- Amazon.co.jp ・本 (486ページ)
- / ISBN・EAN: 9784006000851
感想・レビュー・書評
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ゼミの課題図書。
言い回しや用語が難しくてなかなか先に進みませんが、十五年戦争の中で起こった出来事は、教科書に記されているような薄っぺらいものではないということを毎回教えられています。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
著者は、憲法学では必須判例である教科書検定事件の当事者であり、その当時はおそらく歴史学の権威であろう御仁。戦時の日本軍の残虐行為と戦争推進勢力の悪魔的行動をこれでもかというくらい実証している。戦争推進勢力の国内外で犯した思想統制や残虐行為を心から嫌悪しているというか憎悪している心情が直接/行間を問わずに溢れ出しているが、やや細かくて詳細すぎる実例をどう位置付けてとらえたらよいのか判断に苦しむところも散見される。大いなる知性が戦後数十年経ってもこれほどまでに怒髪天を突き続けているのに接すると、当時の戦争推進勢力と著者自身に対してなんともやり切れない思いがわいてくる。知識人としての責任と戦争推進勢力に対するやり場のない怒りが複雑にこんがらがっていて、そこにマルクス主義への好意が若干重なっている節も垣間見られて、私ごときの知性ではではこの作品の評価は不可能でした。ただ、ここまで戦争推進勢力の責任を舌鋒鋭く問うのなら、それは必然的に天皇の戦争責任と選挙権を有した日本国民の戦争責任もきちんと問うべきだろうが、この2点に関しては積極的に触れないか、あるいは逆に同情心を寄せている点がこの著作に対する信頼感を低くさせている気がしてならない。
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著者:家永三郎
解説:吉田 裕
【版元】
通し番号:学術85
刊行日:2002/07/16
9784006000851
A6 並製 カバー 480ページ 品切れ
昭和6年9月18日の柳条湖事件から昭和20年8月15日の敗戦まで,15年にわたる戦争を大観し,その基本的性格を追究した意欲的労作.なぜ戦争が阻止できなかったのか,戦争はどのようにして進められ,どのような結果をもたらしたのか.思想史・文化史を専門とする著者が,膨大な史料を元に「太平洋戦争」の全容に迫る.
https://www.iwanami.co.jp/smp/book/b255716.html
【目次】
第二版を刊行するにあたって(一九八六年九月 家永三郎) [iii-viii]
初版序(一九六七年七月七日 著者しるす) [ix-xiii]
目次 [xv-xvii]
序論 戦争の見方はどのように変わってきたか 001
注 014
■第一編 戦争はどうして阻止できなかったか 017
第一章 中国・挑戦に対する政策・意識の根本的な誤りと歪み 020
注 032
第二章 戦争に対する批判的否定的意識の形成抑止 035
第1節 治安立法による表現の自由の抑圧 035
第2節 公教育の権力統制による国民意識の画一化 042
注 055
第三章 軍の反民主性・非合理性 058
第1節 国家機構内での軍の地位 058
第2節 軍隊内部のあり方 073
注 083
■第二編 戦争はどのようにして進められ、どのような結果をもたらしたか 089
第一章 中国侵略の開始 090
注 099
第二章 満蒙侵略から全中国侵略へ 102
注 112
第三章 中国侵略と反共思想 114
注 128
第四章 中国侵略における誤算 133
注 149
第五章 戦争の進展に伴う民主主義の全面的破壊 156
注 178
第六章 思想界・文化界の転向・便乗と国民の戦争協力 187
注 202
第七章 中国侵略から対米英蘭戦争へのエスカレーション 210
注 220
第八章 対米英蘭戦争における誤算とそのための大破綻 224
注 240
第九章 「大東亜共栄圏」の実態 248
注 280
第一〇章 戦争における人間性の破壊――「戦争の惨禍」上 295
注 310
第一一章 国民生活の破壊――「戦争の惨禍」中 322
注 336
第一二章 戦時下の抵抗と怨嗟の声の発生 348
注 374
第一三章 戦争による社会関係の変化と戦後思想の出現 386
注 393
第一四章 「国体護持」のための「終戦」 395
注 399
第一五章 敗戦悲劇――「戦争の惨禍」下 403
注 411
結論 戦後の歴史において日本は何を得、何を失なったか 427
注 433
参考文献解説 [436-450]
初版あとがき(一九六七年一一月一五日 日米有志の協力による航空母艦乗組員四名脱走の快ニュースに接した日 家永三郎しるす) [451-452]
解説(吉田裕) [457-463]
略年表 [17-27]
索引 [1-16]