聴覚障害のある相良さんの共著。
そのお二人は同時に会話するのも難しい位相の立場なのだけど、アイデアもバイタリティも素晴らしく、彼らの人生を見せることは中高生におおいにエールを送ることになりそう。
お二人の経歴が交互に語られ、現在の職につくまで、そしてその中での大変さとやりがいから、日々の生活の様子などを話し合う対談で締め括られている。
広瀬さんの様子を見て、ポジティブシンキングに頭の良さ、これは福島智さんに似ているなあと思ったら、学校の先輩だそう。
まあ界隈の世界はあまり広くないのは想像がつくけどw
一方の聴覚障害の世界では、私の身内にも聴覚障害者がいるので、頷けることばかりだった。
聾学校で長く手話が禁じられていたことなど、今では無かったことにされてますよね。
手話はコミュニケーションのもの、聴覚障害者はその人たちだけで集まってスポーツや同好会、旅行ができるが、視覚障害者は移動の困難があるので晴眼者ゼロの集団のイベントは難しいという話にも納得。
個人的には、若い読者には、お二人とも、言語獲得がすでになされた年齢での障害=中途障害であることも留意されたしと思う。
しかしまあ、タイトルがうまい。 -
「よく見る人」である相良さんと「よく聴く人」である広瀬さんが交互に自分の人生を振り返り、異文化を伝える一冊。
彼らは助けてあげる人ではなく違う文化をともにする人なのだと捉え直すことができた。
お二人は自分の(障害特性ゆえに)できないことや、現代社会における不十分な部分を指摘しつつ、不便益として楽しくつきあっている。
副題に共生とあるように異文化について触れたい人にすすめたい。
私にも特性や軽度の障害があるが、工夫をしつつ楽しく生きているので「頑張っている人」や「特別な人」ではなく「困りごとはありつつも人生を謳歌している人」として捉え直されていたのがすごく嬉しかった。
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全盲の広瀬さん
耳が聴こえない相良さん
二人の研究者のこれまで、と対談。
「健常者」が決める(レッテルを貼る)「障碍者」とはなんなんだろう。
その問いから考え始める。
そして不要なレッテルをなくして、コミュニケーションをもう一度考えたい。 -
2024.8.31 45
よかった。5-1=6
体が持つあらゆる感覚で世界を捉える。
伊藤亜紗さんの本も思い出した。
全てが経験。飛び込む。難しいことに挑戦のマインド -
なんだか惹かれて買ってみたら、すごく面白かった。著者の他の本も読みたい。
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やりたいことを見つけたらそこに向かって努力を惜しまない姿に学びました。何かができないとあきらめてしまうことは簡単だけども自分の可能性を広げることができないと思いました。
朝から晩までずっとメールの処理をする、便利になったけど不便になったということは私も仕事の面で思っていました。健常者は障害がある人たちの立場から想像して考えると、何が困るかが想像できると思いました。 -
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2025.02.17
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記録
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369.27/ヒ
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【請求記号:369 ヒ】
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