- Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
- / ISBN・EAN: 9784006000080
感想・レビュー・書評
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同著者の本を読んで、むしろこれを読まねばならないなと感じ、読んでみた。
まず本書を読んで、ソビエト言語学とスターリン言語学は同じものと思っていたが、全く違う、ソビエト言語学を批判したのがスターリン言語学であるというのがわかった。著者も指摘している通り、一国家指導者が言語学について論文を発表したことは注目に値するだろう。
そもそも本書を手に取った理由として、ソビエト言語学たるニコライ・マルの理論を知りたかったのだが、同氏の理論は所々に散りばめられているので、全部読めばたしかに分かるのだが、手っ取り早く知るにはwikiが1番よくまとまっていると感じた(wikiの引用元は本書なので、本書の内容をうまくまとめているという感じ)。
本書あとがきにある、ソビエト体制の自由の始まりは1953年のスターリンの死とされているが、スターリンのソビエト言語学への批判が始まりではないかという話は言い得て妙である。
スターリンの説明が、一種伝統言語学への回帰であり、一見したところはむしろ凡庸な話になるのだが、その中でも、「批判の自由がないなら、科学の発展はない」とスターリンが述べているところ等、「おまえが言うなよ!」みたい箇所がいくつかあって個人的に面白かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「言語は上部構造ではない」このスターリンによる発言により、それまで公認とされてきたマルを代表とするソビエト言語学は崩壊する。学問と政治体制の癒着、崩壊をめぐるドラマは劇的で、20世紀という時代の一側面を見せてくれる。スターリンによる「マルクス主義と言語学の諸問題」も収録されている!!
難い詰まらない本のように見受けられるでしょうが、こんなドラマチックな面白い本はありません!!荒削りながら、隠れ名著ですよ!!嘘じゃないから!!
著者プロフィール
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