本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (420ページ) / ISBN・EAN: 9784006000554
感想・レビュー・書評
-
1974年に刊行された大正デモクラシーの本。大都会だけではなく、地方都市や農村の動向にも注目することで、大正期デモクラシーが幅広い動きであったことを強調している。
論証はきわめて実証的だが、同時に著者の価値観も結構出ているのが面白い。とくに、明治天皇の神格化を批判し(集めたお金で明治神宮を作るくらいなら、それでノーベル賞のような賞を作った方がよい)、植民地の放棄を主張した石橋湛山が高く評価されるのは、印象的である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大正デモクラシーの諸相を、歴史学の観点から解き明かしている本です。
本書ではまず、日露戦争後の日比谷焼打事件に代表される講話反対運動がとりあげられています。この運動は、一見すると大正デモクラシーとは相反する政治的な主張を含んでいるかのように見えるものの、広範な民衆が政治的な関心にもとづいて行動に出て閥族支配の打破を訴えた点で、その後の大正デモクラシーにつながるような意義をもっていることが指摘されています。
つづいて、『東洋経済新報』などを舞台にした三浦銕太郎らの政治活動がとりあげられます。帝国主義への道をあゆみはじめた日本に対する危惧を表明し、その後の石橋湛山らによる「小日本主義」へと展開していくような主張が果敢に述べられていたことに、著者の関心は向けられています。
さらに社会主義運動にたずさわる人びとの大正デモクラシーへのかかわり、とりわけ普通選挙の実現を求める運動に対して、どのようなスタンスをとったのかということが明らかにされています。著者は、山川均らが普通選挙を実現するべきだという主張に対して一線を画していたことを指摘し、その態度を批判します。近年佐藤優らの影響なのか、講座派の硬直した歴史観にくらべて労農派の地に足のついた運動を高く評価する向きもあるようですが、複数の観点から冷静に評価がなされるべきなのでしょう。
ほかに、吉野作造をはじめ大正デモクラシーをみちびいた言論人たちの朝鮮観などについても検討がなされています。 -
中古で買った。岩波現代文庫ではなく、かつての岩波同時代ライブラリー版。
著者プロフィール
松尾尊兌の作品
本棚登録 :
感想 :
