- Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
- / ISBN・EAN: 9784006001247
作品紹介・あらすじ
仏典が時空を超えて、現代人の心の悩みに呼びかけてやまないのはなぜか。本書は碩学が経済倫理、政治倫理、人生の指針など仏教の社会思想の全体像をわかりやすく説き、混迷する現代の緊急の課題に仏教の教えはどう応えるかを解明しようとした「仏典のエッセンス」である。
感想・レビュー・書評
-
中村元という方の育ちのよさや人となりがよくわかる本。これまでたくさん中村元先生の御本を拝読してきまけれど、こんなに人格が露わになっている本はなかったです。
羨ましいということ以外の言葉が見つからない。
恵まれた立場で人生を送り、知的で豊かな方々に囲まれて人生を送ってこられたんだなぁ、としみじみしました。
仏法というのは本来、こういう人たちに向けて説かれたものなのだろうな、と変に納得しました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
・生・老・病・死を根本的な苦とし、それを克服するために、恵まれた立場を捨てたゴータマ・ブッダ。ブッダが到達した境地には至らないまでも、その教えを知ることによって、私たちの生は、より輝くと思います。
「永い年月にわたって仏教の研究に打ち込んできた人間として、なにか後世に言いのこしたことがありはしないか、」と問われたからでしょうか、常に仏典について客観的な分析をされてこられた中村元先生らしくないと思うほど、ご自身のお考えを明確に述べていらっしゃいます。
もちろんそれは、研究成果について自説を語るということではなく、仏教の教えを、現代社会が抱える問題を解決するために活かすとしたら、という視点です。誰もが、いずれは自分も死ぬのだと事実を直視した時に、慈悲の心が芽生え争いがなくなるのではないか、という期待です。
私たちは、生老病死から目を背けるために、人生を豊かにしようとあくせくするわけですが、欲は満たそうとすればするほど、新たな苦となって覆いかぶさってくるもののようです。では、どうすれば良いのでしょうか?それは、いったん事実をありのままに受け止め、焦ることなく丁寧に善を積むことで対処することなのではないでしょうか? -
中村先生が仏教の考え方をベースに、経済的行為、政治、理想的社会はどうあるべきなのか、を論じる講演録。30年近く以前のものですが、今に通じる内容です。
-
14.05.19。
-
中村元先生が、仏典の言葉から、現代の日本の経済や政治のあり方について提言をします。
ブッダの時代と、現代の日本は違いますが、やはり本質的にかわらないものはある。
平安時代に一切死刑がなかったという話はすごいですよね。
「レリジョン」と「宗 教」は重なるところもあれば違うところもある。
真の仏法とは、相対的なものであり、難しい教義についての議論よりも、他者のために尽くすこと、という話になるほどと思わされました。
「今」だから仏典をひも解いてもいいのかもしれません。