- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784006000981
作品紹介・あらすじ
旧約聖書はイスラエル・ユダヤ民族の波瀾万丈の歴史を記すが、そこで描かれるのはあくまで、後の時代に「信じられた」歴史である。本書は最新の歴史的・考古学的研究の成果を盛り込み、イスラエル人のパレスチナ定着からローマのユダヤ征服に至るまでの聖書の記述の背後に、どのような「もう一つの」真実の歴史があったのかを明らかにする。
感想・レビュー・書評
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第一章「乳と蜜の流れる地」第二章「歴史と伝承」を読んだ。
旧約聖書(ユダヤ教へ配慮するならヘブライ語聖書)の記述を考古学的に読み解いた通史である。
イスラエルは血縁によって繋がった集団ではなく、徐々に多種多様な人種が集まったものであり、その経過の中で自らのルーツを説明するために語られた伝承が、これまた文字化していく過程で聖書はできたらしい。
(当時の)現在の目から見た過去を通して自分たちを見つめる行為がそこにはある。それは血縁による繋がりより素晴らしいものだと私は思う。それこそが人間の主体性ではないだろうか。 -
本書は,山我哲雄・佐藤研「旧約新約聖書時代史」の旧約聖書の部分を底本としている。
旧約聖書に関係する史実についての本で,聖書の傍に置いておきたい。 -
旧約聖書の歴史的背景がわかりやすく説明されている。通読してみたが、後で旧約聖書とヨセフスのユダヤ古代誌と一緒に読んでみよう。
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時代史的展開を試みたタイトル、しかしやはり不明というか、不鮮明な部分が多すぎて、歴史的なつながりをやや欠いてしまうのは、致し方ないところなのか。
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『聖書時代史 旧約篇』は、1992年(著者41歳)に教文館から刊行された『旧約新約聖書時代史』の大幅改訂版。2003年(著者52歳)に岩波現代文庫版として刊行された。現代文庫版は、「新約篇」との2分冊。
なお、底本は1997年(著者46歳)に改訂版として刊行されていたもの。 -
パレスチナ地方は一応「アジア」ということになってますので東洋史で分類しておきます。さて、この本はオリエントにおける「イスラエル人」の形成からイエス誕生前夜までの「ユダヤ人」を中心とした時代史です。神話・物語・英雄譚などなど説話的な要素で構成された『旧約聖書』を中心史料として紀元前のパレスチナ地方の歴史をたどる方法は非常に困難であり、そのためまだまだ議論が尽くされていない研究ですが、それでもなお、イスラエル人の作った宗教がなぜ「ユダヤ教」と呼ばれているのかなど、高校世界史の知識しかない私にとっては「目からウロコ」の学説が随所に見られます。少々細かすぎて当該地域・対象を研究している人以外ついて行けないところも多々見られますが、読むだけだったらそんなに分量もなく手軽に読める本だと思います。