- Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
- / ISBN・EAN: 9784006001407
作品紹介・あらすじ
大正・昭和初頭の都市モダニズムは満州で開花し、戦時下の文化・スポーツ活動に結実した。その担い手は林達夫、小泉信三、岡部平太、竹中英太郎ら、「挫折」を経験した人々であり、石原完爾を中心とする知的水脈と共鳴した。近代の隊列から横へ足を踏み出した人物たちの中に日本人の生き方のもう一つの可能性を探り出すという、知のオデッセイの試み。
感想・レビュー・書評
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白井鐵造、甘粕正彦、菊谷栄、岡正雄、林達夫、秦豊吉、榎本健一、原弘、岡田桑三、名取洋之助、富塚清、木村伊兵衛、蘆原英了、郡虎彦、小泉信三、平沼亮三、朝吹常吉、岡部平太、竹中英太郎、浅原健三、小山勝清、高群逸枝、下中弥三郎、石原完爾、山名文夫。
20世紀前半の日本の歴史をひもとくなかで、一度はどこかで見たり読んだりしてきた書き手たちのバックグラウンドと人生行路を掘り下げていくと、「昭和精神史の隠れた地下水脈」が浮上する――。著者ならではの博学とリズミカルな文体で、岩波書店と平凡社と満洲をとりあえずの軸として、離合と集散をくり返した知のネットワークが記述される。
よって、タイトルの「挫折」の語も、たんに失敗や断念を意味しているわけではない。華やかな成功の一方で満たされない思いを抱え込んだ者、社会的な名声を勝ち得ながらもかつての人間関係をこじらせてしまった者、自らの本領を発揮できる場所が戦前・戦時の植民地にしか見出せなかった者など、人それぞれの「挫折」のありようが淡々と綴られていくスタイルについ引きこまれてしまった。下巻も楽しみ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
新書文庫
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縦横に張り巡らされた隠れた人脈を明らかにする方法で、これまで余り関心を持たなかった文化やスポーツの視点から昭和史を描いている。