日本近代思想批判 一国知の成立 (岩波現代文庫 学術110)

  • 岩波書店 (2003年10月16日発売)
3.27
  • (0)
  • (5)
  • (5)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 53
感想 : 4
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (300ページ) / ISBN・EAN: 9784006001100

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 近代日本思想史におけるさまざまな「日本」の表象を、批判的に考察している本です。

    柳田國男にかんする論考では、各地の平民の生活記録を総合しつつ「一国民俗学」を構成するにいたった柳田の思考過程を明らかにする試みです。さらに「国語」と「日本語」のそれぞれの概念がはらんでいる問題の検討を通して、近代的な国民国家の形成を支える概念装置の働きかたを解明しています。

    内藤湖南や武内義雄の「支那学」をめぐる論考では、テクストを徹底的に読み解いていく彼らの方法が、富永仲基に対する高い評価とつながっていることを指摘しながらも、思想の原型を洗い出そうとする態度を脱することができなかった点に、仲基のラディカリズムとの差異があることが指摘されています。さらに『論語』の解釈をめぐって、津田左右吉による武内の批判に触れつつ、やはり実証的な史料批判をおこなった津田が、けっきょくのところ原型を見うしなう地点にいたったことが指摘されています。

    小林秀雄や河上徹太郎、京都学派の哲学者たちが参加した「近代の超克」をめぐる議論は、戦後になって丸山眞男による批判を受けることになりましたが、著者はその丸山の「近代」主義からも距離を置き、国民国家としての「日本」の表象を生み出すことに思想が果たした役割を浮き彫りにしています。

  •     -2024.05.02.読了

全2件中 1 - 2件を表示

著者プロフィール

1933年生。東京大学文学部卒業。東京大学大学院人文科学研究科(倫理学専攻)修了。文学博士。大阪大学名誉教授。日本思想史学会元会長。専攻-日本思想史、倫理学。
主著:『江戸思想史講義』『宣長学講義』『徂徠学講義』『漢字論』『思想史家が読む論語』(岩波書店)、『伊藤仁斎の世界』『平田篤胤の世界』『方法としての江戸』『仁斎学講義』(ぺりかん社)、『はどう語られて来たか』『昭和とは何であったか』『「大正」を読み直す』(藤原書店)、『鬼神論』『歎異抄の近代』(白澤社)、『国家と祭祀』『とは何か』『和辻倫理学を読む』『日本人は中国をどう語ってきたか』(青土社)。

「2017年 『仁斎論語 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

子安宣邦の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×