歴史の教訓―アメリカ外交はどう作られたか (岩波現代文庫)

制作 : Ernest R. May  進藤 栄一 
  • 岩波書店 (2004年4月16日発売)
3.62
  • (2)
  • (10)
  • (8)
  • (1)
  • (0)
  • 本棚登録 :99
  • レビュー :10
  • Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006001209

作品紹介・あらすじ

統治者たちは、しばしば身近な過去に類推例を求めて外交政策をつくる。ところが多くの場合、歴史を誤用しているのだ。第一級の外交史家メイが、第二次大戦から、冷戦、朝鮮戦争、ヴェトナム戦争に至るアメリカ外交の過誤を検証。歴史を政策に活用する手法を説き、歴史政策学のありようを指し示す。"和平のための爆撃"の分析など、九・一一後の混迷する現代への示唆に富む名著。

歴史の教訓―アメリカ外交はどう作られたか (岩波現代文庫)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 為政者は歴史から教訓を引き出すことができているのかを、ベトナム戦争までの米国外交史で検証。

    どんな環境下で、誰なら、どのようにできうるのかは、説得力があるような無いような。

  • [ 内容 ]
    統治者たちは、しばしば身近な過去に類推例を求めて外交政策をつくる。
    ところが多くの場合、歴史を誤用しているのだ。
    第一級の外交史家メイが、第二次大戦から、冷戦、朝鮮戦争、ヴェトナム戦争に至るアメリカ外交の過誤を検証。
    歴史を政策に活用する手法を説き、歴史政策学のありようを指し示す。
    “和平のための爆撃”の分析など、九・一一後の混迷する現代への示唆に富む名著。

    [ 目次 ]
    第1部 歴史の誤用(第二次世界大戦―最後の平和を求めて;冷戦―第二次世界大戦の再発を防ぐために;朝鮮・一九五〇年―歴史対計算;ヴェトナム―プロクルステスの寝台)
    第2部 歴史の活用(分析―和平のための爆撃;予測―今後十年間のアメリカ外交政策;歴史家の任務)

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 著者はハーバード大の歴史学部の教授。
    アメリカ外交史を参考に政策決定者たちがどのように意思決定したのか、その過誤を検証しまとめた内容。その上で歴史を政策決定に活用する歴史政策学を提唱しているが、うーん。どうなんでしょう。

    まずメイ教授は3つの命題を提示する。

    1)外交政策者は歴史の影響を受ける。現在の問題に対処するとき過去からの類推・対比・比較から未来を予測しようとする。

    2)でも、通常、歴史を誤用するよね。

    3)そうだとしても、そのつもりになれば歴史を選択して用いることができる。だから意思決定者は歴史を勉強しておきましょう。


    歴史政策学を提唱しているが、無理な気がする。
    それはメイ教授自身が前半部で歴史の誤用で取り上げた事例を読むとわかる。第二次大戦時のルーズベルト。(ただしこれは過去からの教訓を現在の問題にうまく役立てた指導者として紹介している)朝鮮戦争と冷戦時のトルーマン。ベトナム戦争時のケネディとジョンソン。

    いくら歴史を勉強し、たくさんの事例を頭に入れ、歴史の専門家をブレーンに置いても、意思決定者の先入観や偏見、その人の気質・性格によって歴史から誤った教訓を引き出してしまう。あるいは歴史を誤って選択してしまう。政策誤認が歴史を知らないから、ではなく政策決定者個々の価値観・性格・資質の問題だということ。この点を解決しない限り、歴史政策学という学問は(それ自体重要だと思うけれど)、立ち行かなくなると思うんだけどなぁ。

    結局、(いまのところは)意思決定者はたくさん歴史の勉強をして過去の事例を体系的に頭に入れておきましょう、というありきたりで面白味のない結論に行き着くの・・かな?

