- Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
- / ISBN・EAN: 9784006000578
作品紹介・あらすじ
科学的創造は科学者の強烈な個性によって成し遂げられる。ニュートン、ダーウィンら六人の天才科学者の精神病理が人生の転換期や危機と絡まり合って、創造性にどのような影響を与えたのか。科学者としての業績を描きながら、分裂病圏、躁うつ病圏、神経症圏に分類される気質とその創造性の特徴を明らかにする人間研究。
感想・レビュー・書評
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ニュートン、ダーウィン、フロイト、ヴィトゲンシュタイン、ボーア、ウィーナー、6人の天才と謳われる科学者達の生涯と業績を追いながら、その中にどのような精神的病跡があるかを探った本。とても面白く読みました。ニュートンやヴィトゲンシュタイン等の分裂気質の人は理論重視であり、整合的な世界観を大事にする、パラダイムシフトを起こしうる人たち。ダーウィンやボーアなどの循環気質の人は矛盾や逆説からスタートして手持ちの手段で解決することを好み、才能の開花は状況や環境などに強く依存する。フロイトやウィーナーなどの神経症気質の人は少し変わった所の仕事が自分の内面と結びつきやすい、とされている。ただ、天才と精神病理がどこまで因果関係があるのかは、限界があるように感じる。
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―2003年2月―
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大学生のころフロイトは「自分は人間に関するもの以外には興味はもてない」ことを自覚しており、彼の中には常に冷静な科学者という仮面の下に強烈な人間への関心が存在していた。しかも人間への関心とは彼の場合なによりもまず自己への関心であった。彼はいったん「世界の謎」をとこうとして生理学を志し、ついで神経病学者として一家をなすが、中年になってあえて精神療法家に転じた。この転向は彼の内面で運命的に準備されたもので、自己の謎への強烈な執着によって憑かれたものである。
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所在:紀三井寺館1F 請求記号:Browsing
和医大OPAC→http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=21200
ニュートン、ダーウィン、ヴィトゲンシュタイン…欧米の科学者の人生を、病蹟学という切り口で語った本。精神医学書の中でもとりわけ重要な一冊。
フロイトの章などは、タブッキ『夢のなかの夢』の「他人の夢の解釈者、ジークムント・フロイト博士の夢」(これはあくまでフィクションなのだけれど)と併せ読むと、いっそう面白いかもしれない。
【併読のススメ】
中井久夫『治療文化論―精神医学的再構築の試み』
和医大OPAC http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=21203
ブクログ http://booklog.jp/users/wmulk/archives/1/4006000529 -
積読。
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ジグムント・フロイト、ヴィトゲンシュタイン、ノーバート・ウィーナーが印象に残った。神経症群のフロイト。患者という自己の鏡を見つめていくことによって、自身を探求していく。神経症群のノーバート・ウィーナー。厳しい父。甘やかす母親。自身の内面の葛藤を科学的問題に投射し、世界の圧倒的な無秩序を数学で知的に克服するという内的欲求をもつ。
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病んでもいいから天才がいい。そんな病んだ凡才。