- Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
- / ISBN・EAN: 9784006000172
作品紹介・あらすじ
『論語』は堅苦しい儒教の聖典や教訓集ではない。弟子たちに礼の作法を教え、詩を歌い、人物を評論し、処世法を説く孔子の人間論である。本書は、東西の古典に通暁した碩学が伝統的な注釈に縛られずに生きた言葉のリズムや文体を吟味し、大胆な歴史的推理をもとに現代語訳を試み、はじめて現代人のためにこの中国の大古典がよみがえった。
感想・レビュー・書評
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井波律子先生の『論語入門』(岩波新書)を読んで、『論語』のイメージがガラリと変わり、感動すらおぼえ、まだもう少しこの世界にいたいと思い、10年以上前にセットで買っておいた、本書と『論語の新しい読み方』の二冊を併読。
先にこちらの方を読み終えた。
ちなみにこの二冊、偶然『論語入門』の主要参考文献の中に入っているのがうれしい。
今回初めて『論語』を、全部読んだ。
『論語入門』で取り上げられている登場人物をメモにまとめておいたこともあり、まさに今目の前で孔子と弟子たちの対話がなされているようにリアルに、まるで小説を読むように、『論語』を読むことができた。
時代や人物の背景を知っているだけで、こんなにおもしろく『論語』を読めるとは。
本書は、「現代語訳」といっても、原文、読み下し文、訳文に、必要に応じて解説まで書かれていて、至れり尽くせり。
巻末の後書きや解説などを読めば、著者宮崎先生の『論語』との関わりや研究姿勢、先生ご自身の人となりまでわかる。
ひと口に『論語』と言っても、人によってさまざまな解釈があり、いろいろな角度からのアプローチ、読み方があることがわかった。
かの有名な、最初の「子曰く、学んで時に之を習う。亦た悦ばしからずや。朋あり、遠方より来たる。亦た楽しからずや。人知らずして慍おらず。亦た君子ならずや。」からして、いくつもの解釈があるそうで、てことは、私がかつて学校で習った読み方と意味は、それが正解なわけではなく単なる一説に過ぎなかったということになる。
うーむ、奥が深いというか、おもしろいというか。
なにしろ、二千年以上もずっと、中国や日本だけでなく、世界中で読み継がれてきた古典なのだ。
二千年以上ですよ。
この年月を経て生き残り、いまだに研究され続けている、途方もない数の人たちが触れてきた『論語』って……。
想像してみるだけで、泡吹いて倒れそうになる。
それだけ人々を魅了するものが、『論語』にはあるんだなぁ。
つくづく『論語』ってすっごい書物だ。
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東洋を代表する古典本の一冊。現在、中国の躍進ぶりを考えると、この国の根底にある思想を知ることが今後ますます重要となるだろう。岩波現代文庫版では、現代人にも読めるように、訳者の宮崎市定が従来と違う解釈を提供してくれる。そのため、挫折せずに一通り読みこなせる。とはいえ、500近くの短文がこの一冊に集約されているため、数回読んだだけでは孔子の思想を知るのは難しい。したがって、繰り返し読むことになるだろう。いずれにせよ、この本は中国の歴史を知るうえで必須である。
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偉大なる先人、孔子の言を云々することは僭越で、到底出来ることではありません。兎に角、死ぬまでに読んでください。
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現在の論語の現代語訳は後世の儒教や朱子学の考え方がフィードバックされており、無理やりそれらに沿うよう訳されているとのこと。それらを極力排し、当時の書き方、読み方に基づいて訳したものが本書である。そのため知ってる内容とちょっと違うところもあった。もちろん単純な翻訳ではなく、孔子の考え方を別の資料、あるいは論語自体から比較検証した結果、妥当と思われる訳し方をしており、よくある訳と大きく異なるような場合には解説を付け加えている。そういう意味では正確な現代語訳なのかもしれない。また、翻訳の意図の解説はあっても内容の解説はなく、著者の考え方の押しつけがないので読みやすい。反面、解釈を他人に委ねることができないので、何を説こうとしているのかを自身で考える必要がある。ただ、こういった思想に関する書物の読み方としてはこれがあるべき読み方だろうと思う。
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今まで読んだことのなかった論語。
もっと、ああしなさい、こうしなさい、というような文章かと思っていた。
途中、新訳についての解釈もついている。
ほぼ新訳部分にしか触れていないためか、わりと読みやすかった。
20130118 -
全ての意味がわかったわけでもなく、全部がためになる話でもない。
ただ、このような生き方は現代では好かれないと思う -
『ぼくらの頭脳の鍛え方』
文庫&新書百冊(佐藤優選)122
思想・哲学・宗教 -
宮崎さんの論語は、まさに論語という感じ。史実をもとに孔子の考え、儒家思想、古注、新注の解釈の違い。一番分かりやすかったように感じました。
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1.各章で最初に原文を掲げ、句読点のみを付する。
2.次に伝統的な訓読を掲げる。
3.第三に私見による新訳文を掲げる。
4.最後に解釈を加えて訳文の足らざる所を補う。
以上が『現代語訳 論語』のスタンスで、従来の『論語』本とは一線を画した存在。注釈を省いてあるのは、著者である宮崎市定先生の研究姿勢によるものであり、詳細は「後語」と題した章で記されている。
従来の訓読と東洋史学者としての新訳文とを読み比べることで、原文の真意を推し量る手助けになり得ると思った。そんな興味を抱かせた一冊だった。 -
10年近く前に買った論語。ついに読み終わった。トイレに置いておいて、一日1ページ。1年以上かかったが、いつかは読み終わることを実証(笑)
これまでにない新しい解釈という紹介にひかれてこの論語を選んだ。が、もちろん、他に読んだことがないので比較できない。ただ、随所に現れる、著者の従来解釈に対する挑戦の意気込みを感じ、読む気力が湧いた。