  • 朝鮮戦争時、アメリカは朝鮮半島よりも台湾の方がはるかに注目されていた。台湾は蒋介石が逃亡してきており、勝った共産主義者が攻撃してくると予想されていた。

    ベトナムからアメリカが撤退したら東南アジアと南アジアの自由世界にアメリカが完全に失うことになると考えていた。

    官僚機構が独自に政策を決定すればするほど、世論はますます政策決定から疎んぜられるようになる。議会と大統領が弱体なときには、世論自体も弱体となる。

    政府高官の中でも過去の経験に基づいた推論をこれまでより批判的・体系的に行われなくてはいけないと考えているものは、専門歴史家の業績を最高度に活用できる方法を検討している歴史学者たちの支援をもっと多く求めなければならない。

    キッシンジャーは政治学者だったが、過去にビスマルクとメッテルニヒの歴史研究をしたことがあり、その知識と経験があったからこそニクソン政権の事実上の国務長官としての重責を果たすことができた。

    歴史家の任務の1つは対外事件に関する長期的展望を提示することにある。
    一連の外交行動の中から歴史の教訓を誤用して脅威を作り、介入と戦争を繰り返した歴史を見ることができる。

    東欧と東アジアの2つの冷戦の違いを付きっていたのは、ソ連の力の射程の違いと市民社会の萌芽が両者の異質さを紡いでいた。

  • アメリカの政策決定過程の誤りを分析。

  • アメリカ統合参謀本部での勤務経験も持つハーバード大学教授のアーネスト・メイによる歴史政策学の薦め。

    【構成】
    第1部 歴史の誤用
     第1章 第二次世界大戦-最後の平和を求めて
     第2章 冷戦-第二次世界大戦の再発を防ぐために
     第3章 朝鮮・1950年-歴史対計算
     第4章 ヴェトナム-プロクルテスの寝台
    第2部 歴史の活用
     第5章 分析-和平のための爆撃
     第6章 予測-今後10年のアメリカ外交政策
     第7章 歴史家の任務

     本書の意図が終章に簡潔に記されているので、以下に引用する。
    「前章まで私が立証しようとしたのは、政府部内の人にとって歴史が重要であるという事実である。きわめて不確実な条件で決定を行う人が未来を予測しようとする時、彼らはかならず、過去に起こったと自分らが信ずる事実に照合して予測を行う。現在に対する彼らの見解を作るものは、かつて発生したと彼らが信じている事柄である。だが、彼らは過去に関して、あまりにも浅薄で誤った知識しか持ち合わせていないことが多い。しかも不十分な情報しか持たないために、しばしば貧弱な推論しか下すことができない。政府部内の人はすでに、数字や経済モデルや科学的公式の分野に関して専門家の予測に依拠しなければならないことを承知しているのだから、あまりに自分たちを誤らせる歴史に関しても、これまでより明晰な理解を専門家から得なければならない現実に、今に気づくにちがいない。」(p.282)

     著者のメイは、第1次大戦後のウィルソン外交を意識したFDR政権、第2次大戦直前の宥和政策の再発防止を意図したトルーマン政権、そして朝鮮戦争の苦杯もフランス軍の退却した背景も十分に考慮せずにヴェトナム戦争を拡大したジョンソン政権の政策に焦点をあてる。
     いずれの政権の大統領を含めた政策担当者も、自らの主観的な経験やイメージを基に政策を決定し、過去の経験をあたかも政策を正当化する歴史的必然かのように錯覚してしまう。そして、比較検討する例の数を少なくすればするほど、過去との対比するポイントを少なくすれば少なくするほど、思いこみの未来予測の政策ができあがってしまう。

     つまるところ、このような思いこみは歴史学の研究手法とその成果を知らない人間が冒す過ちである。もちろん著者も認めるように政府高官にこの歴史学的手法による緻密な分析を求めるの非現実的であるが、せめて彼ら政策決定者に彼ら自身の「主観的な経験」ではなく熟考された「歴史学の成果」に拠った政策決定をしてもらいたいという思いは私も同感である。

  • 政策決定者は歴史の教訓を用いる。が、それは概して間違っている。以上

  • アメリカ外交の歴史を追った一冊。アメリカ外交を知る上で勉強になることが多かった。

  • 歴史の教訓モデルとかあったなぁ。。。

全10件中 1 - 10件を表示

歴史の教訓―アメリカ外交はどう作られたか (岩波現代文庫)のその他の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ヴィクトール・E...
リチャード・ドー...
デール カーネギ...
マルクスアウレー...
マックス ヴェー...
サミュエル・P....
ヘンリー・A. ...
有効な右矢印 無効な右矢印

歴史の教訓―アメリカ外交はどう作られたか (岩波現代文庫)はこんな本です

歴史の教訓―アメリカ外交はどう作られたか (岩波現代文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする