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Amazon.co.jp ・本 (300ページ) / ISBN・EAN: 9784006001100
感想・レビュー・書評
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近代日本思想史におけるさまざまな「日本」の表象を、批判的に考察している本です。
柳田國男にかんする論考では、各地の平民の生活記録を総合しつつ「一国民俗学」を構成するにいたった柳田の思考過程を明らかにする試みです。さらに「国語」と「日本語」のそれぞれの概念がはらんでいる問題の検討を通して、近代的な国民国家の形成を支える概念装置の働きかたを解明しています。
内藤湖南や武内義雄の「支那学」をめぐる論考では、テクストを徹底的に読み解いていく彼らの方法が、富永仲基に対する高い評価とつながっていることを指摘しながらも、思想の原型を洗い出そうとする態度を脱することができなかった点に、仲基のラディカリズムとの差異があることが指摘されています。さらに『論語』の解釈をめぐって、津田左右吉による武内の批判に触れつつ、やはり実証的な史料批判をおこなった津田が、けっきょくのところ原型を見うしなう地点にいたったことが指摘されています。
小林秀雄や河上徹太郎、京都学派の哲学者たちが参加した「近代の超克」をめぐる議論は、戦後になって丸山眞男による批判を受けることになりましたが、著者はその丸山の「近代」主義からも距離を置き、国民国家としての「日本」の表象を生み出すことに思想が果たした役割を浮き彫りにしています。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
-2024.05.02.読了
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