日本古代内乱史論 (岩波現代文庫 学術 26)

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  • Amazon.co.jp ・本 (359ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006000264

作品紹介・あらすじ

内乱の時代に社会の諸矛盾が激突し、歴史の発展と創造の契機がはらまれる。本書は、六七二年の壬申の乱にはじまり、藤原広嗣の乱、恵美押勝の乱、七八五年の藤原種継暗殺に至る内乱クーデタを通して、古代天皇制の実態を宮廷内部の暗闘にとどまらず、古代人の生き方を含めて詳細に描き出す。古代日本の疾風怒濤の時代を再現した雄渾な歴史叙述。

感想・レビュー・書評

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  • 戦後すぐという時勢もあろうが、「天皇制と領民」の関係を徹底した実証科学に伴った歴史研究に徹している。戦前は「天皇が収奪支配をした」というような否定的な文言が発表できなかったからであろう。

    彼はマルクス歴史学者羽仁五郎に師事したこともあり、「支配層と被支配層」という階級分化に基づく所謂「唯物史観」に囚われすぎているという感もあるし、随所に「天武」や「推古」といった天皇の名前を名指しで呼んでいることからも、一種の左翼的イデオロギーを感じることはできる。とはいえ、大海人皇子を英雄視したり、和辻哲郎が「古代から天皇は人々の統合の象徴であった」のような言辞は首肯できないというのは、事実ではあろうが。

    読んでて思ったのだが、過去の天皇は欧州の王家のように、政争に明け暮れていたという事実である。皇統がどうとか血統がどうとか、まるで欧州の王家のようだ。やはりよって立つ立場と地理は違えど、中世には共通して見られた現象のようだ。

    今ではその「階級闘争史観」のような議論には、反証が出されている。しかしながら、古代日本を実証科学的にはじめて解明したという点では、評価されるべきなのであろう。

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