魏志倭人伝の考古学 (岩波現代文庫 学術 106)

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  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006001063

作品紹介・あらすじ

魏志倭人伝に記された邪馬台国などの国々…。そこでは一体どんな生活が営まれていたのだろうか。魏志倭人伝の記事に、考古学的事実を照らし合わせ、また、民俗学・人類学などの知見も織り交ぜながら、情熱の考古学者が卑弥呼の時代の暮らしに迫る。完成に強い意志をもちながらも病に倒れた著者の、最新にして最後の到達点。

感想・レビュー・書評

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  • 朝日新聞のどこかで推薦されていたと思う。魏志倭人伝の解釈だと思っていたらまったく異なっていた。魏志倭人伝に書かれた語句について考古学や民俗学から説明したものであった。民俗学を知るにはいいが、魏志倭人伝の解釈にとっては邪魔になるかもしれない。歴史とはまた別のものである。

  • 魏志倭人伝に記された当時の日本の生活文化について、考古学を中心に、歴史学、人類学、民俗学などにおける研究成果の紹介も折り込みながら、わかりやすく解説している本です。

    著者が死の間際に完成させようと情熱を注いだ本で、著者の古代日本についての研究の到達点が示されている本ということで手にとりましたが、本文は「です・ます」調で書かれており、28の項目についてのそれぞれが独立したエッセイのような感覚で読むことができました。

    「魏志倭人伝の考古学」というタイトルから想像される内容とはすこし異なっていましたが、それでも本書で明らかにされている事実はおもしろく読めました。また、さまざまな学問の成果を縦横に取り込みながら歴史の事実にせまっていくという著者の議論のスタイルも、興味深く感じられました。

  • 「 魏志倭人伝 の考古学 」魏志倭人伝に記載された 縄文弥生時代の日本の衣食住を 考古学的に検証した本。卑弥呼の記述は興味深い

    著者は 邪馬台国=大和説(畿内)を支持

    縄文弥生時代の驚きの風俗
    *男子は 大人も子供もみな イレズミをしていた
    *倭錦(幾何学紋様の山菱絞錦に近い)という絹織物
    *生野菜、お酒を飲食していた
    *鹿などの骨を使って 占いをしていた

    卑弥呼
    *倭の国王になってから 争いがなくなった
    *鬼道(呪術)を使って人々を惑わした
    *卑弥呼の男装説、卑弥呼の男性説まである
    *卑弥呼には弟がいた〜姉弟による支配体制

  • 三国志の流れから興味をもって図書館で借りた本。最初はとっつきづらかったが、興味のある章から読んでいくうちにハマった。吉野ケ里遺跡に行ってみたくなった!

    昨今、外国人旅行者の増加と温泉入浴で議論になる「いれずみ」。
    大人も子供も入れ墨をしていた。蛟龍の害を避けるため。採集狩猟民(縄文人)から農耕民(弥生人)に広がったが、支配層の農耕民はある時期この風習を捨て去り、野蛮な習俗として差別的扱いを受けるようになった。北海道と沖縄には入れ墨の風習が20世紀まで残っていた。

    「戦争の起源」
    人間は初めから争っていたのか、農耕の広がり・富の蓄積とともに戦争が始まったのかという考察。人を殺す事を目的とした武器を作り使うようになったのは数千年前から。人類450万年の歴史の中ではほんのつい最近。考古学資料のなかでは、狩猟採集民の戦争は極めて珍しい。農耕が発達し収穫物を蓄えそのための建造物や集落ができて戦争が起こり始める。

    その他、「貫頭衣」「牛馬無し」

  • 巻末に魏志倭人伝の原文、訳文の頁がある

    魏志倭人伝が目的だったが中身は考古学だった
    魏志倭人伝の項目と筆者の分野のすり合わせをし
    「生菜」生野菜をさすのか等、他の分野の研究科などからも意見を聞いたりして、ただただ考古学は大変な知識が必要であろうことを想像する
    縄文、弥生時代のことなので文献も中国語、それも昔の中国語にも詳しくないとならない
    色んな研究家が可能性の為に再現に挑戦していることも書いてある
    邪馬台国、卑弥呼について、あの時代の生活に興味がある人にはおすすめの一冊

    筆者は出版される前に亡くなっている

  • 打ちのめされるような本を読んで読みたくなったのだけど、興味のないジャンルだった。

  • アリかな?な本でした。
    以外に雑学欲をくすぐってくれて面白かったです☆

    古代日本史が好物なので、正確性は微妙だけど、
    唯一の文献として、軽く読むつもりで図書館で借りてみたんだけど、
    卑弥呼系な切り口というより、縄文人、弥生人系の生態書に近い…。

    魏志倭人伝というのは、結構そのものズバリな、魏から見た倭国の
    けっこうテキトーな倭人生態ガイド本なのだなぁというのが分かった。

    本書は、文献のパーツ文を解析、検証、解説した作りになってて、
    ダラダラ妄想垂れ流しの決め付け長文ではないので、結構読めます。
    多少私見の押し付けを感じるけど、日本の考古学なんて妄想力が
    モノを云う学問だから仕方ないわなぁ~と。

    あと、なんとなくぼんやり古代日本の様子が想像できる所は
    収穫かな?(とそんな私も妄想族…)

  • ラク〜に楽しく読めました。

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