丸山真男『日本の思想』精読 (岩波現代文庫)

  • 岩波書店 (2001年1月16日発売)
3.31
  • (2)
  • (2)
  • (11)
  • (1)
  • (0)
  • 本棚登録 :94
  • レビュー :6
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006000424

作品紹介・あらすじ

「である」ことと「する」こと、「タコツボ型」と「ササラ型」、「実感信仰」と「理論信仰」など、卓抜な概念が多くの人を魅了してきた岩波新書『日本の思想』には、「戦後民主主義の思想家」という既成の丸山像を揺るがす力が秘められている。日本の伝統から積極的な価値を引き出そうとした丸山「開国論」を参照系としつつ、丸山真男の果たしえなかった企図を今日において引き継ぐ力作評論。

丸山真男『日本の思想』精読 (岩波現代文庫)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 2001年刊行。戦後史を検討する上で不可欠の存在たる丸山真男。彼の代表的著作「日本の思想」を、背景事情も踏まえ解説する。基の本とともに紐解く必要を感じる一書。

  • 丸山政治学をちと反面教師的に。

  • 丸山真男の『日本の思想』(岩波新書)は明晰な文章でつづられている。戦後市民派の思想家という広く行き渡っている丸山像とあいまって、読者はそこに「近代主義」を確認して安心してしまう。本書はこうした安易な読み方をしりぞけて、『日本の思想』に見られる丸山の「近代」理解にはたいへん複雑な問題が絡み合っていたことを掘り起こしている。講演がベースになっているので著者の語り口は平易だが、内容はかなり深いと思う。

    丸山は、思想が立場の相違を超えて共有財産として引き継がれることがない日本の思想状況を批判していた。彼は、日本では思想が「伝統」として蓄積されることがないと語っている。じっさい日本の論争史を振り返ってみると、過去の遺産が引き継がれていないために、同じ論争がくり返し戦わされている。丸山は、こうした日本的な思想史のパターンをも「伝統」と呼ぶことがある。著者は、前者の伝統を「伝統C」、後者の伝統を「伝統P」と呼び分けている。

    しかし、ふつう伝統といえば、日本に土着の思想を意味することが多いだろう。著者はこうした意味の伝統を「伝統I」と呼ぶ。その上で、伝統Pと伝統Cの対立を、伝統Iと外来思想との対立に重ね合わせるような理解を丸山が取っていなかったことに注意をうながしている。丸山の近代主義はいわゆる「欧化主義」として理解してはならない。

    丸山が擁護した「近代」とは、ヨーロッパの土着思想のことではない。また丸山は、日本の土着思想そのものを批判したのではなかった。そもそも丸山にとって、「近代」がヨーロッパの土着思想であるということも自明ではなかった。彼は、キリスト教でさえヨーロッパの土着の思想ではないことを指摘している。ヨーロッパは中近東が生んだキリスト教を取ってきて、みずからの「伝統」にしたのである。ここに見られるのは、「思想を伝統化する」精神的スタンスである。『日本の思想』の中で丸山が焦点を当てていたのは、日本の思想史に欠如しているそうした先進的スタンスなのであって、日本の土着思想と対比される西洋の「近代」を取り入れることを主張していたのではなかった。

    なお本書では、丸山の「近代」理解と並んで、「開国」というテーマにも突っ込んだ考察がなされている。ただしこの問題は、丸山の「古層」をめぐる思想の評価にも関わるため、『日本の思想』を精読する本書では十分に議論が掘り下げられておらず、著者の丸山解釈の方向性が示されるにとどまっている。

  • 一応T大法学部出身ですが、分からなすぎて自分に引いた。

  • 丸山の『日本の思想』の解説本。
    『日本の思想』自体が非常に分かりやすい本であるから必要ないかもしれないが、より考察を深めたいのであれば、良いかも。こちらも、講演を下に編集したものなので、丸山に負けず劣らず、非常に分かりやすい。

全6件中 1 - 6件を表示

宮村治雄の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
村上 春樹
マックス ウェー...
ヴィクトール・E...
マックス ヴェー...
遠藤 周作
有効な右矢印 無効な右矢印

丸山真男『日本の思想』精読 (岩波現代文庫)はこんな本です

丸山真男『日本の思想』精読 (岩波現代文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする